法科大学院等特別委員会(第80回) 議事録

2018年03月30日  文部科学省 

法科大学院等特別委員会(第80回) 議事録

1.日時

平成29年5月17日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 第二講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 平成29年度入学者選抜実施状況及び平成28年度修了認定状況について
  2. 共通到達度確認試験システムに関するワーキング・グループの設置について
  3. 法科大学院等の教育の改善・充実について
  4. その他

4.出席者

委員

(正委員)有信陸弘,清原慶子の各委員 (専門委員)井上正仁,岩谷十郎,岩村正彦,大沢陽一郎,大貫裕之,加賀譲治,笠井治,樫見由美子,片山直也,鎌田薫,木村光江,佐伯恒治,酒井圭,潮見佳男,染谷武宣,髙橋真弓,中島康予,長谷部由起子,日吉由美子,丸島俊介,山本和彦の各委員

文部科学省

浅田大臣官房審議官(高等教育局担当),浅野専門教育課長,大月専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室室長補佐,真保専門教育課専門官

5.議事録

【井上座長】
所定の時刻になりましたので,第80回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
本日は,今年度の法科大学院入学者選抜実施状況等について報告していただきますとともに,前回の特別委員会に引き続き,法科大学院等の教育の改善・充実について御議論いただきたいと考えております。本日も活発な御議論をよろしくお願いいたします。
まず,事務局から配付資料の確認をしてください。

【大月専門職大学院室長】
事務局でございます。
まず,各種資料でございますが,議事次第にありますとおり,資料1から資料1-3,資料2-1から2-2,資料3-1から資料3-3と,加えて,参考資料1から参考資料4までです。参考資料1につきましては前回のデータ集を更新したもの,参考資料2から4につきましては,これまで同様,配付しているものでございます。 以上でございます。

【井上座長】
それでは,不足等がありましたら適宜お申出を頂ければと思います。
早速議事に入ります。
まず,法科大学院の平成29年度入学者選抜実施状況及び平成28年度修了認定状況について,調査結果がまとまったということですので,事務局の方から説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
お手元に資料1-1,1-2,1-3と参考資料1を御用意いただければと思います。
また,御説明の前に,本日,衆議院の文部科学委員会等が開催されておりまして,国会対応のため,事務局の幹部が欠席しております。まことに申し訳ありませんが,やむを得ない事情でありますので,御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
また,従来,資料につきましては,配付資料のほかに机上資料という形で分厚い資料を置かせていただいておりましたけれども,タブレットに保管しております。タブレットにつきまして,押せば資料が出てくる形になっております。操作方法で不明な点等ございましたら,挙手を頂ければ事務局の者が御説明に上がりますので,よろしくお願い申し上げます。
それでは,資料1-1に沿って御説明申し上げます。資料1-1,志願者数・入学者数の推移でございますが,1ページ目の中段が志願者数の平成29年度部分でございます。対前年度比1.4%減の8,159人でございます。平成29年度入学定員は,御案内のとおり,前年度比5.8%減の2,566人であり,その結果,志願倍率は,1ページ目の資料1の一番下段にありますように3.2倍と,やや回復しているところでございます。
2ページ目の中段にありますように,「2.入学者数」について,①の法学既修・未修の別でございますが,中段の下の部分にございますとおり,平成29年度の入学者数1,704人。そのうち既修者が66.7%,未修者が33.3%となっております。この志願者数に比べて入学者数について減少幅が大きいというのは,法科大学院に関して,公的支援にめりはりある予算配分を行う仕組みとなっており,入試の競争倍率は2.0倍を確保しなければ基礎額で減額される仕組みとなっておりまして,各法科大学院が合格者を絞って,入試の競争倍率2.0倍を確保したことによるものと考えております。
続きまして,資料1-1の2ページ目一番下の段にありますように,社会人の平成29年の入学者は,前年と同様,20.0%となっております。
資料1-1の一番最後のページでございますが,これは入学者の出身学部を表しております。法学部については前年度とほぼ同水準の85.4%,理系も前年度とほぼ同水準の2.4%となっております。
資料1-2は,法科大学院ごとの数字でございますので,説明は省略させていただきます。
続きまして,資料1-3。こちらは法科大学院の修了認定状況の推移を表しております。
3ページ目は平成28年度の修了認定状況が記載されております。標準修業年限での修了者数について,3年コースの法学未修者は49.3%と,前年度の52.4%から減少しており,法学既修者の2年コースも76.0%と,前年度の79.8%から減少。合わせても減少しており,総数として66.4%となっているところでございます。
続きまして,標準修業年限で修了しなかった者の事由でございます。資料1-3,一番最後のページでございますけれども,平成28年度,標準修業年限で修了しなかった者の事由,未修者コースについては平成26年度に入学した者,既修者の2年コースについては平成27年度に入学した者の数字ということでございますが,退学した者が42.6%,その他(原級留置・休学等)が57.4%となっております。司法試験合格のために退学した者が6.8%,人数としては51人と,前年度と比べて増えているところでございます。
最後に,参考資料1-1を御覧ください。1ページ目に,法科大学院における平成29年度の入学者選抜の状況がまとめて記載しております。先ほどの資料は,経年度の変化が分かるものでありますけれども,平成29年度の数字は非常に分かりづらいものになっておりますので平成29年度,前年度との比較等については,こちらの資料を御参照いただければ幸いでございます。
説明は以上でございます。

【井上座長】
ありがとうございました。
それでは,ただいまの説明につきまして,御質問あるいは御意見等がございましたら御発言願います。

【片山委員】
1点。もし数字が分かるようでしたらお願いしたいのですけれども,志願者数は,1-1の資料によりますと,平成29年は8,159名ということですが,これはいわゆる併願をカウントしているということですが,実質的にどのぐらいの数が志願しているかについて,もし分かるようでしたら,難しいかと思いますけれどもお教えください。

【井上座長】
実数ですか。

【片山委員】
実数ですね。よろしくお願いいたします。

【井上座長】
そういうのは分かるのですか。

【大月専門職大学院室長】 現在,適性試験はまだ任意化されておりませんので,その意味では,手元にはございませんけれども,適性試験の受験者数を見れば,実数というのがおおよそ分かるようになっております。実数についてもしっかり分かるような形でお伝えしたいと思います。

【井上座長】
それは調べれば分かる数字だと思いますので,よろしくお願いします。
ほかに御質問,御意見等ございますか。

【日吉委員】
一つ質問があります。資料1-1の2ページ目の下の方の数字についてですが,社会人の入学状況で,去年,今年と,もちろん全体総数は減少しておりますが,うち未修者の社会人の割合が,微々たるものとはいえ,去年から回復基調になっているような数字が出ていて,去年が32,3で,今年が34.6と,そのパーセンテージだけを見ますと平成18年度ぐらいまでのレベルになっているんですけれども,これは何か兆候というか,どのようなことが原因であるか,何か分析,あるいはその背景などはありますでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
しっかりとした分析等は行うことができておりませんけれども,法科大学院ごとの個別の数字,資料1-2にございますけれども,それを見ると,今年は志願者数をしっかり確保しているところがありますので,一つは各法科大学院の努力によるものかと思っております。
また,社会人の入学者については,告示で一定割合とるような義務付けをしておりますので,その歯止めがあることから確保しようとしているというところもあるのかなと思います。正確なものではございませんが,以上でございます。

【井上座長】
日吉委員,何か御意見はございますか。

【日吉委員】
告示の存在はずっとあるわけですし,もし何か,まだまだそんなに喜べるような回復ぶりではないとはいえ,何かが働いて,それが誘因,原因となってこのような兆候が出ているのであれば,是非それを知りたいと思うところです。といいますのも,社会人で未修者というのは純粋未修者でしょうから,そういう方たちが何らかのきっかけ,あるいは何かがあって,ずっと減る一方だったもののところに,法科大学院に行って勉強してみようと何か思わせるものが働くようになったのであれば,それは良いことでありますし,その動きを加速させる一つのよすがにもなるのかなと思ったものですから質問した次第です。

【井上座長】
先ほど大月室長も言われたように,今年は,個別の大学院ごとに見ると,受験者数にかなり増減が見られるのですね。30,40と大幅に増加しているところがある一方,反対に30,40と減少しているというところもあって,この差がどこから出てきているのか,従来とは違う現象といえます。全体として基本的に実入学者数がどんどん減っている中で,少しでも増えれば大きな変化です。いくつかの法科大学院では,地道な努力で10,20と積み上げているように聞いているのですけれども,そういうことだけなのか,あるいは他の要因も働いているのか,今後分析をして,我々の議論にも反映させるようにできればと思います。

【真保専門教育課専門官】
先ほど片山委員から御質問がありました,実際の数がどの程度なのかということの目安でございますが,2016年の法科大学院全国統一適性試験の実施結果を確認いたしましたところ,実人数の志願者が3,535人,受験者が3,286人となっておりますので,参考までにお知らせさせていただきます。

【井上座長】
恐らく,その数から少し減ったぐらいの数が志願者の実数ということでしょうね。
ほかに,ご意見等はございませんか。どうぞ。

【有信委員】
参考資料1の3ページ目,ここに法科大学院の入学定員の推移というグラフがあって,一応今年は2,500人になって,「ほぼ目標達成!」というふうに書いてあるんですが,全体で入学定員が2,500人になり目標を達成したと,そういう感覚でよろしいのかというのが少々気になります。法科大学院の教育改善ということでいうと様々な要素があって,以前議論されたのは,例えば「余りにも小規模になり過ぎるときちんと教育ができない」であるとか,そのために「連携をしてきちんとしたコースを作るような指導をする」であるとか,様々なことが議論されたような気がするんですけど,今後,この辺りの2,500人という定員が,これは別のところで議論されたんだと思いますが,これと法科大学院の実情との関連を含めて,整理をして議論していく予定はあるんですか。

