国有財産分科会(令和6年6月4日開催)議事録

2024/07/03  財務省 

財政制度等審議会国有財産分科会
議事録

令和6年6月4日
財政制度等審議会

財政制度等審議会国有財産分科会議事次第

令和6年6月4日(火)10:00~11:18
第3特別会議室(本庁舎4階中412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • (1)所有者不明土地等対策への対応状況について

    • (2)株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について(現状報告)

    • (3)令和5年度国有財産監査の結果について

    • (4)令和5年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況について

  • 3.閉会

出席者
委員 奥田 かつ枝
亀坂 安紀子
川口 有一郎
筒井 義信
若林 茂雄
臨時委員 大久保 恭子
川嶋 三恵子
佐谷 和江
滝澤 美帆
竹川 正記
松尾 弘
村木 美貴
持永 勇一
野城 智也
山内 弘隆
吉原 祥子
専門委員 津田 廣喜
財務省 赤澤 財務副大臣
奥 理財局長
石田 理財局次長
藤﨑 理財局総務課長
坂口 理財局国有財産企画課長
梅野 理財局国有財産調整課長
川路 理財局国有財産業務課長
大島 理財局管理課長
中島 理財局国有財産企画課政府出資室長
上乗 理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長兼国有財産監査室長
中野 理財局国有財産業務課国有財産審理室長
小林 理財局管理課国有財産情報室長兼国有財産企画官
河邊 理財局管理課電算システム室長

午前10時00分開会

〔 筒井分科会長 〕 おはようございます。定刻になりましたので、財政制度等審議会第61回国有財産分科会を開催いたします。

なお、荒谷裕子委員におかれましては、先ほど御連絡がございまして、本日は御欠席となっております。

報道関係者が入室いたしますので、そのままお待ちいただきたいと存じます。

〔報道関係者入室〕

〔 筒井分科会長 〕 それでは、開催に当たりまして、赤澤財務副大臣から御挨拶を頂きます。お願いいたします。

〔 赤澤財務副大臣 〕 おはようございます。財務副大臣の赤澤です。財政制度等審議会国有財産分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

筒井分科会長をはじめ、委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、はじめに令和5年4月に開始されました相続土地国庫帰属制度を含めた所有者不明土地等対策への対応につきまして現状を御報告させていただきます。

次に、昨年9月に答申をいただきました株式会社商工組合中央金庫の株式の処分につきまして、4月15日に入札公告を行いましたので、その概要などを御報告いたします。

また、国有財産の有効活用促進及び処分価格等の客観性確保の観点から、それぞれ毎年度行っている国有財産監査及び第三者チェックにつきまして、令和5年度の結果を取りまとめましたので御報告をいたします。

委員の皆様方におかれましては率直な御意見を賜りますようお願い申し上げ、私からの挨拶といたします。よろしくお願いします。

〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

それでは、報道関係者の方は御退室をお願いいたします。

〔報道関係者退室〕

〔 筒井分科会長 〕 それでは、議事に入ります。

所有者不明土地等対策への対応状況について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 川路国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の川路でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議題1の所有者不明土地等対策への対応状況について御説明いたします。

1ページでございます。所有者不明土地等対策の1つであります相続土地国庫帰属制度が昨年、令和5年4月に開始されておりますが、制度開始後1年経過しておりますので、現在の状況について御報告するものでございます。

資料下段の左側に本制度が創設された背景を示しております。土地利用ニーズの低下等によって、土地を相続したものの、土地を手放したいと考える方が増加している。相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており、管理の不全化を招いているといった御指摘を踏まえまして、相続等により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする本制度が創設されております。本制度によりまして、将来的に土地の所有者不明化や管理不全化を予防することが可能になる一方で、管理コストの国への転嫁ですとか、土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮しまして、一定の要件が設定され、法務大臣が要件について審査を実施することとされたところでございます。

資料右側に手続のイメージを簡単に示しております。相続等によって土地を取得した方からの申請を受けまして、法務局において要件審査が行われます。財務省の出先機関であります財務局におきましては、法務局から依頼を受けまして、申請土地の実地調査への同行ですとか、土地の種目判断や要件審査に協力するとともに、最終的に法務局において承認と判断され国庫に帰属した宅地や雑種地などを管理することになっております。

資料2ページを御覧ください。先ほど申し上げましたとおり、本制度の趣旨であります、積極的な利用意向がない土地の国庫帰属を認めまして、所有者不明土地発生の抑制を図るということを踏まえますと、この制度によって帰属される土地は中長期的な視点を持って管理処分を行っていく必要があると考えております。具体的に、制度が開始されて約1年が経過した中でどの程度の土地を引き受けているかなど、運用状況でございますが、資料下段を御覧ください。法務省において公表されている状況など、主な運用状況を示しております。資料左側でございますが、本年3月末時点で申請総数は約1,900件で、地目別の内訳で見ますと、財務局が管理する可能性のある宅地が698件、雑種地等が206件となっております。円グラフでもお示ししておりますが、割合別で見ますと、田・畑と宅地がおおむね同程度となっております。これらの申請の多くは、現在、法務局において審査が行われているところでございますが、資料右側に審査が終了したもののうち国庫に帰属した土地の件数をお示ししております。3月末時点では約250件の土地が国庫に帰属しておりまして、財務局におきましてはこのうち107件の宅地と78件の雑種地等の合計185件の土地を引き受けて管理を行っているところでございます。資料右下には財務局が引き受けた185件について県別に件数をお示ししております。

3ページを御覧ください。実際に財務局が引き受けました土地の事例でございます。資料上段2件が宅地、左下が雑種地、右下が原野に相当する土地の事例でございます。本制度によって国庫に帰属する土地につきましては、その経緯から、広域の図を見ていただければ分かるかと思いますけれども、必ずしも交通利便性がよくない地域に所在する場合や袋地など、その土地単独での利用が困難な形状の場合など、国が引き受けた後においても直ちに地域での利活用につながらず、長期にわたって国が保有・管理する土地が少なからずあるものと考えております。こうした管理や処分に時間や労力を要する土地につきましては、将来的な地域での有効活用を見据えつつ、コストを意識しながら管理を行っていくことが重要と考えております。また、実際に管理し処分を担っていく財務局におきましても、必要となる定員の確保など体制整備にも引き続き努めてまいりたいと考えております。

