放牧牛を担保とする動産担保融資におけるAIモニタリングシステム「PETER」の有効性検証を開始 ~エッジAIとLPWA技術の活用により、畜産農家の放牧牛管理と金融機関のABL管理を省力化~

2021/07/27  テクノプロ・ホールディングス 株式会社 

2021 年 7 月 27 日
報道機関各位
国立大学法人東京工業大学
国立大学法人信州大学
株式会社電通国際情報サービス
株式会社ファームノート
株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社
株式会社鹿児島銀行
農業生産法人株式会社さくら牧場
ソニーグループ株式会社

放牧牛を担保とする動産担保融資における
AI モニタリングシステム「PETER」の有効性検証を開始
~エッジ AI と LPWA 技術の活用により、畜産農家の放牧牛管理と金融機関の ABL 管理を省力化~

東京工業大学、信州大学、電通国際情報サービス(以下 ISID)、ファームノート、テクノプロ・デザイン社(以下テクノプロ)、ソニーグループ株式会社の共同プロジェクトチームは、東京工業大学 COI(センター・オブ・イノベーション)『サイレントボイス※1との共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点のもと、鹿児島銀行の協力を得て、牛の島として知られる沖縄県竹富町黒島のさくら牧場にて、共同プロジェクトチームで開発したエッジ AI 技術※2と LPWA 技術※3による放牧牛 AI モニタリングシステム「PETER(ピーター)」の動産・債権担保融資(ABL:Asset Based Lending)※4への適用に関する実証実験を開始しました。

個体を遠隔からモニタリングする PETER の活用により、適切・効率的な ABL の実行に繋がり、持続可能な畜産経営への貢献が期待されます。なお本実証実験は 2022 年 3 月末まで実施する予定です。

写真:PETER の首輪デバイスを装着したさくら牧場の放牧牛

■実証実験の背景■

畜産物を担保とする ABL は、畜産経営への貢献に資するものとして注目されていますが、放牧を取り入れた畜産を対象とする場合、融資に必要となる個体数の確認や個体ごとの状況把握に時間やコストがかかるという課題がありました。 共同プロジェクトチームは、2019 年 4 月より信州大学農学部において、肉用牛の放牧飼育管理に焦点を当て、アニマルウェルフェア※5に配慮しつつ、その管理作業を低コストで実現する仕組みの実証実験を行ってきました。放牧牛に首輪型センサを取り付け、放牧牛の飲水・摂食、伏臥位、立位、歩行などの複雑な行動や姿勢の情報を AI 処理により推定する技術検証をこれまでに実施し、放牧牛の遠隔モニタリングを行う首輪デバイスとクラウドアプリケーションなどで構成するシステム 「PETER」を開発しました。

今回の実証実験は、この取り組みを、放牧牛を担保とする ABL に応用する試みです。従来から畜産 ABL に積極的に取り組む鹿児島銀行と、放牧を中心に飼養を行っているさくら牧場が本実証実験に協力することで、銀行の ABL 業務と畜産経営の両面から PETER の放牧牛 ABL への有効性を検証し、追加すべき機能の洗い出しや課題の抽出などを行います。

■実証のポイント■

本実証実験では、さくら牧場の放牧牛 10 頭に PETER の首輪デバイス(PETER エッジ)を装着し、アプリケーションで放牧牛の遠隔モニタリングを行います。PETER エッジで計測した放牧牛の位置データと活動データに加え、牧場内の環境データをクラウドに集約し(PETER クラウド)、銀行が ABL 業務を行う上で有効なデータ項目の抽出と PETER クラウドを介した銀行へのデータ提供のあり方を検証します。PETER を活用した ABL の実現性検証の取り組みを通じ、畜産農家と銀行の情報連携の効率化と畜産 ABL の更なる利用促進を目指します。

■放牧牛群管理システム PETER について■

共同プロジェクトチームが開発した放牧牛群管理システム PETER は、PETER エッジの AI 分析アルゴリズムで、放牧牛の位置情報、歩行や摂食、反芻、休息といった牛の行動や状態を推定し、データ量を圧縮してソニー独自の LPWA 技術である「ELTRES™」※6でクラウドに送信します。PETER のアプリケーションは、畜産農家のヒアリングに基づいて優れたユーザビリティを確保しています。

PETER エッジの開発は、アートアンドプログラム株式会社と有限会社サカイデザインアソシエイツの協力を得ています。また、ELTRES 通信のアンテナは、日本アンテナ株式会社と検証・測定し「DP-920-INF1-100(日本アンテナ株式会社製)」を利用しています。

図 1:共同プロジェクトチームが目指す将来の畜産イメージ
図 2:実証実験で用いる放牧牛群管理システム PETER のユーザーインターフェース(提供:東京工業大学 大橋匠助教)

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.technoproholdings.com/news/filedownload.php?name=25db404374dce806623a0180ff2b5f2e.pdf

関連業界