「カレーライス物価指数」調査(2024年8月)
株式会社帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。
総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し、算出した。
<調査結果(要旨)>
- カレーライス物価、8月は348円 5カ月連続で最高値を更新
- 「カレーライス物価」、コメの急騰が大幅に押し上げる ライスの価格は過去10年で最高値更新
- 9月のカレーライス物価、1食360円前後に到達の可能性 コメ価格が先行きを左右する
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)、2024年6月確定分まで
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
調査機関:株式会社帝国データバンク
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用で、過去最高値を更新する値上がり局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年8月に348円となり、比較可能な2015年以降の10年間で5カ月連続の最高値更新となった。
また、300円台となるのは2023年8月以降、13カ月連続となった。1年前の2023年8月(304円)から44円の大幅上昇を記録し、安価で手軽に調理できるカレーライスのコスト負担増が続いている。肉・野菜の価格が5カ月ぶりに前月から下落した一方で、ライスが過去10年で最高値となる値上がりとなったことが、カレーライス物価が大幅に上昇した要因となった。
「カレーライス物価」、コメの急騰が大幅に押し上げる ライスの価格は過去10年で最高値更新
帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から22円増の209円だった。4カ月連続で200円台の高値が続いたものの、輸入牛肉に加え、ジャガイモなど野菜類も価格上昇が一服したことで、前月(211円)からは5カ月ぶりに下落した。
他方で、「ごはん(ライス)」価格は110円と前年同月(88円)から22円増加し、過去10年で最高値を更新した。「カレールー」(25円、変化なし)は前年同月から大幅な変化はみられなかった。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(3円→4円)では、特に電気代・都市ガス代の値上がりが影響した。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年8月の指数は127.0となり、5年間で3割に迫る上昇率となった。同指数の前年同月比では14.5%上昇し、15カ月連続のプラスとなった。
9月のカレーライス物価、1食360円前後に到達の可能性 コメ価格が先行きを左右する
東京都区部の物価動向を基に予想した9月のカレーライス物価は、1食360円前後まで急騰する見通しとなった。一時期は記録的な高値となったジャガイモ(バレイショ)などで値下がり傾向が見られ、「カレー具材」が1食200円前後まで低下する予想となるなど好材料もある。
ただ、新米の流通がスタートしたことで急激な価格変動に落ち着きもみられるものの、コメ価格が店頭価格で前年比3~5割高となるケースがみられ、「ライス」が1食120円を超える大幅な高値となる可能性がある。カレーライス物価は、当面高値圏での推移が予想される。