相続土地国庫帰属制度への対応状況に関する御説明は以上でございますけれども、資料4ページを御覧ください。相続土地国庫帰属制度により国庫に帰属する財産に加えまして、相続人が不存在の場合に民法に基づき国庫に帰属する財産もございます。資料下段の左側に本制度のフローを示しておりますけれども、相続が発生し、相続人がいらっしゃらないまたは相続放棄がなされた場合で、相続人不存在と確定した後、相続財産清算人によって財産分与等が行われた上で、それでもなお残余財産がある場合には、民法の規定に基づき、国庫に帰属されることとなります。

御参考として、一番下に帰属した土地・建物の例をお示ししておりますけれども、このように残置された建物などを国庫帰属後に財務局が撤去処分するといったケースもございます。右上には、本制度による直近5年間の帰属件数の推移をお示ししております。近年は100件から200件の間の水準で推移しております。現在集計中でございますけれども、令和5年度におきましても令和4年度の約190件とおおむね同水準となることが見込まれておりまして、引き続き増加傾向にある状況でございます。

冒頭に申し上げました相続土地国庫帰属制度による帰属財産も含めて、これらの財産の適切な管理処分に向けましては、右下に帰属財産の活用として一例を示しておりますけれども、例えば帰属した土地を地域のインフラの根幹を担う浄水場の敷地として御活用いただくといった事例もございます。地方公共団体等と連携して地域のニーズを踏まえながら、将来的に活用を図っていくことが重要と考えております。また、地方公共団体においても取得等の要望がない場合にあっては、売却の促進に努めつつ、売却までの間の管理コストを最適化していくためにどういったことができ得るのか、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

資料5ページには、相続土地国庫帰属制度の概要資料を添付しておりますので、適宜御参照いただければと思います。

所有者不明土地等対策への対応状況についての説明は以上となります。

〔 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見等ございますでしょうか。御発言をお願いいたします。

〔 川口委員 〕 この制度については実際どのようなことになるのかというのは、実施してその運用状況を見てみないと何が問題であるか分からないということで開始されたと理解しています。今日の御報告、御説明から判断しますに、2点ございます。

1つは、先ほど赤澤副大臣の御指摘もありましたように、有効活用が私たちの一つの仕事になっておるわけですけれども、有効活用できない土地が国庫に帰属されるというのはどう見ても大きな矛盾のある制度であると考えます。国民から見たら矛盾があるのではないか。すぐにというのは難しいと思うのですけれども、行政のサイドから、「どうも矛盾が生じるので再考を。」というようなシグナルを立法サイドに発してもいいんじゃないかと個人的にはそう感じたというのが第1点です。

第2点目は、所有者不明土地対策ということなのですけれども、前半の国庫帰属制度は、不明ではなくて、手放したいという人が一定の要件を満たせば国庫帰属できる。でも、実際は利活用できないものを手放す。手放す人にとっては、固定資産税の支払いを免れる上、しかも利活用できないものを引き取っていただける。ある一定の管理コストは払うわけですけれども。この制度の目的は、将来、不明土地が発生するのを抑制するためにこれを行っているわけですけれども、具体的な質問としましては、この抑制効果というベネフィットに対してどのくらい費用がかかっているのでしょうか。つまり、費用の面ですね。費用と便益を見比べた場合に、これはバランスするというイメージなのか。これから蓄積していかないと分かりませんけれども、実際おやりになってこの辺のバランスというのは取れそうなのかどうか。イメージで結構ですので教えていただければと。

以上2点です。

〔 川路国有財産業務課長 〕 ありがとうございます。

まず1つ目のお話でございますけれども、この制度については再考であるとかシグナルを発してもよいのではないかということにつきましては、我々としても、制度が始まりまして実際に運用しているということでございますけれども、先ほどおっしゃったような土地についても、御覧いただいたような土地ではあるわけでございまして、制度としては5年後に一応見直すことも含めて制定されておりますので、我々、引き続き運用していく中でいろいろ課題等があればそういう中で議論していくことになろうかと思います。

2つ目でございますけれども、費用と便益のバランスといった関係性につきましては、まず費用のところでございますけれども、御説明しましたように、現時点で国庫帰属されているもの、財務局に引受けされているものが185件でございます。まだ制度開始1年目であることと、この標準的な処理期間が8か月でございまして、実際に帰属されているのがこの年度の後半、特に年明け以降でございますので、現在、我々はどのくらいのコストがかかっているかということも実態把握をしている最中でございます。例えば巡回ですとか草刈りとかがございますけれども、実際に管理費用を投下しているのは先ほどの帰属しているものについての一部でございまして、全体としてどのぐらい管理コストがかかっているかということもまだ現状は見えていないところでございます。そうした状況でございますので、我々としましても、管理していく財産がこれから増加していくことも予想されますし、そのために適切に管理をしていくことにおいても管理コストをしっかり意識しまして、先ほどおっしゃったベネフィットもどう考えるかということかと思いますので、引き続き、まずは実態把握しまして、そうした管理コストも意識しながら適切に管理を進めていきたいと考えております。

〔 川口委員 〕 ありがとうございます。

〔 松尾臨時委員 〕 今の川口委員の御発言に関連して、相続土地国庫帰属制度の土地法制上の位置づけについてコメントさせていただきたいと思います。相続土地国庫帰属制度が施行されて、国庫帰属の承認申請が相当数あるということで、一定のニーズが存在することを示していると思われます。人口減少・高齢化の中で、私人による土地所有が担い切れなくなっている状況にどういうふうに対応すべきかということが課題であると考えられますが、果たして相続土地国庫帰属制度が、人口減少等の緊急事態における特殊な制度なのか、それとも、土地所有制度に本来備わっているものとして位置づけていくべきなのか、きちんと考えるべき重要な時期に差しかかっていると思われます。

そういう中で一番大事なのは、川口委員も指摘されました、管理不全化の抑制効果のベネフィットと費用とのバランスが取れているかということでございます。今お答えもいただきましたけれども、抑制効果ベネフィットの中には、私人が担い切れなくなった土地についての管理不全化による負のコストにどう対応していくかという点も考慮に入れる必要があると思います。管理不全化した後で対応することにかかるコストをあらかじめ回避するという点でのベネフィットを考えていくということです。そういうことをこれから長期的にモニターしていく必要があると思われます。その中で、相続土地国庫帰属法の申請の要件ですとか、承認の要件がきつ過ぎるのか否か、あるいは、負担金の額は適正かなどについて、運用状況を見て、検証する必要があると思われます。そういう観点からも、国庫帰属した土地の管理にどのくらいの費用がかかっているのかということについては、正確な客観的なデータを取っていく必要があると考えるところです。