【大月専門職大学院室長】
委員御指摘のとおり,各法科大学院の規模について一定程度確保すべきだということは,この中央教育審議会の特別委員会等でも御指摘があって,そういうことを踏まえて検討が進められてきたと理解しております。
ただ,2,500人という数字は,司法試験の合格者数が1,500人程度は輩出されるようということを踏まえ,7割合格することを踏まえて算出したものでございます。この2,500人の関係では,ほぼ達成はしておるものの,本当であるならば,入学者数も2,500人程度あるのであればこれで達成ということが言えるのではないかと思うのですが,先ほど御説明したように,入学者数は,下げ止まりが見られるかと思いながらも1,700人余りでございます。そのような観点から,この2,500人を見直すというより,2,500人に実際の入学者が近付けるように,手段について検討していかなければならないと考えております。

【有信委員】
つまり,2,500人になったから良いとか悪いとかそういうことではなくて,後半の方で,法科大学院の教育改善についても議論されるようにはなっていますけれども,単純に,総定員がこの辺に落ちついてきたという話と入学定員がこのレベルだというような話という総量の話とは別に,それぞれの法科大学院の実情が,具体的に思うような方向に行きながらこのような形に収束してきているのか,あるいは,相変わらずまだまだ問題のあるようなところがいろいろあって,更に少し検討を進めなければいけないのか。こういう議論も多分きちんときめ細かくそれぞれの法科大学院の実情を見ないといけないと思うんですね。ですから,その辺のところがもう少し資料としてあると良かったかなと思いましたが。

【大月専門職大学院室長】
その点につきまして,教育状況調査というものを昨年度も実施させていただきました。書面での調査と,必要に応じて実地調査を行っております。確か,第78回の特別委員会で簡単な報告があったと思いますが,実地調査を行ったところについては,やはり何かしらの問題があるので実地調査を行ったわけですが,かつて見られたような,非常に大きな問題を抱えているところはないと考えているところでございます。ただ,法科大学院の教育全体について改善を進める必要がございますので,また本委員会で御議論を進めていただくというふうに理解しております。

【有信委員】
分かりました。

【井上座長】
このようなことは,ある一つの視点だけで見るのは非常に難しいことは御承知のとおりだと思います。これまで2,500人を目途にしてきたのは,定員と実入学者数とのの乖離が非常に大きかったので,そもそも定員の設定が適正なのかを一度見直そうということで,いろいろな数値を使って目標値を出し,実数との乖離を縮めるため,財政支援上の誘導策なども用いてきた。それがかなりの効果を示してきたわけですが,それでも実入学者数がさらに減っていく中で,その実数に限りなく近づけるよう定員をどんどん減らしていきますと,ほとんど底なしの,きりもみ状態で墜落していくようなことになるので,やはりある適正値というのを設定して,実数はそれより下がってはいても,その乖離がさらに大きくならないようにする,さらには反転して実入学者数を少しずつでも増やして,目標値に近づけるべく,法科大学院自体の体制や教育を一層充実させていくことを考えようというのが,これまでの議論の方向だったと思います。
今,有信委員が言われたように,中身についてはもっと立ち入って検討し,本当に理想的な形になっているのかどうか,きめ細かく議論していかないといけないと思うのですけれども,さっき大月室長が言われたように,毎年行ってきている教育状況調査,私も去年,一部参加させていただいたのですけれども,その前身として私などが前に行っていたいわゆる「第3ワーキング・グループ」の調査の頃に比べて,状況が大分変わってきているように実感しました。つまり,各法科大学院の懸命の工夫と努力により,内容的にかなりの改善が見られるのではないかということです。もちろん,問題はまだまだ解消したわけではないでしょうが。ほかの方はいかがでしょうか。
ほかに特に付け加えることはございませんでしょうか。
それでは,この議題については,これくらいにさせていただきます。
次に,共通到達度確認試験システムに関するワーキング・グループの設置についてお諮りしたいと思います。共通到達度確認試験につきましては,これまでも前期の本特別委員会の下にワーキング・グループを設け,併せて文部科学省にも有識者会議を設置して,試験の結果分析などを行い,試行試験の実施,および本格実施に向けた検討を行っていただいてきたわけですが,今期も引き続き,本特別委員会の下にワーキング・グループとして設置し,同様のお仕事をしていただきたいと思います。
これについて,事務局の方より資料の説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
資料2-1と2-2をお手元に御用意願います。
共通到達度確認試験については,御案内の方も多いかと思いますが,改めてその内容について,資料2-2に書いておりますけれども,法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組ということで,導入について検討が進められているというものでございます。平成27年6月の,関係大臣で構成された法曹養成制度改革推進会議の決定におきましては,「文部科学省は,法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組である共通到達度確認試験(仮称)について,平成30年度を目途に本格実施に移すべく,試行を毎年度行い,その結果を踏まえ,出題内容や難易度等の改善をその都度図るとともに,その試行対象者を法学未修者から法学既修者に順次拡大する」とされておりまして,平成29年3月の第3回の試行試験につきましては,第1回,第2回の憲・民・刑の3科目から7科目に拡大して実施したところでございます。3回とも法科大学院で学修したならば到達しておくことが求められる共通的なモデルの枠の中で出題し,形式としては正誤式問題と多肢選択式問題のマークシート方式で行っているところでございます。
実施内容・実施方法に書いてありますとおり,第3回の試行試験につきましては,修業年限が3年の未修者コースに入学した者の1年次の修了時点の3月に憲・民・刑の3科目で,また,未修者コース・既修者コース共通ですが,2年次の修了時点の3月に憲・民・刑3科目に訴訟法2科目,商法・行政法を加えた7科目で実施しました。また,憲・民・刑につきましては,1年と2年の共通問題と学年別問題で出題しております。
確認試験につきまして,座長から御説明いただいたとおり,資料2-1が今期の専門的な調査・分析・検討を行うワーキング・グループを設置する案の資料でございます。資料2-1の1に記載している所掌事務を行うため,ワーキング・グループを本委員会に設置して,今年度におきましては,第4回の試行試験の在り方を中心に御検討いただきたいと考えております。
また,これまで同様,2に記載しておりますとおり,共通到達度確認試験ワーキング・グループの委員は座長が指名する。ワーキング・グループの主査も座長が指名するとしております。
また,「4.」に記載しておりますとおり,ワーキング・グループの審議状況は,適時に本特別委員会へ報告するものとしております。
なお,第4回の試行試験を実施するに当たっては,第3回の試行試験の専門的な報告書を基に,主に試験科目について憲・民・刑の3科目にするのか,それとも7科目にするのか,試験科目として恐らく含まれるであろう憲・民・刑の3科目については,第2回試行試験のように全て共通問題で実施するのか,それとも,去る3月に実施した第3回の試行試験のように学年別問題を含めるかについて御検討いただきたいと考えております。
御説明は以上でございます。

【井上座長】
今説明していただいたとおりでございますが,このワーキング・グループの設置をお認めいただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【井上座長】
ありがとうございます。
なお,主査は,引き続き山本和彦委員にお願いしたいと考えております。よろしくお願いします。
この共通到達度確認試験に関する先ほどの事務局の方からの説明につきまして,御意見等がございましたら御発言を頂けますか。
大貫委員,どうぞ。

【大貫委員】
確認試験の実施については本当に御苦労さまでございます。特に試験問題を作る先生方の御努力を考えると,本当に頭が下がる思いです。
私も前期のこの委員会のワーキング・グループに入っておりました関係でちょっと確認の質問をしたいのですが,記憶によりますと,試行試験ごとに各法科大学院にアンケートをしていたと思うんですね。というのは,この到達度試験を導入するに当たって,とりわけ2年から3年のときにカリキュラムの進行度合いが違っていて,果たして各法科大学院で共通到達度確認試験をどのように進級判定等に使えるのかというのは一つ争点になっていたと思うんですね。そのこともあって,各法科大学院が問題を見てどのように判断されたのか,自らの学生の成績を見てどう判断されたのか,ということを聞くことになっていたと思うんですけれども,その結果はまだ出てこないということでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
まだ集計中でございます。

【大貫委員】
次の会議あたりは出てくるということですか。

【大月専門職大学院室長】
ワーキング・グループにつきましては,今後,委員につきまして座長と相談をして速やかに決定をいたしまして,なるべく早く開催したいと思います。それまでに間に合うのかちょっと確認できておりませんけれども,速やかに御提供いたしまして議論に資するような形をとりたいと思っております。

【大貫委員】
ありがとうございます。ワーキングはそんなに回数は予定されていないと思いますので,余りそのアンケートが遅れると,制度設計の検討の際にちょっと支障が出るかなと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【井上座長】
先ほど主査は決めたのですけれども,委員につきましては,速やかに私の方で考えさせていただきたいと思います。その上でワーキング・グループの会合を開き,その際に,大貫委員がおっしゃったとおり,基礎資料として間に合うように準備していただければと思います。
真保専門官どうぞ。

【真保専門教育課専門官】
1点だけ,事実関係を御説明させていただきます。
今,大貫委員から各法科大学院に対するアンケートという御発言がありましたけれども,第2回の試行試験から,法科大学院ではなく,各学生に対してアンケートをとらせていただいております。学生に対するアンケートの概要,結果等をワーキング・グループにお示しいたしまして御議論を頂きたいというふうに考えているところでございます。

【井上座長】
よろしいですか,それで。

【大貫委員】
済みません,長引かせて。じゃ,各法科大学院に対するアンケートはやっていないということですか。

【真保専門教育課専門官】
学生に対して書面でアンケートを行っております。

【大貫委員】
学生だけですね。

【真保専門教育課専門官】
はい。

【大貫委員】
分かりました。

【井上座長】
潮見委員どうぞ。

【潮見委員】
そうであればお願いがあります。同じようなことを大貫委員は頭に描いたのかもしれませんが,今後,試行が取れて正式の試験になっていくと思います。そのときに法科大学院のカリキュラムだとか,あるいは科目だとか,あるいは更には司法試験の受験科目との整合性とか,いろいろな問題が複雑に絡んできて,こうした問題というのは,一人一人の受験した学生にアンケートをとっても把握はできないと思います。ですから,できれば法科大学院,あるいは法科大学院を設置している大学の方に意見照会なり,何らかの形でヒアリングをするなりという対策を考えてほしいということです。
以上です。

