財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ

2023/12/25  株式会社 オリエンタルコンサルタンツホールディングス 

2023 年 12 月 22 日

株式会社オリエンタルコンサルタンツホールディングス

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ

当社は、金融商品取引法第24 条の4の4第1項に基づき、本日、関東財務局に提出いたしました 2023年9月期(第18 期)の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備があり、当社の財務報告に係る内部統制は有効でない旨を記載いたしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。



1.開示すべき重要な不備の内容

1.1 今回発生した事案の発見に至った経緯と特別調査委員会の立ち上げ
当社は、2023 年 2 月 27 日から行われた当社連結子会社である株式会社オリエンタルコンサルタンツ(以下、「OC」という。)に対する定期税務調査において、協力会社(下請業者)への委託費及び経費について、協力会社の役務提供を受けた案件ではなく、別の案件に計上している(以下、「原価付け替え」という。)との指摘を受け、同年 4 月 27 日からの OC 社内調査、並びに、同年 7 月 18 日からの弁護士及び公認会計士等の外部専門家による原価付け替えの実態把握のための調査の結果、
複数の拠点において原価付け替えが行われていたこと、また、売上の前倒し計上の疑義もあること、これらが過年度においても行われていた疑義があることが判明いたしました。

そのため、当社は、特別調査委員会を設置して徹底した調査を行う必要があるものと判断し、当社と利害関係を有しない外部の有識者によって構成する特別調査委員会を同年 8 月 4 日に設置し、調査を開始いたしました。

特別調査委員会による調査の結果、OC において原価付け替え、売上の前倒し計上という不適切な会計処理が全拠点において、また、複数事業年度に亘って行われていたことを確認いたしました。また、OC 以外の当社連結子会社においても、一部の案件について原価付け替えが行われていたことを確認いたしました。

1.2 OC における不適切な会計処理の発生原因
(1)動機
原価付け替えを行う動機として、①案件ごとの目標原価率の達成を目的とした原価調整(平準化)、②部署または個人の出来高及び売上の確保・達成、③出来高が少ない部署の要員が他部署へのサポート要員となることの回避、④手戻り案件や仮件番の申請に関する社内手続きの回避があることを確認いたしました。

また、売上の前倒し計上を行う動機として、業績目標達成に対するプレッシャーがあることを確認いたしました。

それらの動機の原因は、事業本部が案件毎の目標原価率の達成におけるモニタリングを月次で実施している等の業績管理手法に起因していることを確認いたしました。

(2)機会
原価付け替え及び売上の前倒し計上を行うことができた機会として、①委託費および経費の支払いに関するチェック体制の不備、②上長の指示・黙認、③役務提供とは別の案件の件番や業務内容を記載した「請求書」の作成依頼に応じる協力会社の存在、④第2線(OC 全社の経営・業務・財務等を管理している統括本部)および第3線(内部監査部門)の機能不全があることを確認いたしました。

(3)正当化理由
原価付け替えの正当化理由として、①周囲の皆が行っているという意識、②上長の承認または指示によるものという意識、③原価付け替えによる会計上の影響はほぼ発生しないという意識(知識・意識の欠如)を確認いたしました。

また、売上の前倒し計上を行う正当化理由として、①ほぼ完成している案件であるという意識(完成基準)、②会社や部署の業績目標を達成するためという意識、③会社または上長の意向・指示によるものであるという意識、④協力会社が全く何の作業も行っていないわけではないという意識であることを確認いたしました。

(4)真因
以上の動機、機会、正当化理由の確認結果により、不適切な会計処理が行われていた原因は様々でありますが、不適切な会計処理を行ってはいけないという規範意識が浸透しておらず、安易に原価付け替えや売上の前倒し計上が行われていることとなり、真因は、適正な会計処理に対する規範意識の全社的な欠如であることを確認いたしました。

具体的には、①社長からのメッセージとして事業の前提あるいは土台となるコンプライアンスの重要性に関する情報発信に不足があったこと、②事業本部からの通達においても、会計処理におけるコンプライアンスに関する意識喚起はほぼ皆無であったこと、③事業本部の月次原価モニタリングが現場には業績目標達成のプレッシャーとして捉えられてしまうような業績管理手法であったこと、④行動指針等に上場企業グループの中核企業の一員としての適正な財務報告(会計処理)に関する記述がなかったこと、⑤予算管理者に対して会計に関する教育が実施されていないこと、⑥OC 経営陣の不適切な会計処理に対するリスク感度や上場会社グループとしての会計処理の重要性に対する認識が欠如していたこと、⑦当社の内部監査部門に十分なリソースが投入されておらず当社連結子会社に対して十分な支援ができていなかったことなどが、適正な会計処理に対する規範意識の全社的な欠如をもたらした問題点であります。 また、委託費及び経費の支払いに関して、件名や件番を記載した「請求書」を入手する社内ルールは特段存在しておらず、不適切な委託費及び経費の支払い防止という観点の社内ルールが十分ではありませんでした。
また、上述した適正な会計処理に対する規範意識の全社的な欠如もあり、技術部長の承認(ルール上は委託費のみ)や経理部門の確認・承認は原価付け替えや売上の前倒し計上の防止策として機能していませんでした。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.oriconhd.jp/files/information/news20231225_01.pdf

関連業界