それとあわせて、先ほど御紹介いただきました相続人不存在によって最終的に国庫帰属した財産の管理についても、相当なコストがかかっていると思われます。こういうコストも合わせて、私人が管理できなくなった土地を国が管理する制度が長期的に持続可能なものとして維持されていくのかどうかが問題です。私個人は、そういう制度が何らかの形で最終的な受皿として存在することが土地所有制度には不可欠ではないかと思っておりますが、それだけにその管理コスト、これは最終的には国民の負担になりますので、それについての客観的な情報を随時確認し、公開あるいはチェックしていくことが重要ではないかと思います。

それと関連して1点御質問させていただきたい点ですけれども、3月31日現在で財務省が管理する相続土地国庫帰属による土地が185件あったということですけれども、これらの土地については、情報公開として、現地に国庫帰属地であることが表示されているか、あるいは、国庫帰属している土地がこのような状況だという、件数だけではなくて、土地の属性に関する情報が公開されているでしょうか。この点について補足的に御説明を頂ければと思います。

〔 川路国有財産業務課長 〕 ありがとうございます。御質問でございますけれども、国庫帰属されたものについての情報がオープンになっているかということでございます。ただいま法務省のほうで、申請件数でありますとか帰属件数であるとか関連の地目であるとか種目については情報がございますけれども、具体的な個別についての情報というのはまだ公表されておりません。

〔 松尾臨時委員 〕 今日の資料の2ページにもありましたが、国庫帰属した土地については中長期的な視点を持って管理処分していくという方針は非常に重要であると思います。そうした中長期的な利用を考える上で、適切な方法での情報公開は、地域のニーズに適合した利用を模索していくことに資すると考えますことから、お伺いしました。どうもありがとうございます。

〔 大久保臨時委員 〕 大久保です。この制度に関しては、先ほど御指摘もありましたけれども、それなりのコストがかかるといった課題もあるかと思いますけれども、一方で、空家を放置しておけば災害時にさらにその被害が拡大するとか、環境がどんどん悪化するといった負の側面も相当考えられます。そういうことを解決するためには、この制度は、この先まだまだ空家が増えてくる10年、20年、30年ぐらいの間はとても重要な制度ではないかと考えられます。

一方で、国の管理コストもということですけれども、今は引受件数185件ですが、この制度は、原則、負担金が20万円、市街地の価値のある住宅200平米ぐらいでも80万円ということですから、個人にとって負担としては、重い人もおりますけれども、それなりに負担金をもって帰属させることができる額かと思います。そうしますと、どんどん申請件数がこの先増えてくるだろうと思います。そうしますと、土地はだんだんまとまってまいります。まとまればそれなりの価値が生じる土地も生じてくると思いますので、そういうことも含めて、まとまった土地を効率よく管理してコストを下げる。まとまった土地を有効活用するように価値を上げていく。こんなことで対策を工夫していただけると大変ありがたいと思います。

〔 筒井分科会長 〕 何かコメントがありますか。

〔 川路国有財産業務課長 〕 御意見、ありがとうございます。御意見いただきました土地は、現在、個別でございますけれども、仮にまとまった土地によっては今後活用し得ることもございます。また、地方公共団体であるとか地域等のニーズも踏まえまして、有効活用できるように我々も対応していきたいと考えております。

〔 奥田委員 〕 奥田です。よろしくお願いいたします。

今回のこの相続土地国庫帰属制度については、国のPRというか、広報もあって、相当な反響が国民からあったと思っています。当初、要件が非常に厳しいということで申請件数は少ないのではないかというお話もありましたが、思った以上に反響があって、改めて不動産というのは様々な状況の土地があるのだということが認識されました。要件的にも、私の感覚ですけれども、ちょうどよい、ほどほどの要件だったのではないのかと思っています。

先ほど来御指摘があるように、抑制効果ベネフィットというのは今後考えていかなくてはいけないわけですけれども、災害が発生した後の復旧復興のコストを考えた場合に、こういった形で所有者不明の土地を減らしていく取組というのは、日本は今後は人口減少でもありますし、自然災害も増えていく中でやはり必要な制度なのだと思っています。そういった意味では、今回のこの制度をスタートさせて非常に意義があったと思っています。利用する観点も、民間の観点だとやはり利益追求になるのですが、国が保有することで、より広い観点から自治体との協力も得ながら進めていけるような形にもなっていければと期待をしております。よろしくお願いします。

〔 吉原臨時委員 〕 ありがとうございます。委員の方々から出た様々な意見に全く賛同するものであります。一番最初に川口委員から御指摘のあった、有効活用が一つの仕事でありながら、それができない土地が国庫に帰属するという矛盾点につきましては、有効活用はあまり期待できないということはもう確かだと思いますので、適切な管理をどう役割分担していくのか、また、管理コストをどう低減していくのかということがポイントかと思います。人口減少に伴い土地需要が減れば、あらゆる土地を高度利用することはもう難しい。その中で、いかに災害時に混乱が発生しないようにするのか、また、平素から望ましい環境を保全していけるのか、そして、それを誰が――国、地方公共団体、民間が、どう分担していくのかを考えていくという方向ではないかと思います。全ての土地を有効活用することは難しいという前提を置くことが大事ではないかと考えております。

例えば国土交通省では、グリーンインフラ推進戦略を打ち出しております。これは、ネイチャー・ポジティブやカーボン・ニュートラルといった世界的な潮流を踏まえてこうした政策を推進していくと同時に、低未利用土地の有効利用、適切な管理の推進を図ることもその政策の射程に入っているそうです。そこで、こうした国庫帰属して地域に点在していく小規模な土地について、国交省で推進しようとしているグリーンインフラの取組、地域の緑地化などを図っていく。そうした国の政策を試行的に行う場として使ってみることもできるかと思います。今回の国庫帰属制度の特徴は、法務省あるいは法務局という国の出先機関が直接にこの仕組みを運用しているということです。それによって、市町村に過度な負担をかけることなく、一律のルールに基づいて効率的な運用が可能になっていると思います。国庫帰属した土地の今後の利用、管理におきましても、財務局でリードして、国としてしっかりと国土管理の基盤をつくっていく新しい段階に入っていると考えます。売却も視野に入ってくるのかもしれませんけれども、その際は、普通財産における一般競争入札ではなくて、できる限り地域の方々の手にその所有権が移るような形で工夫をしていくことも必要ではないかと思っております。

