カーボンニュートラルへ貢献する「次世代型データセンター」プロジェクトを開始

2024/05/27  株式会社 NTTファシリティーズ 

株式会社NTTファシリティーズ(本社:東京都港区 代表取締役社長 松原 和彦 以下、NTTファシリティーズ)は、次世代型のデータセンタープロジェクトを開始します。データセンターの高発熱化への対応とカーボンニュートラルへの貢献を同時に実現する、新しい価値を持ったデータセンターの実現をめざします。


概要                                                             
ICTサービスを支えるデジタルインフラとしての機能を担うデータセンターは、情報通信技術の進展や生成AIの普及等によって今後需要がさらに拡大すると言われています。これに伴い通信ネットワーク設備やデータセンターの消費電力量は著しい増加傾向にある中で、メガクラウドベンダーはデータセンターのカーボンニュートラルを掲げており、その実現に向けた取り組みを進めています。また、高性能・高発熱なサーバーを効果的・効率的に冷却する仕組みが求められており、現在主流である空気で冷却する方式(空冷方式)に変わる新たな冷却方式として、冷却液をサーバーに直接送り込み、コールドプレートで冷却する「液冷方式」サーバーが登場し、普及が始まっています。
NTTファシリティーズは20年以上にわたり、日本、北米、APACエリアを中心とした大規模データセンターの構築を手掛け、そのシェアは日本国内において約7割*1を占めています。このたび、こうした知見を活かし、データセンターのカーボンニュートラルへ貢献する、全面的に液冷方式サーバーを採用した次世代型データセンターを構想、2030年頃までの実現をめざすプロジェクトを開始しました。

図1 次世代型データセンター イメージパース
 
次世代型データセンター構想について                                              
(1)液冷方式の採用によりデータセンター冷却用消費電力量を約50%削減
液冷サーバーは、液冷方式のみではサーバー発熱の冷却を賄えないため、液冷と空冷を組み合わせることを想定されています。本プロジェクトでは、データセンターに設置されるサーバーを全て液冷方式サーバーとすることにより、サーバーの発熱量の約65%を液冷方式により冷却でき*2(残りの約35%は空冷方式)、データセンター全体の消費電力量の約20%を占めるサーバー冷却用消費電力を約50%削減することが可能と試算*3しています。これにより、データセンターのカーボンニュートラルの達成に貢献します。
サーバーを格納するデータホールは液冷のCDU*4として機能する「LCMR(Liquid Cooling Machine Room)」と、空冷を担う「ACMR(Air Cooling Machine Room)」を分けて配置することによりセキュリティを担保するとともに、それぞれの設備を混在させないことにより十分な保守スペースを確保しメンテナンスの品質向上につなげるほか、サーバー増設時の拡張性も確保しています。

図2 液冷サーバー用データホール モデルプラン

(2)プレクールコイルウォール(TM)を利用した外気による自然冷却
次世代型データセンターでは、熱伝導率の高い銅管を用いた「プレクールコイルウォール(TM)*5」を建物外周にラジエーター状に張り巡らせ、サーバーの熱により温まった液冷サーバーの冷却水を循環させることで、外気により自然冷却します。また、周囲に水盤を取り入れることにより、水盤からの気化熱によって更に放熱を促進します。これにより、冷却に必要な設備消費電力量を低減し、冬季や中間期等の外気条件等によっては「プレクールコイルウォール(TM)」のみで冷却を完結させることも可能と試算しています。また、サーバーからの廃熱をデータセンター内オフィスの暖房や給湯用途、周辺地域への温水熱源として利用することで、地域全体の省エネルギーに貢献します。

図3 次世代型データセンター イメージパース(建物外周を囲む銅管がプレクールコイルウォール(TM))
 


図4 次世代型データセンターの断面構成とプレクールコイルウォール(TM)

(3)地域と調和した新たなデータセンター像を構想
液冷サーバーの導入により、サーバーは従来(8kW/ラック程度)より、5倍ほど(40kW/ラック程度)高集積・高密度化する*6と予測され、NTTファシリティーズではデータホールの面積は約1/3まで縮小されると試算しています。これにより、建物全体のボリュームも縮小化され、立地、敷地の利用計画など、データセンター事業者の選択肢が増える*7と考えています。
データセンターは高いセキュリティが求められるため、敷地の周辺地域とは独立した建物として存在しています。NTTファシリティーズは新たなデータセンター像として、セキュリティを担保しつつ、特徴的な外観デザインや周辺に配置された水盤、パブリックゾーンにより、地域社会と調和したデータセンターを構想、実現をめざします。今後の計画           
次世代型データセンター構想の早期実現に向けて、クラウドベンダーやNTTグループをはじめとしたデータセンター事業者等のニーズにお応えしながら、技術的な検証、廃熱の利用方法の検討、さらなる省エネ性能向上の検討などを進めていきます。
 NTTファシリティーズは、データセンターの高発熱・高密度化への対応、カーボンニュートラルの実現、地域との調和など複数の視点からデータセンターの理想的なあり様を提示し、設計、構築、空調・電力機器販売から保守*8まで一貫して実施することにより、ICTサービスを支えながら、地域循環型社会の実現に向けたサステナブルな未来の実現へ貢献してまいります。注釈・用語解説             
*1 2023年から2025年に竣工予定のデータセンターへの関与比率(件数ベース、NTTファシリティーズ調べ)
*2現在販売されている液冷サーバーのスペックにより算出。サーバーの種類や構成、メーカーにより液冷、
空冷のモデル比率は異なります
*3 NTTファシリティーズが構築する空冷方式のデータセンターの消費電力との比較による試算値
*4 CDU(Cooling Distribution Unit)
液冷方式のサーバーへ要求される温度の液体を直接送り込むためのシステム
*5 プレクールコイルウォール(TM)
 「プレクールコイルウォール(TM)」は商標登録出願中です
*6 NTTファシリティーズが構築するデータセンターにおいて採用の多いサーバーの1ラックあたりの消費電力
と、販売中の液冷サーバーの1ラックあたりの消費電力の比較により算出
*7 行政への確認・協議等が必要となります
*8 データセンターの保守業務はNTTアノードエナジー社により行います【本件に関するお問い合わせ先】
(株)NTTファシリティーズ 経営企画部 広報担当 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

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