~建設技能工編:2040年の人材需給ギャップを独自試算~ 建設技能工、2040年に最大87.4万人が不足と推計、就業者数は20年間で2割以上減少する試算結果に

2024/06/21  ヒューマンホールディングス 株式会社 

「建設技術者・技能工の2040年の人材予測(2024年版)」

総合人材サービス会社で、建設業向けの人材紹介・人材派遣・海外人材派遣サービスを展開するヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:高橋 哲雄、以下「当社」)は、建設技術者および建設技能工の人材市場動向について調査し、「建設技術者・技能工の2040年の人材予測(2024年版)」として発表しました。

今回調査結果より、建設技能工の人材需給ギャップにおける試算結果について、お知らせいたします。なお、本調査では、建設・採掘従事者を建設技能工としています。

【本件のポイント】
- 国勢調査結果や経済予測、雇用関連データ等をもとに、ヒューマンリソシアが独自試算
- 将来の就業者数および人材需要数を試算し、2040年までの人材需給ギャップを推計
- 2040年時点において、建設技能工は最大87.4万人が不足する試算に

<調査結果概要>
長年にわたり担い手不足が深刻化している建設技能工について、将来の就業者数および需要数について試算し、2040年までの人材需給ギャップを推計しました。

試算の結果、人材需要数は概ね横ばいである一方で、就業者数の減少に歯止めがかからず、「ベースラインケース(※1)」においては、2040年に53.3万人、「成長実現ケース(※1)」に至っては、2040年に87.4万人の人材が不足すると試算されました。なお、本調査では、技能実習や特定技能制度で就労する海外出身者も試算に加えており、日本で働く海外出身者の増加予測も加味し、試算しています。

将来必要な建設技能工を確保するためには、海外出身者の活用の拡大はもちろん、人材供給の充足には、生産性向上をはじめ、多方面からの取り組みが必要になると考察されます。

※1:内閣府の経済成長予測にもとづき、「ベースラインケース」および「成長実現ケース」の2つのケースで試算しています。

<本レポートの資料版について>
本調査では、「ベースライン」「成長実現」の2つのケースで試算したほか、労働生産性に応じて、「A.現状維持」「B.10%向上」「C.20%向上」の3つのシナリオでの推計、また2024年問題を考慮した試算も行っています。本レポート全編につきましては、以下よりダウンロードいただけます。
●資料ダウンロードページ: https://corporate.resocia.jp/dl/construction2406

■建設技能工の人材予測、2040年には最大で87.4万人が不足 
内閣府の経済成長予測の「ベースラインケース」(実質GDP成長率0.4%~0.8%)にもとづき、建設技能工の将来の人材予測について推計したところ、人材不足数は大きく拡大し、2040年には53.3万人が不足すると試算されました(図表1)。「成長実現ケース」(実質GDPの成長率1.3%~1.9%)では、不足数は一層拡大し、2040年には87.4万人が不足すると推計されました。

いずれのケースでも人材需給ギャップが拡大される試算結果となりましたが、要因としては、就業者数が大きく減少すると試算されたためとなります。技能工として就業する人数は、2015年の256.2万人から2020年には244.7万人に減少し、その後も減少傾向に歯止めがかからず、2040年には190.0万人と、2020年比で22.4%も減少する試算結果となりました。

建設各社は、海外人材や若手入職者の積極採用などにも注力していますが、これまで以上に多方面から、建設技能工確保に向けた取り組みを強化していく必要があると考えます。

図表1: ベースラインケース/労働生産性現状維持シナリオにおける建設技能工需給ギャップの試算


図表2: 成長実現ケース/労働生産性現状維持シナリオにおける建設技能工需給ギャップの試算

※2:図表1および2では、千人未満を四捨五入し算出しています。

<建設技能工の需給ギャップ試算におけるシナリオについて>
内閣府「中長期の経済財政に関する試算」におけるベースラインケース(実質GDP成長率0.4%~0.8%)と成長実現ケース(実質GDPの成長率1.3%~1.9%)をもとに経済成長すると想定して将来の建設投資額を推計した2つのケースにて人材需要数を試算しています。さらに労働生産性に応じて「現状維持」「10%向上」「20%向上」の3つのシナリオで、人材需給ギャップを推計しています。全シナリオでの試算結果は、資料版のレポートで公開しています。

■2024年版 「建設技術者・技能工の2040年人材予測」 調査の結果について
本調査では、2020年国勢調査結果の詳細データをベースに、2040年までの建設技術者および技能工の人材需給ギャップを試算しました。人材確保が喫緊の課題である建設技能工においては、将来の人材需給ギャップは大きく、早急な対策が必要であることが明らかとなりました。また、技能工不足により、建設技術者への影響も危惧されます。

就労育成制度が新設されるなど海外人材活用の拡大が見込まれる中、来日就業している海外出身者の定着に向けた支援の充実や、また職人としての職業の魅力を若者に伝えるなどの担い手確保はもちろん、労働生産性向上など、多方面からの対策が急務であると考えます。

本調査結果が、建設業各社の人材戦略ならびに事業拡大の参考となれば幸いです。



ヒューマンリソシア株式会社 人材紹介事業部 事業部長 高橋 良久


<参考1:人材供給数の試算について>
建設技能工数の供給数(就業者数)の将来シミュレーションは、2020年の国勢調査の結果をもとに試算しています。また、就業者数の増加・減少については、下記の考え方をもとに独自試算しています。



<参考2:人材需要数の試算について>
人材需要数(必要人数)は、建設投資額に比例して増減すると仮定し、「I.ベースラインケース」「II.成長実現ケース」の2つのケースで試算しています。いずれも、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」および、国土交通省の「令和5年度 建設投資見通し」、株式会社野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題」等を用い、経済成長率、消費者物価上昇率を加味し、独自に試算しています。
<出典について>
総務省「2020年国勢調査」抽出詳細集計、「労働力調査」、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(令和6年1月 22 日 経済財政諮問会議提出)、文部科学省「学校基本調査」、厚生労働省「雇用動向調査」、「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ、「一般職業紹介状況」、国土交通省「令和5年度 建設投資見通し」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」等を参考に、ヒューマンリソシアにて試算しています。

<ヒューマンリソシアについて>
総合人材サービス会社として、人材派遣、人材紹介、業務受託サービスを全国27拠点で展開しています。1988年創業以来、教育事業をバックボーンに多彩なサービスを展開するグループの総合力を活かし、「人材」に関する幅広いサービスを提供しています。
●ヒューマンリソシアWEBサイト: https://resocia.jp
<ヒューマングループについて>
ヒューマングループは、教育事業を中核に、人材、介護、保育、美容、スポーツ、ITと多岐にわたる事業を展開しています。1985年の創業以来「為世為人(いせいいじん)」を経営理念に掲げ、各事業の強みを生かし、連携しながらシナジーを最大限に発揮する独自のビジネスモデルにより、国内330拠点以上のネットワークでお客様に質の高いサービスを提供しています。
●ヒューマンホールディングスWEBサイト: https://www.athuman.com/

会社概要
ヒューマンリソシア株式会社
●代表取締役:高橋 哲雄
●所在地:東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア1階
●資本金:1億円
●URL:https://resocia.jp

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