〔 滝澤臨時委員 〕 御指名、ありがとうございます。御説明、ありがとうございました。

先生方もおっしゃっておりましたけれども、4ページ目に、国庫帰属された土地について、適切な管理処分に向けた活用策や売却促進、管理コストの最適化が重要と表現されておりますが、まさにその点は非常に大事であろうと思います。売却や活用が進みやすいのは、価値が高かったり、管理コストが低いところだと思いますので、時間がたつにつれて平均的な管理コストが上がってくるように思います。帰属された土地の全体像を把握して、地理的にそれぞれが離れていると難しいと思いますけれども、帰属件数が増えるにつれてシナジー効果がもたらされるような土地の利活用の仕方などが検討されるとよいように思えました。

私個人としては、空き地ですとか、そうしたものの外部不経済がありますので、それに対応することで、そうした外部不経済の影響は不動産の価格等にも影響するというような実証研究もございますので、この制度自体は意義があるように考えております。

1つ質問ですけれども、電話で事前に御相談を受け付けられていると思いますが、実際、相談後、申請に結びつく割合というのは、非常に直感的なお話で結構ですけれども、どのくらいなのかということですね。といいますのも、申請手数料ですとか負担金の設定、それを聞いてやめようかなと考えるのかどうなのか。その辺のあんばいが把握できるかなと思いましてお伺いしている次第であります。

〔 川路国有財産業務課長 〕 御質問の件でございますけれども、本制度につきましては法務局のほうで申請を受け付けておりまして、まず一義的にはそちらのほうに質問であるとか御照会がある制度でございます。ですので、財務局にもそういうような質問があった場合は対応しておりますけれども、その点については把握しておりません。

〔 筒井分科会長 〕 よろしゅうございますでしょうか。御意見がございませんようでしたら、次の議事に移りたいと思います。

それでは、続きまして、株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について、事務局より御説明をお願いいたします。

〔 中島政府出資室長 〕 政府出資室の中島です。よろしくお願いいたします。

私からは、商工組合中央金庫の株式の処分につきまして現状の御報告をいたします。

それでは、資料の1ページ目を御覧ください。昨年9月、当分科会で取りまとめていただいた答申に沿いまして作業を進めてまいりました。4月15日、実際に入札実務を担います関東財務局におきまして一般競争入札による売却を実施する旨を公告したところでございます。以下、その内容について御説明いたします。

まず、入札の概要ですけれども、売却株式数として、政府が保有している株式全ての10億1,600万株であります。入札に参加できる方々ですけれども、これは株主の資格制限がございますので、商工中金法第6条第1項に規定されている者ということで、中小企業組合やその構成員、そして中小企業団体等がこれに該当いたします。※印にありますとおり、これらの方々に全省庁統一競争参加資格を取得していただくといった要件を付してございます。それから、最低申込単位は1万株といたしております。

次に、スケジュールです。7月12日から31日に入札を受け付けいたします。その後、9月17日から開札を行いまして、10月11日に落札者を決定いたします。その後、契約手続ですとか代金の納付等を経まして、令和7年3月31日までに国から新しい株主の方への名義書換の手続をすることとしております。

私からは以上でございます。

〔 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして御意見等、いかがでございましょうか。

〔 竹川臨時委員 〕 確認みたいなものですが、今回これで完全民営化ということで、株主構成上、国の関与はなくなるということですけれども、資本構成上は、特別準備金の4,008億円とか、そういうのが残りますね。それで国の経営監視みたいなのはどういうふうにやっていかれるのかということが1つです。

報道とかによると、破綻懸念先向けの融資もやるとか言っていますけれども、なかなか危ないなという感じがしており、そうすると、その特別準備金が結局食い潰されたりして、それが国民負担になってしまうのではないかという懸念や指摘もあると思うんですけれども、その辺はどうなのかということです。

もう1つは、民営化とはいえ、上場しないので、さっきの話とも関係あるのですけれども、外部の経営監視機能がなかなか働かないのではないかというのがあるんですけれども、その辺はどういうふうに考えればいいのか。協同組織金融機関みたいな形になるのだと思いますけれども、信組とか信金とかとは全然規模が違って、銀行のランキングで言うとメガバンクも入れて15位ぐらい。かなり大きなものなので、何らかの形でモニタリングはしたほうがいいと思うのですけれども、その辺はどう考えていらっしゃるのか教えていただければ幸いです。

〔 中島政府出資室長 〕 ありがとうございます。

まず、特別準備金の観点を含む経営監視につきましては、一義的には、主務省であります中小企業庁ですとか、そこで法令に従って監視することになろうかと思います。

それから、外部の監視、モニタリングのシステムとしては、外部の取締役が入っていると認識しておりますので、そちらで担保されると考えております。

〔 筒井分科会長 〕 よろしいですか。

〔 竹川臨時委員 〕 はい、分かりました。

〔 筒井分科会長 〕 ほかによろしゅうございますでしょうか。御意見がないようでしたら、次の議事に移りたいと思います。

続きまして、令和5年度国有財産監査の結果について及び令和5年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況について、事務局より続けて御説明いたします。2つの議事の説明の後でまとめて質疑応答を行いたいと存じます。

では、まず最初に令和5年度国有財産監査の結果について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 上乗国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長の上乗と申します。よろしくお願いいたします。

私からは、令和5年度の国有財産の監査結果と指摘後のフォローアップ状況について御報告させていただきます。

では、資料3の1ページ目を御覧ください。まず、上段の枠内、監査の概要でございますけれども、国有財産の有効活用を促進するため、各省各庁の国有財産の管理状況や使用状況の監査を実施しております。毎年度、優先的に監査を行う重点対象財産というものを定めておりますけれども、令和5年度につきましては、前年度と同様に、①「一定の地域の庁舎」または「特定の官署の庁舎」の使用実態と②「各省各庁所管の普通財産」の有効活用に向けた処理の進捗状況というものを定めまして監査を実施しております。下段の令和5年度の監査結果でございますけれども、全国で428件の監査を実施いたしまして、75件について問題点を指摘しております。