【井上座長】
それはまた,具体的にはワーキング・グループの方でお考えいただいて適切な方法をとっていただければと思います。潮見委員,そういうことでよろしいですね。

【潮見委員】
はい。

【井上座長】
山本委員,何かございますか。

【山本座長代理】
恐らく,今回のワーキング・グループは,今,潮見委員から御指摘があったように,本格施行に向けてかなり取り組んでいかなければいけないと思っていますので,座長の方にもメンバーの選定につきましては,各法科大学院の意見を反映できるようなメンバーにお考えいただきたいと思いますし,今,御指摘のようなヒアリングとか,そういうことができるか,考えていきたいと思います。

【井上座長】
清原委員どうぞ。

【清原委員】
清原です。
この共通到達度確認試験(仮称)につきましては,将来的には法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組みとして今まで試行されてきたと認識しています。しかしながら,試行期間でありますゆえに,資料2-2 1.実施内容・実施方法の7番目の項目でございますが,「参加法科大学院へは平成29年4月以降に所属学生の試験結果を送付することとし,試行試験結果が進級判定等に利用されるのではないか等の学生の疑念を軽減」とあります。もちろん,試行期間の試験ですから進級判定等に使うことはふさわしくないので,このような御配慮があるのは当然かと思うのですがが,しかし,今の御議論にもありましたように,この試験が,法科大学院の教育の充実ですとか,あるいは学生にとって,自ら到達度を判定できることによって自分の強み,弱みを発見し,そして司法試験に臨むときの更なる学びの再編成といいましょうか,そういう教育的効果もあるはずなんですね。
したがいまして,今,お二方の委員が御指摘されましたように,受験された学生のアンケートも貴重な資料になるかと思いますが,併せてこの試験が本当に法科大学院の教育にどの程度貢献できるか,カリキュラムとの連関性はもちろんのこと,司法試験の予備校ではないとは言われながら,やはり有効な司法の専門家として必要な学力,学びの検証機能というのでしょうか,そういうものを果たすことが期待されるはずだと思います。
ですから,「学生の疑念を軽減」という表現が何か気になります。学生も一緒になって望ましい共通到達度確認試験を自分たちも作っていくんだというような,そういう連携というか,主体性というか,そういう機運を作っていただいた方が私は望ましいのではないかなと感じます。いかがでしょうか。
以上です。

【井上座長】
貴重なアドバイスとして受け止めさせていただき,具体的にはワーキング・グループの方の議論に反映させていただければと思います。これは,決して後ろ向きの発想ではなく,むしろ,制度そのものとしてはポジティブに,これを有効に活用していきたい。それぞれの法科大学院の進級判定などにも有機的に組み込んでいければと考えているもので,さらにその先,より重要な機能を果たさせるということもあるかもしれませんけど,ともかく,法科大学院における教育の充実・改善,それと,それぞれの個々の学生の学習の有効な手掛かりにするということを目指してやってきたものですので,その辺はご理解いただければと思います

【清原委員】
ありがとうございます。よろしくお願いします。

【井上座長】
まだ次の議事もありますので,この点はこのぐらいでよろしいでしょうか。
それでは,本日,ちょっとお時間を頂いて議論をしていただきたい3番目の議題ですけれども,本年2月,3月に開催された本特別委員会において,今後の法科大学院等の教育の改善・充実に関する論点につきまして御検討いただきましたが,今回もそれに引き続き御議論を頂ければと思います。
これまでの議論を事務局の方においてまとめてくださっております。それとともに,これまでの御議論を踏まえて,考えられる改善の方向性についても付記して下さっていますので,この資料を手掛かりに,御議論いただきたいと思います。まず,事務局からこの資料について説明をお願いできますか。

