インパクトスタートアップのテクノロジーを活用した農業の脱炭素化実証を開始(野村證券)

2024/06/20  野村證券 株式会社 

インパクトスタートアップのテクノロジーを活用した農業の脱炭素化実証を開始

2024年6月20日

野村證券株式会社

野村證券株式会社(代表取締役社長:奥田健太郎、以下「野村證券」)と野村ファーム北海道株式会社(取締役社長:堀田稔、以下「野村ファーム北海道」)は、株式会社TOWING(代表取締役:西田宏平、以下「TOWING」)とサグリ株式会社(代表取締役CEO:坪井俊輔、以下「サグリ」)のテクノロジーを活用した農業分野の脱炭素に関する実証(以下「本実証」)を北海道で開始しました。

野村グループでは、野村ファーム北海道を2011年9月に設立し、約20haの露地・施設での大規模栽培および6次産業化による農業経営を通じた地域社会貢献とフード・アグリ産業支援を実践してきました。昨今、世界的に気候変動が深刻化し、農業分野における脱炭素の課題解決が求められる中、社会・環境課題の解決と持続的な経済成長を目指すインパクトスタートアップが持つ先端テクノロジーに着目して本実証に取り組むこととなりました。本実証では、テクノロジーが創出する、土質改善による環境負荷軽減効果と収量等の生産性向上効果の検証を行います。

農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに農林水産業のゼロエミッション化、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減する等の環境負荷軽減策の推進が定められており、本実証は、この政策に沿う具体的な取組みとしても意義があると考えています。本実証を通じて国内外での脱炭素社会への移行や農業の持続的発展に貢献するとともに、新たな市場として注目を集めている社会課題の解決を視野に入れたインパクト投資の発展も後押しします。

野村ファーム北海道の農地に宙炭を散布して耕す様子(赤枠内に宙炭を散布。黒い部分が宙炭)

本実証では、野村ファーム北海道の農地の一角に、インパクトスタートアップであるTOWINGが独自に開発した次世代土壌改良資材「宙炭(そらたん)」(後述の<株式会社TOWINGについて>をご参照ください)を散布し、化学肥料の大半を有機肥料に転換する農法を実証します。このようなバイオ炭の農地施用は土壌への炭素貯留(カーボンファーミング)効果があることから、カーボン・クレジット制度の活用にもTOWINGと連携して取り組みます。

宙炭散布による生育状況・土壌解析に関しては、インパクトスタートアップであり衛星データとAI技術で世界の農業課題の解決を目指すサグリのソリューションを活用し、多角的に本実証に取り組みます。
野村グループのフード・アグリ産業領域における知見と両社の持つテクノロジーを組み合わせることにより、社会的なインパクトを生み出すことを目指します。

野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスのもと、社会課題の解決を目指すお客様の取組みのサポートや、イノベーションの創出を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

本実証の概要

実証場所 北海道江別市江別太(野村ファーム北海道 所有農地)
実証品目、宙炭散布面積 スイートコーン:約1,400m²、南瓜:約1,000m²
実証開始日 2024年6月8日(宙炭散布日)
農産物収穫予定 2024年9月上旬(スイートコーン)、9月中旬(南瓜)

株式会社TOWINGについて

「持続可能な超循環型農業を地球・宇宙双方で実現する」をミッションに掲げる、2020年2月創業の名古屋大学発インパクトスタートアップです。地域の未利用バイオマスの炭化物に同社が保有する土壌由来の微生物群を効率的に選別・培養する技術を用いて実現した農業資材、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発・販売しています。農地に施用すると、作物の品質や収穫量向上、温室効果ガス排出量削減や、資源循環の促進などが可能です。農林水産省みどりの食料システム法に基づく基盤確立認定事業者であり、2022年度「STI for SDGs」アワード 文部科学大臣賞など受賞多数。

サグリ株式会社について

「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げ、2018年6月に兵庫県で創業し、岐阜大学発スタートアップに認定されているインパクトスタートアップです。AI技術を用いた衛星データ解析をコアな技術とし、社会・環境問題の課題解決を目指しています。海外では、シンガポールとインドに現地法人を有し、インド、ベトナム、タイ、バングラデシュ、ケニア、タンザニア、ペルー、ブラジルでも事業を展開しています。第6回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞など受賞多数。

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