次の2ページ目を御覧ください。監査指摘を行った具体的な事例を御紹介いたします。中国財務局が指摘を行いました、高潮や河川氾濫による被害が発生した場合においても災害対策の活動拠点としての庁舎機能を維持できるようにするための対策を求めた事例となります。①の山口県にございます宇部地方合同庁舎、もう1つは②の鳥取市にございます鳥取第1地方合同庁舎でございます。いずれも浸水想定区域内にございまして、想定浸水が最大で3メートルとされておりまして、庁舎1階がほぼ全て浸水することが想定されているような庁舎になっております。いずれの庁舎につきましても地下に電気設備が設置されておりまして、浸水が発生した場合には庁舎機能が発揮できないというおそれがありました。このため、庁舎の上階に利用率の低い会議室や事務室がございましたので、そちらに電気設備の移設をするように指摘したものでございます。全国的にハザードマップが整備されてきておりますので、このほかの地域においても、国土交通省や地方整備局と協力しながら、今後も引き続き同様の監査を実施していきたいと考えております。

次の3ページ目を御覧ください。こちらは福岡財務支局において低利用となっている庁舎敷地の用途廃止を求めた事例となります。福岡県北九州市に所在します門司港湾合同庁舎で、右側の写真の青枠部分となります。そちらの赤枠部分でございますが、以前はテニスコートで使用されていた約900平米の土地につきまして、テニスコートが廃止された後は防災訓練などに使用されておりまして、非常に低利用となっておりました。庁舎整備などの今後の具体的な利用計画もないということでございましたので、こちらの用途廃止を行うように指摘したものでございます。今後につきましては、隣接して所在しておりました、緑の枠の部分となりますけれども、門司植物防疫所くん蒸施設の用途廃止が予定されておりますので、今回指摘した部分と合わせて約1,100平米となりますけれども、これらの土地を一体で売却などの有効活用を進めていきたいと考えております。

続いて、4ページ目を御覧ください。過去に指摘を行いました事案のフォローアップ状況となります。上段の枠内でございますけれども、これまで令和4年度まで指摘したものの累計件数として1,565件ございまして、そのうち令和5年度までに是正が完了したものは1,201件、76.7%の進捗となっております。これらの指摘に伴いまして、国有財産の売却収入が約76.5億円、節減された借受賃料が約9.3億円の財政貢献となっております。

下段の表は、指摘した年度ごとの進捗状況となっております。B欄の括弧内書きが令和5年度中に是正が完了した件数となっておりまして、合計が106件となっております。着実に是正は進んでおりますが、C欄にありますとおり、是正がなかなか進まないものも残っております。これらの事案につきましては、例えば、是正のために必要となる予算措置がされない、あるいは、土地の境界に争いがありまして境界確定に時間がかかっているといった個別の事情もございますけれども、こうしたものにつきましても、本省と財務局が連携いたしまして、是正措置が講じられるまで、各省各庁への指導あるいは本省間での調整を行いながらフォローアップを継続してまいりたいと思っております。

続いて、5ページ目を御覧ください。令和5年度中に是正が完了した事例の紹介となります。まずは庁舎の借受けを解消した事例となります。いずれも令和元年度に指摘した札幌第1地方合同庁舎と横浜第2地方合同庁舎の余剰スペースに、近隣の民間ビルを借り受けておりました官署を入居するよう指摘したものでございますけれども、監査の結果、庁舎に余剰スペースが確認できた場合には、まずは国の官署、特に賃料を支払って民間ビルを借り受けている官署がある場合にはそちらを入居させまして財政コストの削減を図ることを行っております。紹介するこの2つの事例につきましても借受庁舎に入居していた官署を入居させるように指摘したものでございますけれども、2つの事例を合わせて年間約1.1億円の賃料が軽減できたというものでございます。

続いて、6ページ目を御覧ください。こちらは北陸財務局におきまして、令和3年度に庁舎の余剰スペースがあるという指摘を行いまして庁舎の有効活用を求めたものでございますけれども、今回の能登半島地震への対応のために設置されました能登復興事務所が入居することとなった事例でございます。本事案につきましては、石川県七尾市に所在する2つの合同庁舎の余剰スペースにつきまして、監査指摘を行いまして、周辺地域に入居可能な国の官署あるいは借り受けている官署というものがございませんでしたので、民間事業者などの国以外の賃貸先も探しておりましたが、そういうものも見つからず、未利用のままとなっておりました。今回の能登半島地震の発災後、七尾市内に能登復興事務所が設置されることとなりまして、入居先の確保が必要になったということでございまして、既にその余剰スペースが確認できておりましたこの合同庁舎2つを速やかに提供することができた事例となっております。

説明は以上となりますけれども、最後に資料3参考をつけてございます。令和5年度に指摘した事案の一覧を参考資料としております。

私からの報告は以上です。

〔 筒井分科会長 〕 引き続きまして、令和5年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況についてでございます。事務局より説明をお願いいたします。

〔 中野国有財産審理室長 〕 国有財産審理室長の中野と申します。よろしくお願いいたします。

私からは資料4に基づきまして、令和5年度の第三者チェックの実施状況について御報告させていただきます。

1ページ目をお開きください。この第三者チェックですが、御案内のとおり、処分価格等の客観性の確保に資するため、平成30年10月から運用を開始しており、年1度、当審議会にその実施件数の実績を御報告させていただいているところです。具体的に、第三者にチェックしていただく場面といたしましては、このページでは水色と赤く塗られているゾーンがございますけれども、この水色の範囲で示す処分前の場面と、赤い範囲で示す処分後の場面がございます。仕組みの詳細は4ページに参考でつけてありますけれども、ここではごく簡単に触れさせていただきますと、まず処分前につきましては、土地の調査と鑑定評価の2段階で実施をしております。土地の調査の段階では、財務局において土地の利用履歴などを調査し、地下埋設物や土壌汚染が存在する蓋然性がある場合に、民間精通者に地下埋設物の調査を依頼します。そして、撤去費用の見積りが出てまいりますので、その内容を第三者チェックとして、コンサルタントや弁護士等から構成される有識者に御確認いただきます。このような土地の調査につきましては、令和5年度は5件実施したところでございます。

次に、鑑定評価の段階では、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する際に、今申し上げた土地の調査結果を交付いたします。その後、不動産鑑定士によって鑑定評価が進んでまいりますが、鑑定評価書案、いわゆるドラフトの段階で提出いただきまして、その段階で第三者チェックとして有識者に御確認いただいております。有識者から出された意見を不動産鑑定士にお伝えし、これらの意見を参考にして正式な鑑定評価結果を御提出いただく流れとなります。このような鑑定評価に係る第三者チェックにつきましては、令和5年度は3件実施したところでございます。