【大月専門職大学院室長】
それでは,資料3-1,3-2,3-3を御用意願います。
資料3-1に沿って御説明申し上げます。資料3-1は,座長から御説明いただきましたとおり,これまでの委員の御意見を事務局でまとめさせていただいたものでございます。前回の主な論点について(案)を更新したものというような位置付けでございまして,「論点と改善の方向性」(案)というものでございます。
まず,前回は審議に当たっての基本認識と書かせていただいておりましたところについて,法科大学院の目指すべき方向性ということで,大きな方向性としては,グローバル化の更なる進展や,第4次産業革命によるビジネスモデルの転換等を踏まえた,我が国の成長を担う法曹・法律系人材を育成すべきということで,それに関してこのような形で進めるべきだということが記載されているところでございます。
個別の論点といたしまして,前回同様,大きな柱といたしましては,法科大学院と法学部等との連携強化。また,後ほど出てきますけれども,法学未修者コース入学者に対する教育の在り方,法学部教育の在り方ということで,まず,法科大学院と法学部等との連携強化という部分でございます。
組織の在り方。論点,こちらは前回も記載させていただいたとおりでございますが,法科大学院と法学部・法学系の大学院(修士課程・博士課程)の有機的連携の強化,又は組織の一体化を促進することとしてはどうか。前回もこれを補強するような御意見が出されたところでございます。
現状でございますけれども,皆様御案内のとおり,法科大学院制度の創設に当たっては,プロフェッションとしての法曹を養成するという役割に特化するため,法科大学院は「独立性の確保」が求められたことから,多くが独立研究科として設置され,現在に至っております。
その下にありますように,独立研究科として設置されたことは,組織としての決定がスムーズになるなどのメリットがあった一方,2ページ目でございますが,法学部等との連携がしにくいといった課題も生じております。
現在,法科大学院と法学部の間では,効果的な教育を実施する観点から,授業の相互交流や教員の相互交流,法科大学院進学・法曹志望への動機付けといった取組が連携して実施されております。この法科大学院進学・法曹志望への動機付けという観点から,これまで何人かの委員からこのような取組を行っている旨の御紹介を頂いたところでございますが,それに関しましては資料3-3で,まとめた資料も配付させていただいているところでございます。
改善の方向性でございますけれども,資料にありますように,法学部や法学研究科等との組織の一体化など,独立研究科以外の柔軟な組織形態の採用が可能であることを明確にしてはどうかということ。
また,法学部・法学系の大学院との連携の実効性を高めるため,教育の質保証を前提として,専門職大学院の必置教員が学部や大学院の専任教員となることを一定程度認める方向で,専門職大学院全体の課題でもございますので,大学院部会において関係規定の在り方を議論していただいて,それを踏まえて御議論していただいてはどうかということでございます。
こちらについて補足いたしますと,多くの先生が御案内のとおり,法科大学院をはじめ専門職大学院制度の創設後10年までは必置専任教員の3分の1は兼務を認められていたところでございますが,現在,その特例が解消されておりますけれども,それを復活すべきではないか,また,それはやはり特例であって,それはまた認めるべきではないというようなことについて,専門職大学院全体として御議論していただくということを考えているところでございます。
続きまして,(2)時間的負担の軽減でございます。こちらについて,前回と同様の形で論点を示させていただいておりますけれども,前回もこれを支持する,補強するような御意見を頂いたところでございますが,端的に,自大学の法学部と法科大学院の間で当該コースを事実上の「5年一貫コース」として運用していくのが適当ではないかというような御議論,御意見が出ておりますけれども,どのような課題があるかということが大きな論点かと思っております。
現状でございますけれども,早期卒業・飛び入学を利用して既修者コースへ入学する者は,平成29年度,最新のデータでは47名となり,増加傾向が引き続き続いておりますけれども,割合としては約3%にとどまっております。
幾つかの大学では,法学部において法科大学院進学を念頭に置いたコースを設置しておりますけれども,前回も御紹介いただきましたけれども,各大学において当該コースの開始年次や学修内容は様々であります。
一方で,資料3-1,2ページ目下段にありますように,法科大学院制度の創設時に入学者選抜の公平性・開放性・多様性が求められたことから,自大学の学生を対象とした推薦入試等の導入については,各法科大学院において謙抑的,事実上行われていないような状況でございます。
続きまして,3ページ目でございますが,改善の方向性といたしまして,1段落目にありますように,法曹への志望が明確である学生に対しては,飛び入学・早期卒業の利用を前提に,法学部から法科大学院までの教育課程を一貫的に実施するなど,教育課程面での連携を強化すべきではないか。
続きまして,記載しているとおり,具体的には,法学部に法曹コースを設置することを奨励し,そして,法学部と法科大学院を一体的に運用するのが適当ではないかというような御意見がありましたので,法科大学院教育の一部を先行して履修するなど,教育の充実を行うことが考えられるのではないか。ただ,前回も御議論がございましたけれども,法学部については,法律基本科目を充実していただくとともに幅広い教育を行ってもらうことが重要ではないかというような御意見が出ており,どのように反映させていくか。
最後,法学部の進路は多様であり,一般論として,法曹になるための学部教育とそれ以外の職業を志望する者への学部教育の内容には違いがあることから,具体的な教育課程の検討に当たっては法学部教育への影響に留意しつつ,法学部と法科大学院のそれぞれで学修するべき内容について検討することが必要ではないかとしております。
続きまして,3ページ目中段の研究者養成のところでございます。こちらも前回同様,論点といたしましては,法学研究の道を選択する者を継続的に確保するために,法科大学院と法学部・法学系の大学院との連携などの方策はどのようなものかとしております。
現状,法科大学院制度の創設に当たっては,法学系の大学院(修士課程・博士課程)と連携して充実した教育研究が行われることが望ましいとされ,法科大学院の教員は,将来的に,少なくとも実定法科目の担当者については,法曹資格を持つことが期待されていました。
法科大学院の中には,リサーチペーパーの単位化等,研究者養成の促進に向けた取組を行っている例も見られます。しかしながら,法科大学院を経由して研究職に就く者は,法学部入学者は横ばい傾向が続き,法科大学院志願者や法曹志願者が減少する中で,当初期待していた規模には及んでいないとの指摘がしばしばなされる状況でございます。
改善の方向性というのではなくて課題として,具体的な連携方策としては,法科大学院と研究大学院のカリキュラム上の連携や,先ほどもお話いたしました,教員の兼務にかかる制度面の障壁を取り払うことなどが考えられるのではないかと記載しております。
(4)地方における法曹養成の在り方でございますが,記載しておりますとおり,論点は前回同様,地方における法科大学院と法学部・法学系の大学院との連携による法曹養成機能の在り方をどのように考えるか。
法科大学院間での効果的な教育方法の共有などを通じた質の高い教育が必要ではないかということ。現状でございますが,司法制度改革においては,地域を考慮した全国的な適正配置に配慮するとされましたが,地方に立地する法科大学院の募集停止が相次ぎ,地方における法曹養成機能の再構築が必要な状況にございます。
改善の方向性について,募集停止となった法科大学院が立地する地域において,今後も法科大学院教育を享受することを可能とする方策としてどのようなことが考えられるか。また,地方に立地する大学の法学部と他大学の法科大学院との間で教育課程上の連携を行うことについて,どのように考えるかと記載しております。
続きまして,三つの大きな柱のうちの一つの法学未修者コース入学者に対する教育の在り方についてでございます。こちらの論点,前回同様,法学の純粋未修者については,初年度の1年間で既修者に追い付くことは相当に困難であるという実情があること。また,未修者コース入学者の約7割が法学部出身者であることなどを踏まえ,「法学未修者」の定義をどのように考えるか。法学の純粋未修者の入学を前提とした現在の教育システムについてどのように考えるかとしております。
現状,冒頭に資料1-1に基づいて御説明させていただいたとおり,法科大学院入学者に占める未修者コース入学者の割合は約33%であります。一方で,法学系課程以外の課程出身者は約15%にとどまっております。社会人経験者の割合は約20%になっております。
改善の方向性といたしまして,委員の御発言を踏まえまして,法科大学院入学者に占める法学系課程以外の課程出身者の実態に鑑みれば,入学者に占める法学系課程以外の課程出身者又は実務経験者の合計割合を「3割以上」と規定した告示を見直すことが適切ではないか。
また,未修者コースの学生の入学者については,いわゆる「純粋未修者」又は「十分な実務経験を有する者」が多数を占めるようにするための方策を検討する必要があるのではないかと記載しております。
5ページ目,教育方法。こちらの学士入学については,前回,進めるような御意見が多数出た一方で,法科大学院未修者コースに入学した者が法学部の授業を活用することについては,そんなに簡単ではないというような御意見も多数あったことから,論点の順位を逆にしております。
上の方でございますが,法学未修者(純粋未修者)については,法学部への学士編入学を促進することや,受入れ校を拠点化することなど,法学未修者(純粋未修者)が司法試験に合格できるようにするための未修者教育の在り方を検討することが必要ではないか。
また,先ほど申し上げたように,法学部の授業を活用することも考えられるのではないかとしております。
現状でありますけれども,法学部における学士編入学(学士の学位を取得した後,学部2年次以上に編入学した者)の割合は,各学年ともに0.1%以下になっております。 また,既修者コースのみを置く法科大学院の設置は想定されておりません。
改善の方向性でありますけれども,1.(2)で記載した法学部の「法曹コース」に,純粋未修者の教育機能を持たせることで,法律基本科目に係る学修期間を実質的に長期化させることも考えられるのではないか。また,純粋未修者が学士編入学する際の課題はどのようなものか。
また,教育実績の高い法科大学院に法学未修者の受入れを拠点化する方向で制度面の検討を行うこととしてはどうか。その際,これまで法学未修者を標準とした教育システムを,法学既修者を中心として捉え直す必要があるか。
御案内のとおり,法科大学院は法学未修者を標準として標準修業年限3年としておりますけれども,既修者を中心とする場合には標準修業年限を2年とするのか。また,2年とした場合には,現在の修了者には法務博士,ジュリス・ドクターが学位として授与されておりますけれども,2年となった場合にはそれが授与できるのかというような論点もあるかと考えております。
最後に,三つの大きな論点のうちの最後,法学部教育の在り方についてでございます。法学部と法科大学院の連携と重なる部分がありますけれども,論点といたしましては,法曹養成教育を充実させていく観点から,法学部の役割について改めて検討を行う必要があるのではないか。その際,法科大学院の役割に変更はあるかということ。
また,法学部卒業生の進路の多様性を踏まえて法学部において育成すべき人材像の検討を行う必要があるのではないか。また,法曹志望の学生と法曹志望ではない学生それぞれに対してどのような教育を行うことが適当なのか。
また,法学部生の一定数が法曹志望であることを踏まえ,法曹へのモチベーションを維持する方策を検討する必要があるのではないか。また,法曹志望者に対する法学部教育の在り方を検討するとともに,法学既修者として法科大学院に入学する際に求められる能力を明らかにする必要があるのではないかということを論点としております。
現状は,重なるところが多いところでございますので,5ページ目下段は省略いたしまして,6ページ目でございます。こちらもこの委員会でも御報告させていただいておりますように,平成28年度に法務省と文部科学省が共同で実施したアンケート調査の結果によりますと,法学部生のうち約3割が将来の進路として法曹等を第一志望としております。一方,法曹を志望する学生であっても,法科大学院に対するイメージが十分でないとの指摘や,法曹を志望するモチベーションの維持が課題であるとの指摘がございます。
改善の方向性まで出ておりませんけれども法学部に「法曹コース」を設置することを奨励する際,併せて企業法務や公務員等の進路先に対応したコースを置くことを奨励してはどうか。比較的小規模な大学において,コース制を採用する際にはどのような課題があるかとしております。
その他の論点としては,前回の委員の御意見を踏まえて,二つ目と四つ目を新たに加えているところでございます。
長くなりましたが,説明は以上でございます。

【井上座長】
ありがとうございました。
前回,皆様から頂いた御意見等も反映させて更に論点を整理したということと,考えられる改善の方向性について項目を立てていただいた。これが新しいところですけれども,この資料を手掛かりに皆様から御意見を頂いて,更に良いものに整理していきたいというふうに考えておりますので,忌憚のない御意見をお伺いできればと思います。
ここに挙げられている論点についてでも結構ですし,考えられる改善の方向性という点についてでも結構です。どの点からでも結構ですので,御自由に御議論いただければと思います。
それでは,有信委員。

【有信委員】
門外漢ですが,これまで議論したことが具体的に絞り込まれていて,それに対する改善策のような形で整理をされているのですが,こんなところでまた原点に戻ると言うと怒られるかもしれませんが,もともと今回の法科大学院の設置に関して言うと,多様なバックグラウンドを持つ法曹を養成するという,かなり大きなもくろみがあったと思うんですね。現実に,きょうの資料1-1等を見させていただくと,受験者数のほぼ9割近くが法学部の出身者になっていて,そういう意味では,ここで法学部と法科大学院との関係をどうしましょうかという議論をやるのは当然の話になるのですが,こういう状況をそのままでいいのかという議論はなくていいのかなというのがちょっとと気になるところです。
つまり,特に理系出身者は当初に比べると激減しているわけですね。文系でも法学部以外の人たちは減ってきていて,ほとんど法学部出身者が法科大学院に入学をしているという状況になってきている。こういう傾向は,本来の多様なバックグラウンドを持つ法曹養成という大目標からどんどんずれているのに,それに対して具体的な手が打たれていないという気もするので,ここは議論しなくて良いのかというのが私の問題提起です。

【井上座長】
その点については,望ましいと思っている人は恐らく誰もいないのではないかと思います。大きな課題として,本来の理念をいかにして実現するかということで,これまでかなり時間を使って議論をし,具体的な方策も講じてきたのです。
ただ,我々としてできることは限られており,その結果,どうしても後手後手に回ってしまって,志望者がどんどん減っていく。法科大学院として集めたくないわけではなく,集めようと努力してきたにも拘わらず,学生の方が志望してこなくなってきているというのが実情なのですね。それはなぜかといいますと,様々な原因があるのでしょうが,やはり最も大きいのは司法試験が難関であることであって,特に法学部出身でない学生がその難関を突破することがますます難しくなっており,それが更に志望者の減につながっていっている。つまり,そのような状況では,特に社会人の方とか,いろいろなバックグラウンドの人たちも,法科大学院に入ってからの確固としたキャリアプランが描けないわけで,そういうところにリスクを冒して入ってきてくれるかというと,それはかなり無理な話になっている。そういう構造的な問題点をどうにかして変えていかない限り,問題は解消しないのですけれど,その点で私たちとしてできることには限界があって,そこを崩せないでいる。そういう現実の下で,しかし,私たちのできることとして,法科大学院自体,あるいはそこでの教育をなお一層充実させ,より有効なものとすることを図っていくにはどうすればよいかということが,ここ数年の課題だったわけです。
その一つが,法科大学院の現状を踏まえると,法学部出身者が法科大学院入学者の大半を占めているのですが,その人たちも非常に苦労している。その人たちに対しても,より意味のある教育をする必要があるのと同時に,少数になっているとはいえ,理系を含む他学部出身者や社会人の方も志を抱いて入ってきていただいているので,そういう人たちが,より効果的に,所期の目的をかなえられるような教育体制にしていく。この双頭の目標をいかに現実の枠の中で実現していこうかと,そういう議論にどうしてもならざるを得ないのです。
次に片山委員。

