半導体CMP装置の研磨治具、3BM(R)リテーナーリング販売開始

2023/03/01  株式会社 タイセー 

半導体CMP装置に特化したPET系材料、3BM(R) で開発したリーテーナーリングとその材料の販売を開始しました。環境負荷の低減と生産性の向上及び、コスト削減に貢献します。

3BM(R) 樹脂は、PET樹脂をベースに、CMP(Chemical Mechanical Planarization)用リテーナーリングに最適化した材料です。PPS製リテーナーリングと比較して、約3倍の耐パッド摩耗性を有しています。交換頻度を大幅に低減し、生産性の向上に貢献することができます。また、最先端CMP工程にも使えるように製造工程ではこれまでにないレベルの「超クリーン化」を実現しました。




3BM(R)リテーナリングの紹介




通常、リテーナーリングはスーパーエンジニアリングプラスチックであるPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)を主成分としているためリサイクルできませんが、今回開発した3BM(R)リテーナーリングは、リサイクル可能なPET樹脂を使用しています。
リテーナリングは消耗品です。CMP工程の中で、ウェハーと共に研磨され、数ミリ研磨されると取り替える必要があります。リテーナリングはCMP工程において今後も無くなることはありません。当社の調べだと500ton/年ものPPS製リテーナーリングが世界中で埋立処分されています。PPS樹脂からPET樹脂に変えることでリサイクル率が0%から88%になります。 半導体工場では他にも様々な環境破壊の元になるものが使われています。全てのこの問題を解決することはできませんが、私たちは環境に少しでも配慮できるように努めます。

- English HP
https://www.e-taise.co.jp/page/3bm_retainer_ring_cmp_english.html


紹介動画(日本語ver)

*English Version movie https://www.youtube.com/watch?v=iCqZzVu22UQ



PETの基本構造



PETは芳香環を持ち、分子鎖が直線的で配向しやすいため、結晶化度が高く、高融点、低吸水性、低熱膨張係数を有します。また、電気特性、耐薬品性、耐候性などの特性も備えており、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されています。しかし、独特の結晶化特性を持つため、耐衝撃性や耐熱性の面で難点がありました。




3BM(R)の特徴



3BM(R)は、従来のPETの弱点を克服し、CMP用リテーナーリングに特化して開発されたものです。そのため、キズの発生を大幅に低減することができました。

a. 優れた耐摩耗性(PPS の約 3 倍 → 耐摩耗性試験)

<条件>
サンプル:3BM/PBN/PPS 10個入
測定頻度:1時間×5回(総測定時間5時間)
摩耗量 :各サンプルの5時間平均値を算出。
摩耗量(Y軸) mg/h

b. 不純物を溶出しない
化学的安定性、製造方法の工夫 →クリーンネスは米国FDA規格(食品安全性)に適合しています。
世界最先端のCMP工程では、従来では気にならなかったスクラッチや金属イオンが歩留まりを低下させる要因となっています。そこで、3BM(R)の製造工程では、これまでにないレベルの「超クリーン化」を実現しました。 3BM(R)と通常のPETを分析し、その結果を比較しました。
1)3BM(R)と一般的なPET製品との金属含有量の比較

ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析)(単位:ppm)


2)3BM(R)と一般的なPET製品との金属イオン溶出量の比較

ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)による(単位:ppb)
試料として、一般PETと3BM(R)のそれぞれ30gを、5%硝酸水溶液70℃で4時間浸漬。溶出した金属イオン量の測定結果。

3)他にも下記のような利点があります。
高い寸法安定性(吸水率、線膨張係数が低く、歪みが少ない。)
高い強度と剛性(高い荷重や摩耗に耐えられるので、精密機械部品に適しています。)
*詳細は弊社HPをご覧ください。



日本経済新聞社主催のスタアトピッチの関東ブロックに選出されました



3BM(R)リテーナーリングの事業は日本経済新聞社主催のビジネスピッチイベントの第4回スタアトピッチの関東大会に選出れました。
https://staatpitch.nikkei.co.jp/block/04/single.php?id=b03_18#singleMv


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