処分後の場合でございますが、1ページですと赤いゾーンになりますけれども、売却した後に契約時点で明示していなかった地下埋設物等が見つかって損害賠償請求された場合についても、その賠償額の適正性について第三者チェックとして有識者に御確認いただいているところでございます。令和5年度は1件実施したところでございます。

この第三者チェックの対象財産といたしましては、基本的に対策費用の見積額が3,000万円以上、あるいは、対策費用が2,000万円以上で、かつ、その見積額が土地の評価額に対して大きな割合、具体的には50%以上でございますけれども、こういった場合を基本的な対象としているところです。

以上1ページの青枠でくくってある部分が令和5年度の件数となり合計9件実施したことになっております。一番右の合計欄の件数の推移ですが、制度創設時には年間10件程度を見込んでいるということでございましたが、ちょうど例年10件前後で推移しておりまして、大体見込みどおりの水準となっております。

なお、この第三者チェックの打合せでございますけれども、新型コロナの感染拡大を契機に原則オンラインで実施しております。有識者の皆様は、霞が関までお越しいただく必要がないばかりでなく、全国に及びます財務局、財務事務所も霞が関まで出張する必要がないので、日程調整を含め、全体として非常に効率的な運用となっていると考えております。

私から説明は以上でございます。

〔 筒井分科会長 〕 以上2つの議事につきまして、皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思います。御発言をお願いいたします。

〔 山内臨時委員 〕 御説明、ありがとうございます。特に土地の売却についてですけれども、前にもこの会議で御指摘したことがあるんです。私の経験で、都内ですけれども、庁舎をPFI事業で民間に委ねて、その余剰地をつくって、その余剰地について売却したケースがありました。そのとき御指摘を申し上げたのは、売却した土地が乱開発的に使われている懸念があったものですから、そういったことを考えると、売却するときに、売却した後にその土地がどう使われるのかというようなことを少しチェックする必要があるのではないかと思っております。

今のケースは大都市部の一等地ですので、売りやすかったし、高く売れたということですけれども、恐らく多くの場合、そうとも限らないで、いろいろと売却に難しい土地であったりするのかなと思います。そのときに、その土地について、どういうふうに使えるのか、あるいは、どういうふうな意図を持って開発するのか、そういったことを確認する。確認するときに、逆にもう少し民間の意見を広く取り入れて方向性をチェックするとか、そういう必要があるのではないかと思っています。

さらに言うと、先ほども委員の方からグリーンインフラというような御指摘がありましたけれども、社会的な目的があって、今の場合ですとグリーンですから恐らく脱炭素と環境問題になるわけですけれども、そういったものに積極的に売却、処分する。財産を使っていく。そういう方針まで踏み込んでもよいのではないかなと思っています。国有財産を売却して、その後は、もちろんノーチェックで何かということはないと思いますけれども、さらに進んでいくと、要するに政策目的に合わせて土地、財産の売却、処分を進めていく。場合によったら売却せずに賃貸させて、それで何か政策目的を実現する、こんなこともあり得るのではないかと思っています。そのためには、広く民間の土地を利用できるというスキルを持った方、民間のそういったところから意見を取り入れて目的を達する、こんなことがあってもいいのではないかという意見を申し上げたいと思います。

〔 筒井分科会長 〕 コメントはございますか。

〔 中野国有財産審理室長 〕 大きな御示唆を頂いたと思います。まず、民間知見の活用という点では、私ども入札の段階でも、御案内のとおり、二段階一般競争入札といった手法がございまして、これはもちろんまちづくりに配慮した形で、実行する前に十分に地域、自治体などともよく相談しながらやっておりますが、その際には民間の意見をよく踏まえた上で検討していくことをもちろん行っております。引き続きこういったことを適切に実施してまいりたいというところがまず1点目でございます。

脱炭素等々のご示唆に関しては、一般競争入札は、当然それを最有効で民間において使っていただくことが前提となるものですので、そこにどの程度、売却した後の使途を制限なり指定できるかということについてはまた少し別の視点となるかもしれませんので、どういったことができるのかということは考える必要があるのかなと思っております。

〔 山内臨時委員 〕 脱炭素について、太陽光については、その地域との共生のための法律が前国会で成立しましたので、恐らくそういったところを担保しながらであれば、地域と共生といいますか、話し合いながらできるのではないかと思います。今の脱炭素、さらには太陽光というのは一つの例だと思いますけれども、それ以外にもいろいろな政策目的があると思うんですね。そういったことを考慮しながら利用あるいは売却がよろしいのではないかというのが私の意見でございます。

〔 持永臨時委員 〕 御説明、ありがとうございました。

資料3について、コメントと御報告がございます。意見、コメントとしましては、国有財産は不動産ですから、固有の問題として、先ほど御説明がありました予算措置ですとか境界確定等の問題があろうかと思うのですが、現場、財務局、財務支局への本省からのフォローアップに関する継続的なリーダーシップの発揮をぜひお願いしたいということがコメントでございます。

報告としましては、実は、この財務局、財務支局の方とお話をされている地方自治体の監査委員、それから外部監査人と別々に何人か面談することがございました。この理財局の皆様から分科会での御説明、さらに委員の方の御意見からも、他省庁の模範となるようにという御意見等がありますが、先ほどの監査委員、地方自治体の外部監査人とお話をする中で、この資料3にありますフォローアップについて、皆さん意識をされていながら、非常に難しい、苦労していますという話を聞きました。そのような状況において、財務局、財務支局のほうから本省理財局の、我々が御説明を受けていますフォローアップの資料等ですけれども、透明性を確保しながら、しっかりと数値で実績を示している。要は、実行しようという強い意思があるということで、その意味では模範としなければならない、その裏返しで、模範として頑張りますという話を何人もの方から聞きました。個人としても再認識すると同時に、皆様に情報共有というか、御報告をさせていただきます。

〔 亀坂委員 〕 私は、資料4に関しまして発言させていただきたく存じます。資料4の参考のところに第三者チェックに関しましてお示しいただいていますが、これは、制度創設時には第三者チェックのコスト面とかに関しましても大分議論させていただいたと思います。対象財産をどうするか。チェックを依頼する有識者はどうするか。かなり議論をして、様々なことを考えながら創設したと思うんですけれども、順調に、しかも効率的に進めていただいているということで、安心しました。