【片山委員】
今の有信委員の御発言とも関連しますが,有信委員は,いかに多様なバックグラウンドを持った人材をロースクールに来てもらうかというお話をされましたが,他方,多様な人材の養成という意味では,ロースクールに来た人間をいかに多様な法曹として育成していくか,そちらの課題も大きいと思います。
その意味では,資料3-1,Ⅰ.の一つ目の丸の初めに,グローバル化の更なる進展,それから第4次産業革命によるビジネスモデルの転換を踏まえた,我が国の成長を担う法曹・法律系人材を育成すべきという項目が最初に上がっているというのは,私は前回の会議を欠席しましたけれども,この中教審第9期の意気込みを感じさせるもので,非常に素晴らしいと思いますが,他方,それを受けたⅡ.個別の論点のところでは,それに関する言及が一切ないという点が若干寂しいように思われました。
もちろん,今回の中教審の主たる目的は,やはり学部との連携強化ということで,そこに重点を置いた議論をする必要があるというのはよく理解できるところではあります。時間配分の問題もあるでしょうが,やはりグローバル化対応であるとか,先端的な,学際性のある分野での法曹人材育成という点も,それらの点においても,ロースクール改革がしっかり対応しているということが,ひいては多様なバックグラウンドを持った人材の養成確保にもつながると思いますので,割ける時間が短くても,それらの点を具体的なこの論点の中に入れて検討していただければと思っております。
具体的には,職域拡大の文脈において,いわゆる法曹リカレント教員に法科大学院が積極的にコミットすべきだという議論がなされてきたところでございます。2004年のロースクール構想の際に,法科大学院には数多くの要請がミッションとして与えられて,その全部をなかなかこなし切れていないという現状があるのは確かです。いわゆる先端・展開科目を充実させて,多様な法曹の養成をしていくという当初の理念でしたが,現実には,司法試験との関係もあって在学中には難しいという面は否めません。ただリソースはかなりしっかりしてきておりますので,一旦,法曹になった方が,法曹リカレントとして法科大学院に戻って,再度勉強し直す機会を制度上,きちんと担保していく必要があるのではないかと考えております。
それは,例えば,既に幾つかのロースクールでは実施されているように,科目等履修生として幾つかの科目を履修するということも考えていいでしょうし,他方,司法研修所における研修や,弁護士会での研修との結合ということもあろうかと思います。
更には,専門性の学修に一つのディグリーを与えていくという方向は,今後,真剣に検討していく必要があろうかと思います。アメリカでもLL.M.でタックスとかIPの専門学位を付与しているというところがございます。
慶應義塾大学も,グローバル化は重要だということで,かなり迂遠な方法ではありますが,別途専門職大学院を立ち上げるということを行いましたが,それも本来ならば法科大学院という専門職大学院の中で,例えば30単位ぐらいの単位を切り取る形で,LL.M.のような学位授与ができるような教育システムの構築,抜本的な見直しもそろそろ検討を始めていただいてもいいのではないかと思っております。今回の主要な論点の先に論じるべき点であるということはよく理解しておりますけれども,とにかく議論に着手したということを内外に示すことが重要かと思いまして,長くなりましたが,説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

【井上座長】
それでは,潮見委員。

【潮見委員】
片山委員がおっしゃったのはごもっともだと思います。その上で,今回のここに示されている方向ということについては,基本的に待ったなしのところがありますからお進めいただければと思うところがあります。
それを前提としてですが,1点だけ,ちょっとここは慎重に考えていただきたいと思うところがありますので,配付された資料3-1を使って申し上げますと,3ページ目のところにポツがあって二つ目,「具体的には,法学部に法曹コースを設置することを奨励し,法科大学院教育の一部を先行して履修する」,そういう表現があります。基本的に,特に前者の方,法曹コースを設置するといった場合には,「この中身は何なんですか」とか,「それはどういうふうに学部教育に組み込まれるんですか」とかといった先決問題があります。単にいたずらに法曹コースというものを設置すればよいというわけではない。もちろんそれは,この資料の中で「教育の充実を行うことが考えられる」というふうに書いていますから,そこと併せて読めばそうなんですけれども,しかし,これは,今回の委員会でもそうですけれども,一連の個別問題を議論して初めて中身がはっきりして,それをどういうカリキュラムとして表現しようか,コースで呼ぶかどうかということが出てくることになろうと思うんです。
ですので,今の段階で「法曹コースを設置することを奨励し」というような形で出すと,コースを作ればいいのかというような感じで間違ったメッセージを与えることになろうかと思いますので,今の段階で法曹コースを設置することを奨励するという,この表現はちょっとマイルドな形で,あるいはこれからの審議を見守った上で,重ねた上でその内容が決まって,そうしたらそれを法曹コースとして考えましょうと,そのような形で組み立てていった方がいいのではないかという感じがいたしました。もちろん意気込みは分かります。
それから,「法科大学院教育の一部を先行して履修する」ということについても,一貫というところを考えたら非常によく分かるんですけれども,実際に法科大学院教育で今やっているものの一部を前倒しするのか,それとも今の法科大学院教育というのは今のままで置いておいて,それの前提となるような,いわゆる専門としての法律学についての基礎的素養というものを,きちんと今以上に学部の方で重点的に教育して,そして,先ほどの3年次飛び入学じゃありませんけれども,法科大学院教育の方につなげていくというのもまた,考え方としてはあり得ると思います。特に,実際に法科大学院教育というものについて今までちゃんとした教育をやってきている法科大学院からすれば,今の法科大学院教育というのは今のままでいい。それにプラスして学部の教育というものを,今回のこうした流れに沿う形でいかに充実し,あるいは改善し,あるいは変更していくかということを考えていくということも選択肢としてはありだと思うんです。
そういうときに「法科大学院教育の一部を先行して履修」ということを言われますと,今の法科大学院でやっていた,例えば基幹科目の教育内容を少し学部の方にシフトしなさいというような意味にもとられかねないところがありますから,そのあたりは少し柔軟な対応ができるような形での検討をこの先やっていただければと思っているところで。そうしたことを含めて,この黒丸のところに書かれているような内容を理解させていただいてよろしいでしょうか。最後は少し確認みたいなことになりましたけれども,発言の趣旨は御理解いただけたのではないかと思います。

【井上座長】
ご趣旨はよく分かります。ただ,このペーパー自体は,文科省としてこのような方針を採ると腹決めして提案しているものではなくて,今までの御議論を整理すると,一つの方向性としてこういうことが考えられるのではないかと,整理してくださったもので,しかも,「ないか」と疑問形で表現しているのは,恐る恐る出しているということなのだろうと思うのですね。確かに,表現ぶりはちょっと誤解を招きかねないので,「奨励し」というのを取ればいいわけですよね。

【潮見委員】
一部を履修,そうですね。

【井上座長】
基本的な趣旨としては,これまでは,あたかも既存の制度は動かし難いかのような前提で,いわば弥縫策を施すことに終始してきたわけですが,その前提を一度取り外し,大きく見直してみよう。それで新たな制度を組む方がいいならば,そういうことも考えてみよう。そういう趣旨で議論をしてきたのを整理したので,ちょっと大胆な,踏み込んだ表現になっているのだと思います。そのような趣旨の文章だというふうに理解していただければと思います。

【木村委員】
今の潮見委員のお話にも少し関係するのかとは思うのですが,2ページの表題が「時間的負担の軽減」となっているんですけれども,その中身は,時間的負担の軽減どころではない,かなり本質的な,抜本的な改革というふうに思います。
ちょっと気になったのは,「5年一貫コース」とすること,これ,太字で書いてある部分に「5年一貫コース」という言葉が出ているんですけれども,趣旨は,先生方の御意見を伺っていて方向性は分かるのですが,「5年一貫コース」って,例えば入試はどうなるのかとか,今まで公平性をすごく重視していたので,要するに自大学から受け入れることが前提だみたいなことは想定もされていなかったかと思うんですけど,それとはかなり本質的に違う話になっていきますし,そうしますと,間違っているかもしれないんですけど,ロースクールで入試をやって,学部の3年生に預けるみたいなことになって,それを育ててもらってロースクールで結局受け入れるみたいな話なのか,例えば入試でどういうふうにするのかとかというのがちょっとイメージができなくて,それがもし,既にある程度練られているというか,考えていらっしゃることがあるのであれば教えていただきたいというのが一つです。
それと,そうなったときに,これ,未修者の教育を中心に書かれているのですが,既修者のことというのももちろん想定しなきゃいけないのかなと思うのですが,今みたいに未修者として受け入れるときに,学部で一定程度勉強してくださいみたいになってしまうと,それって未修者なのかということになるのかなと思って,既修者とどこが違うんだと。既修者,法学部を出て,普通に既修で受けてロースクールに入ってくる人とどう違うのかという,未修と既修の区別みたいなことはどうなるのかなというのもちょっとイメージができなくて,済みません,もし今の点について何か教えていただくことがあればお願いしたいと思います。

【井上座長】
今の最後の部分は,既存の未修コースと既修コースを併用して教育していくということをあくまで堅持していくという発想では必ずしもなく,それにとらわれずに,大本に戻って,純粋未修の人が所期の目標を効果的に達成できるようにするにはどうのようにするのがよいのかを考えてみると,法学部で法学の基礎的な教育を受けるということも考えられるのではないかということだと思います。そういう発想はもともとありましたし,最近,はっきり言っている人もいますので。もしそういうことにするとすると,法科大学院の方の未修者の位置付けというのも,今,木村委員がおっしゃったように,おのずと変わっていかざるを得ないのは確かです。
そういう意味で,何か既定の前提があるわけじゃなく,一度それを外して,根本に立ち戻って考えてみた場合に,実質的に何が最も適切なのかという発想で議論をしてみましょうということなのですね。これまでは,そういうところまでは踏み込まないで,ちょっと遠慮しながら議論してきたのですけれど,この辺で,大本に立ち返って,実質を踏まえて本格的に議論しようと,前期の本委員会でもそのような方向性が出てきていたので,この際,腰を据えて議論しようということです。このペーパーの基本的な趣旨はそのようなものだと,私は理解しています。

