バイオ炭を活用した環境配慮型埋戻し地盤材料「SUSMICS-S」を開発

2024/07/03  清水建設 株式会社 

バイオ炭を活用した環境配慮型埋戻し地盤材料「SUSMICS-S」を開発

~バイオ炭に固定された炭素を地盤内に貯留、施工品質も向上~

  • 環境

2024.07.03

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、埋戻し地盤工事の品質向上と環境負荷低減を目的に、セメント系固化材を使用する流動化処理土にバイオ炭を混合した環境配慮型埋戻し地盤材料「SUSMICS-S」を開発、実用化しました。SUSMICS-Sの特長は、バイオ炭の吸水特性により、固化時にブリーディングが生じやすい流動化処理土の物性を改善できること、バイオ炭に固定された炭素を混合量に応じて埋戻し地盤内に貯留できることです。

地盤の埋戻し工事に使われる流動化処理土は、建設残土などに水とセメント系固化材を混合して製造する資源循環型の地盤材料です。この材料はコンクリートと比べて水セメント比が高いため、固化時にブリーディングと呼ばれる構成材料の分離・沈降現象が生じやすく、流動化処理土内で分離した余剰水の処理が品質管理上の課題となっています。他方、固化材として使用するセメントは製造時に多量のCO2 を排出するため、環境負荷の低減に寄与する技術の実用化も急務の課題です。

SUSMICS-Sに使用するバイオ炭は、木質バイオマスの炭化物を粉体状にしたもので、多孔質かつ比表面積が大きいため、高い吸水特性を有します。このバイオ炭が時間の経過とともに流動化処理土内の水分を吸収することで水セメント比が低下し、材料分離抵抗性の指標となるブリーディング率の減少、ひいては施工品質の向上に寄与します。他方、バイオ炭には、木が成長過程で大気中から吸収したCO2 が難分解性の炭素として固定されています。SUSMICS-Sのバイオ炭の混合量を調整することで、バイオ炭に固定されたCO2 量がその他の構成材料に起因するCO2 排出量を上回るカーボンネガティブを実現できます。

SUSMICS-Sの導入効果について、例えば、調整泥水1m3 に対してセメント系固化材を80kg使用した流動化処理土を想定した場合、バイオ炭を64kg混合することで、流動化処理土の強度特性を従来の1.4倍まで高めることができ、ブリーディング率については63%低減できることを確認しています。CO2 固定量については、固化材由来の排出量が40kgであるのに対し、バイオ炭による固定量が160kgになるため、実質120kgのCO2 排出量削減効果があります。

製造に特殊な攪拌機械等を必要としないこともSUSMICS-Sの特長で、既存の流動化処理土の製造装置を利用し、建設残土と水に、粉体状のバイオ炭をセメント系固化材と同時に添加するだけで製造できます。施工性についても、従来の流動化処理土と同等の流動性であることをフロー試験で確認しています。

当社は今後、SUSMICS-Sを活用し、埋戻し地盤工事の品質向上と脱炭素化に努めていく考えです。

  • ※SUSMICS-S:SUstainable+SMI(炭)+Carbon Storage+Soil cement

以上

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