我々教員も本当に今の時期は非常に忙しくて、土日は学会出張とかに行ったりしているわけですけれども、出張する必要もない形で、オンラインで第三者チェックを進めていただいているというのも、コスト面を考えましても非常にいいかなと思いました。学会の大会等は、オンラインをやめて、全て、今、全面対面とかにしている学会が多くて、旅費はもちろんですけれども、宿泊費が非常に高騰している。宿泊費が高いために大会に参加するのをやめようかというような学会のメンバーもいるぐらいです。コスト面を勘案しましても、コロナの悪影響ばかりではなく、コロナで広がったオンラインの活用とか、そういったことも引き続き活用していただきながら、コストカットの事例というか、模範例というか、例えば議事の1ともちょっと関係すると思うのですけれども、そういった面でも第三者チェックの在り方をほかにも活用するぐらいの形でまた進めていただければと思います。感想に近いコメントです。

以上です。ありがとうございました。

〔 川口委員 〕 資料3の6ページです。これは事前説明のときにも確認させていただいたのですけれども、要するに、空きビルを持っていれば、宿舎もそうですけれども、国が余剰スペースを持っているということは、国有財産の戦略としてはあり得る。これは、過去の分科会の議事録を見ましても、不動産の専門の立場から申し上げれば、ビルの大家の最適空室率というのがあります。常に100%利用するのではなくて、余剰があったほうが、要するに将来の賃料上昇を含めて最適な空室率というのがあるわけです。これは不動産の教科書の基本に書いてあるんですね。それから、まちづくりでいえば、地域の最適空家率というのがあり得るということは以前の議事録でも議論されているのですけれども、では、国有財産の管理の在り方としてそれをどう考えるかということでいろいろな議論があったと思うんです。ただ、どの程度持つかということについては国民のコンセンサス、要するに国会でもまだ法律で決まっていない。ということで、有効活用で、非効率的な使用は全面的になくしていこうということになっていると思います。

今の制度では、国有財産として余剰を抱えていいとはなっていないのでどんどん効率化を進めているというお答えだったと思うんですけれども、その点を確認したいと思います。余剰は全部売って、国の財政が大変なのだからお金に換えろという時代があり、実際に売却された。今は、民間が有効活用しない、あるいは民間がそうしたくないものについてはそれを国が引き受けようということになって、先ほどの議論のように、いや、余剰はある程度持っていたほうが災害対応にいいという意見もあります。これはアバウトにはありうる議論なのですけれども、どの程度それを持つかということが今後の課題だと思います。

先ほど議事2(中企庁の件)では、国が全部保有せずに民間に任せるのがよい、少し前にはそれがよしとされましたけれども、現在では、世界的にみても、全部民営化がいいのかという疑問はあります。個人的な経験で恐縮ですが、経産省関係の中小企業の組合の団体、今回の株主になる人たちですけれども、この方々には、プルーデントピープルルールという原則がほとんど浸透していないと私は理解しています。これは、他人のお金を預かった人は慎重に合理的に運用しないといけないという原則ですが、それが必ずしも浸透していない。先ほどの竹川委員の御懸念というのは、そういう人たちに全部株を持たせて本当にそうした原則が維持できるのかというところはモニタリングしていただかなければいけないということだと思います。

国有財産の管理においても、国民の財産である国有財産を有効活用の観点から、非効率を排除しながらというのは、これは国民的なコンセンサスを得てやっている。国の至るところで災害が起こる可能性が高まっているので、新たに、そのときに備えて国が余剰としてどの程度抱えるべきかという、ある意味で最適な余剰の持ち方について、関心が寄せられる状況になっていると思います。日本は絶対的土地所有権という、世界にもまれに見るものすごい権利を私人に与えているわけです。その一方で、松尾委員の御指摘が重要だと思うのですけれども、人口が減少してきたら、絶対的土地所有権という人口が多かった時代の話ではなくて、国有化を含めた、要するに私権と公権のバランスの議論が多分ここに関わってくるだろう。国有財産として余剰をどれだけ予算を使って持つかという議論はあり得ると思います。

具体的な質問としては、今の監査の中で、これだけ余剰があってもいいですよというような行政のルールではないということだけを確認したいのですけれども、お願いします。

〔 上乗国有財産監査室長 〕 庁舎の余剰スペースの確認に当たっては、実際現地に参ります。当然、庁舎を造るときに基準面積という国交省が定めている面積で、ある程度基準面積に合った面積になっているかとまず机上では見るのですが、実際現地に行きまして使われ方がどうかというものを見て、例えば基準面積を若干超えていても、使われ方として社会通念に照らしてちゃんと使っている、そういうものであれば、そこは指摘しておりません。ちゃんと現地で確認をして、実際にどういう使われ方をしているか、そういうことで余剰があるかどうかを確認しております。

〔 川嶋臨時委員 〕 ありがとうございます。議事の1と3を踏まえて意見を申し上げさせていただきたいと思っております。

1に関して、川口先生がおっしゃったとおり、国民から見れば矛盾がある制度になっているという指摘は、私も共感しているところです。人口減少の中で所有者不明土地対策というのは必要不可欠な制度ではあったと思うのですが、やはりその制度が活用されるにつれ、国民から見ると、なぜ、一生懸命空いている土地を売却しているのに、一方では使えない土地が国庫に入ってくるんだろうという疑問が大きくなっていくのではないかなと思って伺っておりました。

そうしますと、議事の3の今後の監査の在り方についても若干方針を考えていく必要があるのではないかと思いまして、ほかの先生方が御指摘のような、例えば管理コストをどう負担していくのか。例えば地方自治体とどうやって管理の手間とかコストを共有していけるのかということも視野に入れながら、監査が、今ここが余剰だから利用していきますよという一方だけではなくて、この余剰の土地についてどういう管理が適切なのかという視点も今後の監査の在り方としては考えていく必要があるのかなと思いました。

〔 筒井分科会長 〕 それでは、理財局長から補足の説明がございますので、お願いいたします。

〔 奥理財局長 〕 理財局長の奥でございます。

今の議題の1つ前の商工中金の株式売却に関連して、竹川委員から御質問いただいたことに関しまして、周辺のことも今分かることを調べまして、お答えを少し補足させていただきたいと思います。