【大月専門職大学院室長】
座長,ありがとうございます。
木村委員の最初の方の御指摘,「5年一貫コース」ということに関しましては,事務局がこのように書かせていただいている趣旨といたしましては,法曹志望者,法科大学院志願者が減少している中で,法学部には3割程度,法曹志望者がいるということなので,法学部で法曹を志望されている方をしっかりつかまえて,法科大学院も含めてしっかり教育してもらうことが大事ではないかということです。学生のアンケートをとりますと,法曹になるための時間が掛かり過ぎるということが,法曹を志望する際の不安として,かなり上位を占めておりますから,法学部に関しまして3年で早期卒業や飛び入学をして,2年の既修者コースに入っていただく。「5年一貫」と書いておりますけれども,他大学からの受入れを拒否するというものは全く想定されておりません。ただ,法学部は4年であり,3年で飛び入学とか早期卒業を促進するためには,現在の制度をそれに合わせた形で考えていただく必要があるのではないかということで「5年一貫コース」としております。
また,最初に先生が御指摘あったように,そもそも「5年一貫コース」となれば,学生には,3年次のときに決断を頂くというよりは,2年次,早ければ1年次から周知していただく必要があるかなと思っております。そういう意味での「5年一貫コース」という記載であります。分かりにくい点があるかもしれませんが,とりあえず事務局では以上でございます。

【井上座長】
樫見委員どうぞ。

【樫見委員】
2点御質問と,それから今後のことについてなのですが,まず1点目,先ほど片山委員からもお話がございましたけれども,最初の「法科大学院の目指すべき方向性」のところで,グローバル化の問題というのはかなり内容的には法科大学院でも進めているかと思うのですが,この「第4次産業革命によるビジネスモデルの転換等を踏まえた」と,これは恐らく今まで余りなかったかと思うのですが,この点は,具体的にそのビジネスモデルの何がどう変わったので,それを法科大学院の教育なりにどう生かしていくのかということが具体的に書いていなくて,例えば,もしこれについて考えるならば,法科大学院に何らかの形でこの転換に関わる独自の科目を置くとか,あるいは通常,法科大学院におけるインターンシップといいますと法律事務所が中心かと思うんですけれども,ここに企業法務なんかのものを入れるといったような,何らかの六法系科目以外の独自の取組を具体的に意図しているのか,あるいは,大学院は当然なんですけれども,学部で例えば,法学はもちろん,経済学部ですとか,商学部ですとか,ほかのビジネス関係の科目の履修であるとか,それを単位化することを認めるとか,こういったことを具体的に内容として考えていらっしゃるのか。この点だけが余り説明がないものですから,それが1点,どのようなお考えなのかなということが一つです。
それから,先ほどもお話がありましたけれども,法学部教育の在り方ということで5ページに書いてあるのですが,この法学部教育の在り方で,法曹養成というのはやはり法学部の中の人材養成の幾つかある中の一つだと思います。そうしますと,研究者の養成であれ,あるいは公務員養成とかで,そういうふうな法学部教育の従来果たしていた役割からすると,法曹教育とどう連携させて教育を考えていくのか。その点は,先ほどの2ページに置かれております「時間的負担の軽減」とか,これとも関係しまして,何か大項目というか,この在り方の中で法曹人材養成における教育と法学部教育との教育の連携の在り方みたいなところですよね。その前のところでも学士編入学の問題ですとか,かなりいろいろなか所に法学部との連携の在り方が書かれているのですけれども,少し集約をさせてもいいのかなという点であります。
以上,2点です。

【井上座長】
最初の点はどなたに対する質問ですか。これは文科省がこう考えているというものではなく,そういう視点もあるのではないかといご意見も出ていたので,この項目が置かれたということなんだろうと思いますが。

【樫見委員】
どなたにということではないのですが,この点だけが実は余り説明がないんですね。

【井上座長】
これまでの議論の中で,こういう点も強調していくべきじゃないかという御意見が出たので,それでは論点として上げておこうということで取り入れたもので,中身についてはこれから議論を深めていくということだろうと思います。
片山委員のさっきの御発言について,念のため少しだけコメントをさせていただきますと,法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度を構想し,制度設計した当初も,グローバル化にどう対応するかということが司法制度改革全体の大きなテーマの一つで,法曹養成の育成についても,狭い意味の法曹ばかりではなく,国際的な視野と学識・能力を備えた人材を育てていくことが大きな目標だったのですね。ただ,その場合,法科大学院すべてが,そういった同じ目標に向かって一丸となって進んでいくということではなく,国際的な方向だけに限らず多様な人材を育成することが重要で,それぞれの法科大学院が各々,得意分野を持ってそれを目標にしていくべきだといのが司法制度改革審議会の提言であり,全体の改革の方向だったわけです。
そして,制度発足当初は,そういう特色を示そうとした法科大学院も少なからずあったのですが,難関の司法試験との関係で次第に萎縮してしまい,本来の企図がなかなか実現できなくなったというのが実情だと思います。むろん,そのような現状でも,片山委員のところをはじめ,特色を出そうとされているところはあるわけで,そういう方向を取ってはいけないということでは決してなくむしろ,それこそ奨励をしていくというのが基本的な方向性であって,「加算プログラム」でもプライオリティーの高いものとされてているのです。

【大沢委員】
私,新聞社で取材している立場の人間なんですけれども,やはりこの問題を取材していると,今,法曹志願者が減っているということが一番深刻な問題だなというふうに思っています。その中で,やはりその原因となっているのが,費用と時間的な負担が大きいということだと思います。ですから,その中で今回,時間的負担の軽減ということで,これが論点に上がっているということは非常に重要なことだと思っていますし,それから,改善の方向性で,飛び入学とか,早期卒業とか,あと,学部とロースクールの連携とか,相互乗り入れとか,そういったことが議論に上がっているというのは非常に大事なことで,多分,現場の先生方からすると,非常にいろいろな難しいことが,学部から見たときとか,法科大学院から見たときに難しいことがあるかと思うんですけれども,そこは何とか知恵を出し合って,何とかできることを進めていただきたいということが希望として,この議論を深めていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
それからもう一つ,ただ,そういってこの方向性がどんどん行ってしまうと,5ページの方の教育方法の改善の方向性の最後のポツのところで,法学未修者を標準とした教育システムを,法学既修者を中心として捉え直す必要があるのではないかという議論にも出てくると思うんですけれども,最初の委員がおっしゃったとおり,幅広い法曹を育てていくといった,多様な人材が入ってくるということはやっぱり一番大事なことだとも思いますので,余り,この法学既修者とかそちらが中心だということに変えてしまうと,誤ったメッセージとして出てしまうと,ますます未修者というか,いろいろな分野の人がトライ,挑戦しにくくなってしまうということが出ることを恐れるので,この点は慎重に議論していただきたいなということを感じる次第です。
それから,最後に,これは少し脇道にそれるかもしれませんけれども,3の法学部教育の在り方について,2番目の丸のところで,「育成すべき人材像の検討を行う必要があるのではないか」といった御議論があるんですけれども,私が今まで取材してきた感覚からすると,法曹になる方は,特に法曹倫理というんですか,そういったところをやはり重視していただきたいし,それから,いろいろな役所の,行政の霞が関なんかで活躍する人材の中で法学部の方は多いと思うんですけれども,そういった方が法を遵守してしっかりやっていくという,そういったところの原点みたいなものをやはりしっかりやっていただきたい。
それはなぜ言うかというと,申し上げにくいですけれども,数々,法曹の各分野,裁判官,検察官,弁護士の方の各分野のいろいろな不祥事を取材して,更に昨今のいろいろな各省庁のいろいろな問題点というのを取材するにつけ,法学部とか,ロースクールとかそういうところで,本来はそういう倫理のところを,根本のところを習ってきていないんですかねというようなことを何度も感じることが多いものですから,そういった部分はやっぱり根本に立ち返って,そこをもう一回しっかり踏まえていただくということを是非お願いしたいということを申し上げておきます。

