がん免疫治療の新しいプラットフォーム‐個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1209)についてESMO 2021で発表します

2021/09/16  ブライトパス・バイオ 株式会社 

2021 年 9 月 16 日
ブ ラ イ ト パ ス・ バ イ オ 株 式 会 社

がん免疫治療の新しいプラットフォーム ? 個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1209)
について ESMO 2021 で発表します

当社が研究開発を進めているがん免疫治療薬 個別化ネオアンチゲンワクチン BP1209 について、欧州臨床腫瘍学会(ESMO, European Society For Medical Oncology)年次会議において発表します。

年次会議の開始時間(日本時間 9 月 16 日(木)午後 3 時 30 分)に合わせて、公表資料当社ホームページに掲載します。

主な公表内容は次のとおりです。

・ BP1209 は、腫瘍特異的で高い免疫原性を持つネオアンチゲンを標的にした抗腫瘍免疫を、患者一人ひとりに対応して惹起するのに最適化された、個別化ネオアンチゲンワクチン・プラットフォームである。

・ BP1209 は、抗腫瘍免疫を指令する樹状細胞に効率良くワクチン抗原を送達することによって、腫瘍抗原を標的とする細胞性免疫をより強力に惹起する。

・ BP1209 は免疫チェックポイント抗体とネオアンチゲンワクチンの複合体ワクチンで、免疫チェックポイント抗体がワクチン抗原の樹状細胞への送達とワクチンによる腫瘍特異的 T 細胞のプライミングを促進する新規の薬効メカニズムに基づく。

・ BP1209 は、抗 PD-L1 抗体と抗 CD40 抗体などの免疫チェックポイント抗体を活性化すべき細胞性免疫経路に応じて使い分けることが可能なプラットフォームであり、抗腫瘍免疫を効果的に惹起することできる。

BP1209 は、腫瘍の遺伝子変異由来の抗原(ネオアンチゲン)に対する個別化がんワクチンです。ネオアンチゲンは腫瘍に特異的ながん抗原で正常細胞には存在せず、免疫系からは非自己として認識されます。そのため高い免疫原性を持ち、自己免疫反応を引き起こす心配も少ないため、がん免疫療法の格好の標的と考えられています。実際に、抗 PD-1/PD-L1 抗体などの免疫チェックポイント抗体が活性化する抗腫瘍免疫の標的がネオアンチゲンであることは科学的に証明されつつあります。BP1209 はこのネオアンチゲンをがんワクチンの標的とし、これまでのがんワクチンでは得られなかった腫瘍に特異的な高い抗腫瘍活性を達成しています。

BP1209 は、腫瘍のネオアンチゲンに対するワクチンを免疫チェックポイント抗体に連結した抗体-抗原複合体ワクチンです。抗体と抗原を複合体化するすることで、腫瘍特異的 T 細胞を活性化する抗原提示細胞(樹状細胞)に、ワクチン抗原を効率良く送達することができます。また、免疫チェックポイント抗体の作用によって樹状細胞による腫瘍特異的 T 細胞の活性化が顕著に促進されます。

これまでのがんワクチンは、ヒトに投与可能な免疫賦活剤(アジュバント)が薬事規制上限定されていたために、高い免疫賦活が困難でした。BP1209 では、安全性が確認されている免疫チェックポイント抗体をアジュバント成分としても用いることで、ネオアンチゲンに対するワクチン効果が高められています。これまで、アテゾリズマブやペンブロリズマブなどの抗 PD-L1/PD-1 抗体は、腫瘍局所での T 細胞の免疫抑制を解除する抗体医薬品と考えられてきましたが、近年、リンパ節で PD-L1 を発現する樹状細胞が T 細胞を抑制することを解除する作用があることが報告されています。また、抗 CD40 抗体は CD40 を発現する樹状細胞の活性化を増強することがわかっています。これらの免疫チェックポイント抗体とネオアンチゲンワクチンを複合体化した BP1209 は、腫瘍特異的な T 細胞を効果的に誘導・増幅することができます。

腫瘍の遺伝子変異とネオアンチゲンは患者一人ひとり異なります。そのためネオアンチゲンを標的とするがん治療では、患者それぞれの腫瘍の遺伝子配列を解析し患者個別にワクチンを製造する必要があります。当社は次世代シーケンサーによる患者個別の遺伝子変異解析技術と、その遺伝子変異からネオアンチゲンを同定するアルゴリズムをすでに開発しています。ネオアンチゲンに対するワクチンは患者個別に製造する必要があり、これまでの海外で臨床試験が行われてきたネオアンチゲンワクチンの多くは、単純な分子構造と成分で製造が容易なワクチンフォーマットに限定されていました。BP1209 では、ワクチン抗原に抗体の Fc領域に結合する分子構造を付加することで、抗原と医薬品抗体を混合するだけで抗体-ワクチン複合体を形成することができます。これにより、ネオアンチゲンワクチンと免疫チェックポイント抗体を混合するだけで、ネオアンチゲンを樹状細胞へ送達しより有効性の高い抗腫瘍免疫を惹起する抗体連結ワクチンを、患者個別に製造することが可能になりました。この抗体-ワクチン複合体の形成法は当社独自の特許出願済の技術です。

当社は、本結果を受けて BP1209 のがん免疫治療の新しいプラットフォームとしてのポテンシャルの高さを評価し、臨床開発を前提とした創薬を進めております。

なお、本件による当期業績への影響はありません

以上

【発表演題】
1005P - A new platform of personalized neoantigen cancer vaccines directed by checkpoint inhibitor antibodies to improve cancer immunity.
がん免疫を亢進する個別化ネオアンチゲンワクチンを免疫チェックポイント抗体によって送達する新規ワクチン・プラットフォーム

発表時間:日本時間 9 月 16 日(木)午後 3 時 30 分(中央欧州時間午前 8 時 30 分)

【問い合わせ先】
ブライトパス・バイオ株式会社 管理部 E-mail: irpr@brightpathbio.com ttps://www.brightpathbio.com

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