御質問いただいたのは、政府が保有する株式を売却した後は株主から政府が外れるわけでありますけれども、まず、商工中金に対する監督、政府の関与というのはどうなるのかという点かと思います。これに関しましては、確かに御指摘のとおり、政府が保有する全株を売却する予定であります。また、それが法定されております。そうなりますと、政府は株主として商工中金に対して関与することはできなくなる。これはまず事実でございますが、一方で、商工中金というのは特別の法律に基づいて設立されている金融機関であります。その設立根拠となっている商工中金法というのは、廃止をされずに一部改正、例えば政府保有株がなくなるといったような所要の手当は行われますが、改正後も存置される、残るということでありますので、そこに規定されている主務省庁の一般監督権限というものは、引き続き主務省である経済産業省の中小企業庁や、あるいは財務省大臣官房政策金融課といったところが主務省として監督権限を行使することが引き続きできる。そのような関与は続くということでございます。

それから、新たな商工中金、政府が株主から外れた商工中金がその判断に基づいて融資などを行っていく中で、特別準備金という、国由来のもともと出資だったものが今準備金となって、商工中金の財産として商工中金にあるわけですけれども、それが例えば食い潰されたりするようなことにはならないのかという御指摘がございました。まず、現行法及び改正後もそこは変更ありませんけれども、この特別準備金というのは、確かに国の出資から由来する財産でありますけれども、現在の規定においても改正後においても、どちらも、商工中金において資本準備金及び利益準備金がゼロとなった場合においては、損失を補塡するために特別準備金を株主総会の議決に基づいて取り崩すことができるとなっておりますので、仕組み上はそういった仕組みにのっとって特別準備金を取り崩すことはできないわけではありません。ただ、商工中金が行う今後の融資というのは、いわば2種類のものがあると予想されます。つまり、政策金融機関としての性格というのは商工中金法に基づいて引き続き行うわけであります。例えば危機対応融資というものは商工中金法に基づいて行うわけで、これは政府の政策金融の枠組みに基づいて行われることになりますので、政府の意思の下での、枠組みの下での融資を行う、政策金融を行うということであります。他方で、現在も行っておりますが、自らの財務の責任の中において独自の融資というものも商工中金は行っております。そちらの業務については、通常の金融機関との競争の中で、必要な引当金を彼らのルールに基づいて積んで、その財務基盤の中で融資を行うことについては、現在も行っておることでありますし、この改正後、政府が株主から外れた後においてもそこは同じなのであろうと考えられます。

最後に、商工中金に対する外部からの監視といいますか、外部からの目というものはどのように入っていくことになるのか。これは政府が株主から外れることによってということもあります。その後にはどうなるのかというお尋ねであろうかと思いますけれども、ここは、商工中金においては、執行部の体制を変更することを公表されておられます。6月の総会におきまして、過半数の社外取締役で構成される監査等委員会設置会社というものに組織を変更すると公表されておられますので、その予定どおり決議されましたら、社外取締役が過半を占める監査等委員会が設置される会社に変更されることになるわけであります。この意味では、従来の体制よりも外部の目が入りやすい組織になることが予定されているということでございます。

以上、補足をさせていただきました。

〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

先ほどの国有財産監査及び第三者チェックの議案について、ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

〔 吉原臨時委員 〕 先ほどの川口委員と、それから亀坂委員の御発言を聞いて、土地政策において非常に重要な御指摘だと思いました。余剰というものをこれからどう考えていくのかという大きな論点があると感じたところです。また、その余剰を監査の中でどう判断していくかという点ですね。一口に不動産と言ったときに、大きく土地と建物とあるわけですけれども、建物は除却ができます。他方、土地というのは、我々自身では造り出すことはできず、次の利用者や次の世代に引き継いでいくべきものです。そういう意味で、所有権という私権の対象物であると同時に公共性の高い財である土地が、使われない状態であるということを、どう理論的に整理していくのか。余剰であると捉え、税金を使ってそれを管理することは負担であると考えるのか。あるいは、国民の社会経済活動の土台であるものとして、国民も負担をするし、行政も負担をし、また、民間も管理や利用において一定の協力を当然にしながら、みんなで次世代への承継を分担していくのであると考えるのか。先ほど松尾委員から、私人だけではもう担い切れなくなっているというお言葉がありましたけれども、そうした「うち」とか「家」、「私」だけでは担い切れない財の承継というものについて、国としてどうこれから新しい仕組みをつくっていくのかという、非常に大きな点を考える時期にあると改めて感じた次第です。

ありがとうございます。

〔 筒井分科会長 〕 御意見をいろいろ頂きまして、ありがとうございました。

私も1点、余剰ということについて、この国の人口減少だとか大きなトレンドの中で考えるとどうしてもこれは出てくるだろう。しかしながら、余剰を管理するということは、国土管理とか、あるいは安全保障だとか、公共インフラとか、そういう様々な側面から見ても極めて重要な問題なので、やはり民が手放したものは官が一定の責任を持って管理していかざるを得ないと考えます。その際に大きな軸になるのは、国民に対する説明責任が果たせるような余剰の管理をしているかどうか、ここに尽きると思うんですね。ただ、それはあくまで大本の原則であって、個別個別の余剰の処理、これはその地域地域の実情だとか、地域住民の価値観だとか、あるいは地域における時代の流れだとか、そういうものを含めて、さっきお答えがありましたけれども、現場現場で差配していけるような、大本の国民に対する説明責任を果たしながら、地域地域での実情を勘案したような余剰管理というものを進めていくしかないのではないかな。そんな感想を持った次第であります。

ほかによろしゅうございますでしょうか。

〔 佐谷臨時委員 〕 今のお話ですけれども、例えば防災であれば、地域防災計画の中で避難所とか仮設住宅の着工についても計画をしているところがあります。このため、単独で考えるのではなく、関連部署と連携して国有財産の保持や売却の計画をどのように進めるかを検討することが重要だと思います。また、既に避難所や仮設住宅の建設候補地を計画されている地域もあるため、その情報も踏まえて検討されることをお勧めします。

〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、以上で本日予定しておりました議事は全て終了とさせていただきたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がございます。お願いいたします。

〔 坂口国有財産企画課長 〕 事務局から御連絡申し上げます。

本日使用いたしました資料は、この後、財務省のホームページで公表させていただきたいと思っております。

また、本日の議事録と議事要旨につきましてですけれども、委員の先生方の御確認を頂きまして、その後にまた財務省のホームページで公表させていただきたいと考えております。

記者レクにつきましては、本日この後、事務局のほうで対応させていただきます。

以上です。

〔 筒井分科会長 〕 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第61回国有財産分科会を終了いたします。大変御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。ウェブで御参加の委員は御退室いただきたいと存じます。

午前11時18分閉会

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