【井上座長】
ありがとうございます。では,岩村委員。

【岩村委員】
先ほどの議論の中で,最初の資料3-1の法科大学院の目指すべき方向で第4次産業革命のお話がちょっとありましたので,ちょっとだけ触れさせていただきたいと思います。この点については,私どものところでは,法科大学院の方ではなくて,研究者養成の大学院の方で,今,主として理系の先端的な分野との間での法学との融合的な教育のプログラムというか,そういったものを作ろうという作業を具体的に少しずつ始めているところです。もちろんこれは,研究者養成ということと,それから現役の職業人の方も迎え入れようという構想の中で動いていることなのですけれども,併せて実はこの種の科目,プログラムについては,法科大学院にも開放するということを考えております。
この背景には,一つには,企業の方々にもお話を伺っているのですが,やはり最先端の法の分野,特にビジネス法の分野で,そういったことが現在,不可欠なものになりつつあるということから,法科大学院の学生にそういうプログラムを開くということを考えた方がいいのではないかということと,もう一つには,そういうことをきっかけとして法学の研究者というキャリアに興味を持ってくれる法科大学院生が出てくるのではないかという,とらぬタヌキの皮算用というのがございます。これはもちろん,先ほどの議論の井上座長の御発言ありましたように,各大学それぞれの狙うところにもよりますので,全てということではないと思いますが,そういう考え方というのはあるのかなというふうに思っているということであります。
それから,またまたちょっと総論のところに行って申し訳ないのですが,グローバル化との関係でございます。まず,ちょっと離れたところからのお話をさせていただきますと, 私どもの最新のデータを調べまして,大体,次のような状況になっているということが分かりました。今年3月の私どもの法科大学院の修了者数が157名で,その内訳は既修者が109名,未修者が48名です。このうち既修者について言いますと,実は,そのほとんどの人が入学したであろう2015年4月の時点の既修者の入学者数は156名でした。したがいまして,結局,156名入ったところ,卒業したのは109名という状況になっており,いろいろな事情があるので,全くイコールで重なっているわけではありませんが,かなりの数,はっきり言って四十数人は司法試験に合格する等をして退学をしている。私どもの法科大学院では,今,50人程度で1クラスを作っていますので,大体1クラスが消えて無くなるというのが最新の現状であるということを一つ御紹介しておきたいと思います。
それとの関係で,やはりグローバル化,要するに将来どういう法曹を,司法試験も含め,予備試験とかそういったものも含めて日本でこれから人材を育成していくかを考えたときに,この問題は非常に深刻な問題だというふうに私は受け止めています。
というのは,以前にも御紹介したとおり,東大の学生の場合だと,文1に受かった途端に,もう司法試験のために,予備試験のために予備校に行く。したがって,教養の時代に外国語とはお付き合いはするけれども,それほど熱心にもやらないし,会話もしない。ただひたすら,とにかく予備試験のために予備校に行って勉強するというようなことになっています。私どもも非常に今,学部段階における学生の内向き思考ということをかなり問題視しております。そういう人たちが法曹養成のメーンストリームというふうに捉えられていいのかどうか。これは将来の日本の法曹の今後の在り方,とりわけグローバル化の進展の中で日本がどういういふうにして法曹の人材を養成し,活躍を期待するかということと非常に密接に結び付いているかなというふうに思っています。
前にも申し上げたとおり,予備試験に受かって,そのままストレートで司法試験に受かる人たちというのは,私どもの大学でもかなり優秀な人たちでありますので,そういった人たちが非常に強い内向き思考で,若いうちに外国語を一生懸命やるとか,そういったところにも余りエネルギーを向けずに,ひたすら予備試験,司法試験のための勉強をすると,そういうことでいいのかというのは非常に大きな問題だろうと思います。そういう意味でも,何とかやっぱりロースクールに,優秀な学生を引き戻して,多様な法律の勉強をし,かつ,もしグローバル化ということを考えていくのであれば,その中で海外経験,インターンとかというのもあるでしょうし,場合によっては英語の授業を受けるとか,海外の法科大学院と提携するとか,そういったことも実は考えていかなければいけないのではないかなというようなことを思っております。
簡単ですけど,以上でございます。

【井上座長】
それでは,酒井委員。

【酒井委員】
未修者コースの入学者に対する教育の在り方についてというところに主に意見を述べさせていただきたいと思います。5ページの改善方策の黒ポツの一つ目のところに主に関係するのですが,特に受験をする側,法曹を志望する側の立場として,純粋未修者の受験動向というのがどのようなものになるのかということを踏まえて発言をしたいと思うのですけれども,ここにありますような,法曹養成コースに純粋未修者の教育機能を持たせて,主に学士編入をさせて未修者を教育していくというような構想が提案されているように思えるのですけれども,純粋未修者の特に社会人ですと,自分の仕事を辞めて,法学部に学士編入をして2年ないし3年勉強し,更にその後,既修者コースの法科大学院に2年行くというのは,これはかなり決断のハードルが高いのではないかということを強く思います。
私自身は,単純に他学部出身なだけの新卒の未修者なんですけれども,それであっても,法科大学院3年の未修者コースで,ここで勉強して法曹になれるのであれば行こうかなという決断をいたしましたが,そのときに明確に5年という,その先が示されていると,その決断ができたかどうかというのは非常に自分でも疑問に感じるところです。なので,この未修者の受け皿がこのようなコースだけに限定されるという状況になることは,やはりこれは避けるべきだと強く考えています。
ただ一方で,今の未修コースが,いわゆる隠れ既修者が大半を占めるようなコースになってしまっているという現状を考えると,そういった学生についてきちんと法曹コースで勉強してもらうという構想そのものに決して反対するものではないのですけれども,未修者コースを,未修者の入り口がきちんとありますよという形で残していくということは,是非積極的に議論ができればと考えるところです。
もう1点なんですけれども,今の未修コースの議論からは離れるのですが,今回のレジュメに地方における法曹養成の在り方ということで,3ページ目の(4)になると思いますが,指摘をされている点についての意見を述べさせていただきたいと思います。この点も非常に重要な問題だなというふうに感じておりまして,法曹養成コースというものが議論を経て一定の枠で設置をされるということになると,まず,法曹を志望する学生はそこのコースに入学をするということが一番のデフォルトのコースになってくるということになると思うのですがが,自分の地元に法曹養成コースのある法学部がないということになると,まず一歩目を踏み出せないという非常に大きな問題が出てきてしまうと思います。
そのときに,地方で法科大学院までは開校できないけれども,法曹養成コースであれば何とか自大学の法学部で設置できるというような法学部はあるのではないかというふうに考えていまして,ただ,そのときに法曹養成コースだけあっても,その先の進学が保証されていなければ,その先,結局2年ないし3年,自大学の学部で育てたけれども,この学生たち,この先どうすればいいんだろうというような問題がすごく出てきてしまうと思うんですね。そのときに,法曹養成コースから,その地域の拠点になるような法科大学院の推薦枠ですとか,もっと言いますと都市部の大規模校への推薦枠ですとか,そういったものが多くなくとも一定数確保ができるというような体制があれば,地方の学生を法曹として登用するということも促進できると思いますし,また,法曹養成コースだけでも,先が見えるのであれば設置しようというような学部側のインセンティブにもなり得るのではないかなというふうに思いますので,そのあたりも是非議論していければというふうに考えるところです。
以上です。

【井上座長】
今の最後の点は,開放性・公平性の問題と密接に関連するところで,自大学を抱え込む,そこだけで独占するという方向の議論には,おそらくならないのではないかというふうに思いますが,ただ,それを制度的にどう担保するのかということ,知恵を絞らなければならないでしょうね。
もともとロースクールは出発時には74校でしたがその時点でも,法科大学院が所在するのは全国で19ぐらいの都道府県に限られていました。ですから,法科大学院がない県の方が多く,その意味で,地方に目を向けた法曹養成というのが十分ではなかったわけですが,むしろこの際,ある意味で逆手をとって,そういうところに住んでおられる方にも法曹養成教育を受ける機会が拡げるような方策を講じるということも考えられるのではないかと思います。そういうことがもし実現できるならば,むしろ積極的なプランになるのでしょうが。
中島委員,どうぞ。

【中島委員】
少し大貫委員からお叱りを受けるようなことを申し上げるかもしれませんけれども,幾つかあります。
一つは,今回のペーパーで,やはり先ほどちょっと御指摘もありましたけれども,学部とローの一貫性というのが,自大学の中での一貫性とイコールで結ばれる傾向が非常に強いのではないかというふうに感じました。ロースクールのそもそもの原点というところで尊重されていた多様性というのは,未修者コース,社会人ですとか,法学部以外の学部出身者という,一応大きな意味での多様性が一方であります。他方,法学部の教育をあずかっている者からいいますと,大学の学風といいましょうか,文化ですとか,あるいは地域的な多様性ということで,先ほど抱え込むというようなお話がありましたけれども,抱え込みというのか,そういった多様性とか,流動性とかといったようなことを阻害するようなことになってはやはり余りよろしくないのではないか。そのような意味で,一貫性というところをもうちょっと丁寧に考えていく必要があるのではないかというふうに思います。これが1点目です。
それから,2点目,やはり費用と時間的な負担の大きさというのは,学生から見たときに非常に大きなネックになっているということ。これは非常によく分かるところですけれども,他方で,時間的な負担の軽減というものを,ある種,現状や現実を追認するような形で出してしまうと,これは誤ったメッセージになりかねないのではないかというふうに感じます。要するに,とにかく最短で行けばいいということになると,それはまさに予備試,本試という経路をある種肯定するというロジックにもつながっていきます。
学部の方でも,そういった負担を増さないような形で,在学中に例えば留学に行くことを短期であれ,推奨したりとか,そういう寄り道というのでしょうか,脇道に入っていくことをむしろ厭わないような,そういった学生に一人でも多く法曹になってほしいとも思いますので,この時間的な負担の軽減ということの扱い方もやはり丁寧にしていただくことが必要なのではないかというふうに思っています。
それから,3点目,これも同じような話になりますけれども,コース制というものを前回少し紹介させていただきました。その検証作業にも入っておりますけれども,これもコースでの囲い込み,抱え込みが,ロースクールとの一貫性の中でよりリジッドな制度になっていったときに,果たしてこちらが思うような形で学生が選択してくるかどうかということもやはり慎重に見極める必要があって,逆に,そういった囲い込みを忌避するような選択になりはしないかということも,要するに私たちが課題として設定するときにターゲットとする学生像をもうちょっと細かに,ある種カテゴライズしてやっていかないと,こちらが思うような結果も招かない,招来しないでしょうし,それがひいては,ここが追求してきた望ましい法曹養成につながるかどうかというところを犠牲にするようなことにもなりかねないので,そこも丁寧に少し洗い出しをしていく必要があるのではないかと思います。
最後は,酒井委員に対する,ある種考えられる方策ということで,我が大学は通信教育課程を持っておりまして,実はこれが曲がり角を迎えておりまして,存続できるのかという話が一方でありつつ,他方で,オンデマンドのコンテンツを持っているものですから,むしろ,編入学というようなハードルの高い制度を構築していくのではなくて,そういったオンデマンドコンテンツをローの未修者に活用してもらうような,少しハードルの低いような相互乗り入れがあり得るのではないかというような検討を少ししております。最後は紹介ということで。
以上でございます。

