エブリスディ、未発症の脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する適応拡大、および生後2カ月未満のSMA乳児に対する用法用量追加の承認取得

2024/09/24  中外製薬 株式会社 

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2024年09月24日

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エブリスディ、未発症の脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する適応拡大、および生後2カ月未満のSMA乳児に対する用法用量追加の承認取得

  • SMAの生後2カ月未満の乳児や未発症の方を含め、唯一承認されている経口薬としてより早期からの治療貢献を期待
  • 未発症のSMA乳児(初回投与時点で生後6週以内)に対し、エブリスディの有効性と安全性を示した海外第II相RAINBOWFISH試験に基づく承認

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、脊髄性筋萎縮症治療薬「エブリスディ®ドライシロップ60mg」(一般名:リスジプラム)について、遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症(SMA:spinal muscular atrophy)に対する適応拡大、及び生後2カ月未満の患者に対する用法及び用量追加の承認を、本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせいたします。本剤は「脊髄性筋委縮症」に対して2019年3月に厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けており、今回の適応拡大および用法及び用量の追加は優先審査のもと承認されました。

代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「今回の承認により、症状の発現に関わらず、出生後の全ての年齢のSMAの方にエブリスディをお届けできるようになり、大変嬉しく思います。エブリスディはSMAに対する唯一の経口薬として、これまで多くのSMAの方々とそのご家族の皆様にお役立ていただいてきました。SMAはより早期の段階から治療介入することによって治療効果の最大化が期待できます。今回の承認により、本剤がSMAの治療により一層貢献していくことを確信しています」と語っています。

今回の承認は遺伝学的にSMAと診断された未発症SMAの乳児(初回投与時点で生後6週以内)を対象とした海外第II相臨床試験であるRAINBOWFISH試験の成績に基づいています。一般的に、SMN2遺伝子のコピー数は少ないほど重症となり1、RAINBOWFISH試験には、SMN2遺伝子のコピー数が2以上の乳児が組み入れられました。

SMAは、発症前に運動ニューロンの脱落が始まるとされています2,3。早期診断において重要な役割を果たしている新生児スクリーニングを経て、より早い段階に治療を開始することで治療効果を高められる可能性があります。症状の有無にかかわらず、診断後すぐに治療が可能になるため、エブリスディによる高い医療上の価値提供が期待されます。

電子化された添付文書情報 ※下線部について変更・追加
効能又は効果:脊髄性筋萎縮症
用法及び用量:通常、生後2カ月未満の患者にはリスジプラムとして、0.15mg/kgを1日1回食後に経口投与する。
通常、生後2カ月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして、0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。
通常、2歳以上の患者にはリスジプラムとして、体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与する。

(注)本剤の効能又は効果については2024年4月に指定難病の診断基準が改正されたことに伴い、下線部が追記されましたが、今回の適応拡大の承認により下線部が削除されました。
「脊髄性筋萎縮症(遺伝子検査により発症が予測されるものを除く)」

【参考情報】
Majority of newborn babies with spinal muscular atrophy (SMA) treated with Roche’s Evrysdi able to sit independently after 1 year of treatment(2023年10月4日ロシュプレスリリース)
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2023-10-04

脊髄性筋萎縮症治療薬エブリスディ、未発症に対する適応拡大、および生後2カ月未満に対する用法用量追加の承認申請(2024年2月15日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20240215150000_1368.html

RAINBOWFISH試験について
RAINBOWFISH試験(NCT03779334)は、遺伝学的にSMAと診断され症状が発現していない乳児(初回投与時点で生後6週以内)を対象に、エブリスディの有効性、安全性、薬物動態及び薬力学を評価する非盲検、単群、多施設共同、海外第II相臨床試験です。本試験には26名の乳児が登録されました。主要評価項目は、主要有効性解析対象集団において、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールで評価した投与開始12カ月時点で支えなしで5秒以上座位が保持できる乳児の割合でした。本試験に日本からは参加していません。

エブリスディについて
エブリスディは、SMN(survival motor neuron)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされる、SMAを治療するためにデザインされたSMN2スプライシング修飾剤です。SMNタンパクレベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計されています。SMNタンパクは全身に見られ、運動神経と運動機能の維持に重要です。2020年8月に米国、2021年3月に欧州で、同年6月に日本で承認を取得しています。日本においては、この度、未発症に対する適応拡大、および生後2カ月未満の乳児に対する用法用量追加の承認を取得しました。
加えて、新たな治療法の選択肢として、錠剤の剤形追加(2歳以上かつ体重20kg以上の方が対象)の承認申請を2024年4月に行いました。錠剤が承認された場合、室温での保存・持ち運びが可能になるほか、服用時の計量が不要になるなど、より簡便な保管・服用に繋がり、個々の状態やライフスタイルに合った治療選択への貢献が期待されます。

脊髄性筋萎縮症(SMA)について4
SMAは、遺伝性の神経筋疾患であり、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示します5。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患です6

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Yamamoto T, et al. Brain Dev. 2014; 36: 914-20.
  2. Kolb SJ, et al. Natural history of infantile-onset spinal muscular atrophy. Ann Neurol. 2017 Dec;82(6):883-891.
  3. Govoni A, et al. Time Is Motor Neuron: Therapeutic Window and Its Correlation with Pathogenetic Mechanisms in Spinal Muscular Atrophy. Mol Neurobiol. 2018 Aug;55(8):6307-6318.
  4. With your SMA. 脊髄性筋萎縮症(SMA)にかかわるすべての人と歩む. Available from: https://with-your-sma.jp/. Accessed August 2024.
  5. Farrar MA and Kiernan MC. The genetics of spinal muscular atrophy: progress and challenges. Neurotherapeutics. 2015;12:290-302.
  6. Kolb SJ and Kissel JT. Spinal muscular atrophy. Neurol Clin. 2015;33:831-46.

以上

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