マダガスカル:子どもの急性栄養不良4倍に増加~4年続く干ばつで飢饉間近【プレスリリース】

2021/07/27  公益財団法人 日本ユニセフ協会 


体重測定を受ける双子のエリザちゃんとエリゼットちゃん。ボランティアの看護師が、週に1~2回、栄養不良の子どもの体重を測定し、栄養価の高いプランピーナッツを配布している。(2021年1月撮影) (C) UNICEF_UN0406816_Andrianantena
【2021年7月26日 アンタナナリボ(マダガスカル) 発】

干ばつの被害を受けたマダガスカル南部では、深刻な状態の11万人を含む少なくとも50万人の5歳未満児が急性栄養不良に陥り、成長と発達に取り返しのつかないダメージを受ける可能性があります。急性栄養不良の子どもの数は、2020年10月に実施された前回の評価から4倍に増加する見込みであるとユニセフ(国連児童基金)と国連世界食糧計画(国連WFP)は警鐘を鳴らしています。

4年連続の干ばつにより、作物は全滅し、人々は食料を手に入れることができなくなりました。収穫高が少なくなり食料備蓄が減る”lean season”が間近に迫り、状況は急激に悪化すると予想されています。マダガスカル南部では114万人以上が食料不足に陥っており、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)フェーズ5の「大惨事」にあたる状況の人の数は10月までに2万8,000人に倍増する危険性があります。

最も被害の大きかったアンブブンベ地区では、急性栄養不良率が27%という危機的な数字を記録しており、これ以上の悪化を防ぐための対応を緊急に講じなければ、飢饉に陥る危険に晒されています。こうした事態は、不十分な保健衛生施設や安全な水の不足によってさらに悪化しています。

栄養不良で入院し、治療用ミルクを口にする3歳の子ども。(2021年1月撮影) (C) UNICEF_UN0406803_Andrianantenaina
ユニセフ・マダガスカル事務所代表のミシェル・サンロは「状況がさらに深刻になるのを防ぐために、子どもたちの栄養不良の予防と治療に今すぐ投資する必要があります」と述べました。「家族に安全な水を提供し、栄養不良の子どもたちに治療食を与えることで、命を救うことができます。しかし、私たちは一刻も早く行動しなければなりません」

一部の基礎食品の価格が継続的に上昇していることと、市場でのそれらを手に入れにくくなっていることが、食料安全保障に悪影響を及ぼし続けています。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、人々が食料を手に入れたり、市場や仕事に行ったりすることを制限されるという新たな問題も起こっています。

ユニセフと国連WFPは、マダガスカル南部の深刻な食料不足に対処するため、昨年からマダガスカル政府やパートナーたちと一丸となり取り組んでいます。危機が深刻化するにつれ、国連機関はマダガスカル南部における栄養危機への緊急対応を強化しているところです。栄養不良の原因となるすべての要素に取り組む、統合的対応が必要です。栄養不良の治療は、全パートナーや国内当局と共同で、分野をまたがった確固たる予防・対応策と並行しておこなっていく必要があります。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
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■ 日本ユニセフ協会について
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