【井上座長】
それでは,大貫委員。

【大貫委員】
私は人を叱るようなことはせず,叱られることばかり言っているものですから,叱られそうなことを申し上げます。有信委員が冒頭で言われたことと井上座長が応じられたことをもう一度ちょっと申し上げたいのですが,今,この改革をせざるを得ないというのは潮見委員が言われたとおりだと思います。ただ,前回,丸島委員が言われたと思うんですけれども,また座長も言われたように,司法試験の問題の在り方,司法試験との連携の在り方を考えないとちょっとなかなかこの議論はつらいのかなと思います。直感的に申し上げますと,重い司法試験を前提にして,重い教育を前提にして,その教育期間を延ばしているだけではないかという印象がないわけではないんです。未修に関していうと,純粋未修に関して完全に教育期間は長くなるわけですね。本当にそれでいいのかなという気はしておりまして,ここでやるべきことではないということは十分分かっていますけれども,司法試験との連携ということが必要だということは,やはり繰り返し申し上げたいなというのがまず第1点です。
それと,いわゆる法曹養成課程,法曹養成コースについて意見を申し上げます。潮見委員がおっしゃったように,これから検討だと思うんですけれども,第一に,酒井委員のおっしゃったこととちょっと違うんですけど,法曹養成コースを設けられる大学ってそんなにあるんだろうかという気がしています。地方の大学はちょっと難しいと思うんですよ,多分。御承知のように,法学部生のほとんどは法曹になるわけじゃないので,そのための教育を中心に据える小規模な大学というのがあり得るんだろうかと非常に疑問を持つんですね。そういうことで,酒井委員がおっしゃったように,地方にいる人はひょっとしてなかなか法曹のコースに進む機会を失うのではないかという気がしていまして,それをどうするかという問題は,今,中島委員がおっしゃったように,いわゆるオンデマンドの教育とかそういうものを考えないと,地方は大変かなという気がしております。
それから,法曹養成コースについて,二つ目ですけれども,コース,コースと言っているんですけれども,隣にいた加賀委員と事前に話したんですけど,どの程度タイトなものにするかというのは考えないといけなくて,例えば法学部に入って3年ぐらいになってから,よし,法曹になろうというのは結構いたりするわけです。そういう人たちがうまくこの法曹養成コースにのるというんだったらいいんですけれども,余りタイトに作ると,最初からもう決まっていますから,なかなか途中参入ができないということになってしまいます。それではいけないのではないかという気がします。ですから,やっぱりモデルコース制とか,そういう緩やかな法曹養成コースの方がいいのかなという気が直感的にはしています。
最後にもう1点ですが,長くなりましたが,先ほど大月室長がちょっと省略されたんですけれども,3ページの改善の方向の上の丸二つ目のところ,幅広い教育を行うべきだということは是非とも入れておいてほしいんですね。法曹養成コースというものの中身をこれから考えますけれども,早い段階からかなりしっかりとした法律教育をすることになります。そうすると,幅広い教養を学習するチャンスが減りはしないかということが非常に心配です。語弊はありますけど,法律ばかを多く作るようなシステムであってはよくないと思うので,その点をどうするかというのを考えていただきたい。法曹養成コースみたいなものを推奨する,設けてくれという方向で働き掛けるとしたら,教育における多様性というのをどう確保するかということも考えてほしいと思っております。
以上です。

【井上座長】
日吉委員。

【日吉委員】
短く3点申し上げます。
1点目は,今,大貫委員がおっしゃったことと全く同じで,一番上の法科大学院の目指すべき方向性,1ページですね。せっかくいろいろ議論が盛り上がっているところで,グローバル化だとか,第4次産業革命だとか,そういうものを踏まえた教育を行っていったとしても,出口である司法試験が,グローバル化や第4次産業革命を踏まえた試験内容,そういった時代を担っていく法曹の能力を見極めるべき試験になっているかどうかというところが非常に大きいと思いますので,是非このあたりは,一つ目のポツと四つ目のポツというのは深く深く連携して考えなければいけないということを,何らかの形で,ここの文章とは違うというのは認識しつつも,強調する場があったらいいなというふうに思います。
それから,2番目ですが,4ページの法学未修者コース入学者に対する教育の在り方についての総論のところなのですが,今後,この部分,未修者コースをどうしていくべきかというのは,本当に制度設計も含めて細かく緻密な多分議論が行われなければならないと思うのですけれども,その際の総論としての改善の方向性として,純粋未修者,特に社会人,あるいは他学部の人もそうですけれども,本当にいろいろな社会的背景を背負って生活している人が多いということからすると,既修者よりも更に柔軟なコース設計というんですかね,入り口が複数あってもいいし,それから,何らかの形で移行できるようなシステムも導入して,できるものだったらしてあげたいし,それから,ここで余り出ていませんけれども,当初,随分議論された夜間の開講などの拡大みたいなものも,もし,これを機会に全体のコース設計みたいなものを見直す中で,より積極的に取り入れられるのであればそうしてあげてほしいということで,柔軟な制度設計というところを全体の改善の方向性として,その要素として加えていただければ大変ありがたいというふうに思います。
それから,最後に,5ページの同じ法学未修者コース入学者についての2,教育方法とあるのですが,これは言ってみれば各論に相当する部分,総論に対する各論で,この中にいろいろな要素が詰まっているんだろうな,今後検討すべき事項としてはというふうに思うのですが,ここに書いてある,改善の方向性の二つ目のポツの最後の行の,法学既修者を中心として捉え直す必要はあるかどうかというところなんですけれども,ちょっと気になる表現でして,もちろん表現だけですので,それを余りとやかく言う必要はないかもしれませんけど,むしろ,今後検討していくスタンスとしては,今まで法学未修者がベースにあって,それに既修者がのっかっていたという制度設計だからこそ,未修者を外すということはできなかった。
しかし,その制度設計を見直した途端に既修者だけのコースをとる法科大学院が出たり,両方設置する大学院が出たりという可能性が出てくるというようなことも今後検討の事項に入ってくるかと思うんですけれども,その際,法学既修者を中心としてというよりも,法学既修者がとるべきコースと法学未修者に与えるべきコースというものは,ある種,別個独立のものとして,並立するものとして,何がベストかという観点からアプローチして,最後に何がワーカブルかという,その共通点を探っていくというような形での,ある種理想を目指してスタートした検討であってほしいと思います。ですから,「既修者を中心として」という,ちょっと文言は気になるというのがコメントでございます。

【井上座長】
ありがとうございます。
柔軟化というのは既修者についても同じことで,学部と連携を強めるところもあっていいけれども,それと別のものもあっていいと。ですから,制度としても,柔軟化,多様化ということになるのだろうと思うのですね。

【井上座長】
清原委員どうぞ。

【清原委員】
一言だけ。私は,資料3-1の法科大学院の目指すべき方向性の丸の2番目が極めて重要だと再確認しております。すなわち,「多様な法曹の輩出や地方における法曹養成機能に留意しつつ,学生の資質・能力に応じた期間で法曹になることができる」,そうした途の確保のために,きょう,随分思い切ったたたき台が示されたというふうに承知しています。
その中で,自治体で仕事をしている立場から1点だけ申し上げます。きょう,御紹介はなかったのですが,参考資料1の15ページに,中島委員がおっしゃった,「法科大学院教育におけるICTの活用について」ということが紹介されています。これだけ地方で法科大学院がない地域がある以上,やはりグローバル化,ICT化,いいえ,人工知能化していく社会の中で,それらを活用した法曹養成制度の在り方についても検討することがなければ,法科大学院がある地方とそうでないところの格差が深刻な課題だと思います。
以上,その辺の配慮も今後の検討課題にしていただければと思います。よろしくお願いします。

【井上座長】
それでは,笠井委員。

【笠井委員】
私は,この資料3-1を読みまして,前回の議論を踏まえてかなり厚みがある論点整理になっているのではないかと感じました。そこで,いろいろな御意見が出されましたが,この文書で用いられている個々のワーディングの適切さ等については,これ自体が公的な公表文書ではないので,それほど神経を使う必要はないのではないのかなと思います。8月までに3回委員会の開催予定がありますが,この場のような大づかみの議論をずっと続けるのかどうなのかということを座長に整理していただきたいというふうに瞬間的に思ったわけです。それが一つ。
それからあと,中身については,法曹養成の問題を柔軟に考えていかなければならないということについて,幾つかの方策が提示されていますし,他の委員からの御指摘のとおりで,私が同調できる意見というのもありました。

【井上座長】
今後,夏まで数回,本委員会の会議が開かれると見込まれますので,本日の議論を踏まえ,どういう形で進めていくか,事務当局とも相談しながら考えさせていただきたいと思います。
残りの時間がそれほどありませんが,御発言がある方は遠慮なくお願いし思います。
加賀委員,どうぞ。

【加賀委員】
新しい委員なので,自分の大学の中でしか生活をしておりませんので,狭い意見というふうになる可能性もあるというようなことを自戒しながらお話ししますけれども,きょう出てきた3-1の資料の法学部の連携という大きなテーマについては,私は非常に重要だというふうに思っております。というのは,志願者が減り続けていて,これが下げ止まっているかといったら私はそうとも見えないかなと。それだけ法学部,法曹養成ということに関する魅力が落ちているということを直視していった場合には,法科大学院だけでの政策立案といいましょうか,それだけではもう食い止められない現状にあるというふうに理解をしています。したがいまして,法学部との連携は絶対に大事だと思っています。法科大学院の未修者の1年間の教育というのは,ちょっと大胆に言いますけれども,法学部でやっていることのかなり焼き直し的な内容にもなっている可能性もある。そのことも含めてちょっと見直し,連携というのは必ずした方がいいというふうに思っています。
以上です。

【井上座長】
ありがとうございます。
所定の時刻がきましたので,本日の議論はこのぐらいで終えさせていただいてよろしいでしょうか。
さきほど笠井委員から非常に厳しい御注文ないし御指摘がありましたが,このまま同じような議論をただ続けるつもりは私にもありませんので,本日の議論を踏まえ,事務当局にこのペーパーを改善してもらうとともに,今後の審議の在り方についても,工夫をさせていただければと思います。
こちらで予定させていただいた議事は以上でございますが,特に何か御注意等を頂くことはございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは,本日の会議はこれで終了させていただきます。
次回につきましては,改めて事務局からご連絡を差し上げることとしたいと思います。どうもありがとうございました。

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