【祝・講談社絵本賞受賞!】 作者が、実父を亡くした後に見た「幸せな夢」から生まれた絵本、富安陽子『さくらの谷』

2021/04/19  株式会社 偕成社 

「あの夜の夢は、父が残していってくれた最後のプレゼントだったのかもしれません」

株式会社偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村正樹)が2020年2月に刊行した『さくらの谷』(富安陽子 文/松成真理子 絵)が「第52回講談社絵本賞」を受賞しました。



「ふしぎな夢を見ました。
冬枯れた山並みの中、満開の桜に埋もれた谷で、鬼たちが遊んでいるのです。
父を見送った夜に見た、その夢があまりにも美しくて、絵本にしたいと思いました。
美しく、幸福な、あの夜の夢は、父が残していってくれた最後のプレゼントだったのかもしれません。」(富安陽子)


▶︎書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033330006
▶︎紹介記事(ウェブマガジン):https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/s/osusume/osm200210/



講談社絵本賞受賞! 夢語りから生まれた絵本


『さくらの谷』は、2019年の春に実父を亡くされた作者の富安陽子さんが、お父さまを葬送した夜に見た「幸せな夢」から生まれました。それは、毎年父親と見た山の桜(*)の夢でした。

目が覚めたとき、目から涙がこぼれていたけれど、とてもとても幸せな気持ちだったのだそうです。この絵本は、その夢語りから生まれました。

(*)富安陽子さんは大阪府箕面市在住。毎年、お父様と箕面の山に桜を見に行っていたそうです。

講談社絵本賞
講談社が主催する、絵本において新分野を開拓し、質的向上に寄与した優秀な作品に対して贈呈される賞。今回が第52回目(2019年より「講談社出版文化賞絵本賞」から賞の内容を引きついで賞名が変更されました)。



そうか。みんな、ここにいたのか。桜の谷であそんでいたのか──。


春の気配がかすかに感じられる3月の肌寒い日。枯れ木におおわれた山を歩いていた「わたし」は、ふかい谷に、そこだけ満開の桜が咲いているのをみつけました。

たのしそうな歌声もきこえるようです。

さくら やなぁ
さくら とてぇ
さくら ゆえぇ
さくや ちらすや かぜまかせぇ

歌声に誘われるように谷におりると、色とりどりの鬼たちが花見をしているではありませんか。


そして、ひろげられたお重箱には、子どもの頃に母親が運動会の日に作ってくれた懐かしいお弁当のおかずが入っていました。

やがて、鬼たちと遊ぶうち、「わたし」はその鬼たちが、みんなこの世を去ったなつかしい人たちであることに気づきます。

そうか。みんな、ここにいたのか。桜の谷であそんでいたのか──。



書籍詳細



『さくらの谷』
文:富安陽子
絵:松成真理子
定価1,430円(本体価格1,300円)
判型:26cm×22cm
対象:5歳から
初版:2020年2月
書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033330006

*富安陽子さんのエッセイ『童話作家のおかしな毎日』(偕成社)に収録されている一編「運動会」には『さくらの谷』につながる、お弁当のエピソードが掲載されています。


▼童話作家のおかしな毎日
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784030034501


著者紹介

富安陽子(文)
1959年、東京に生まれる。日本の風土にねざした神話や伝承をいかした和製のファンタジー作品を数多く発表している。『クヌギ林のザワザワ荘』により日 本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、「小さなスズナ姫」シリーズにより新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』により産経児童出版文化賞、『盆まね き』により野間児童文芸賞を受賞。ほかに「シノダ!」シリーズ、『やまんば山のモッコたち』『キツネ山の夏休み』『レンゲ畑のまんなかで』『ぼっこ』などの作品がある。

松成真理子(絵)
1959年大分生まれ。絵本に『まいごのどんぐり』(児童文芸新人賞受賞)『くまとクマ』『にちようびのばら』『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』『たなばたまつり』『いまなんじ?』『ころんちゃん』『せいちゃん』などがある。

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