慢性心不全発症後に9割以上の患者さんの生活満足度が低下したことが明らかに~慢性心不全患者さんおよびご家族の実態調査より~

2022/01/27  日本ベーリンガーインゲルハイム 株式会社 



慢性心不全と診断後、患者さんはスポーツや仕事に、ご家族は旅行や友人付き合いに制限が出ている方が多く、患者さん・ご家族の双方に負担がかかっていることが推察されました。
約9割の患者さんに、慢性心不全発症後に生活満足度の低下が確認され、診断後の日常生活の変化に対して感じている辛さやストレスが、生活満足度に影響を及ぼしています。


2022127日 日本東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:シャシャンク・デシュパンデ、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下「日本イーライリリー」)は、慢性心不全の薬物療法を受けている患者さん(以下、患者さん)、および慢性心不全の薬物療法を受けている患者さんの介護やサポートを行っているご家族(以下、ご家族)を対象に、生活の満足度や実態などについて調査(以下、本調査)を実施しました。本調査は、患者さんおよびご家族の生活に対する慢性心不全の影響を調べることで、治療と向き合いながら送る患者さんとそのご家族の生活の質の向上をサポートするための一助とすることを目的としています。

主な結果
患者さんが、「慢性心不全と診断されてから自身に起きたこと/対応したこと」では、「スポーツをしなくなった」が36%、「会社を退職した・仕事を辞めた」が23%、「仕事内容を変えた(転職を含む)」が16%でした。これらの変化に対して、各変化による程度の差はあるものの、患者さんは辛さやストレスを感じていることがわかりました。

患者さんの生活満足度を発症前と比較したところ、92%の患者さんに満足度の低下が確認されました。体力の衰えの実感や金銭的な負担や心配が募るにつれ、低い満足度となっていました。診断後に起きた日常生活の変化に感じている辛さやストレスが、患者さんの生活満足度に影響を及ぼしていることが示唆されました。

ご家族については、「慢性心不全患者さんの介護・サポートをするようになってから自身に起きたこと/対応したこと」では、「旅行をしなくなった」が32%、「友人との付き合いを減らした・減った」が31%でした。これらの変化に対してご家族も辛さやストレスを感じていました。

その他、慢性心不全の治療中に感じるニーズを患者さんに確認したところ、患者さんには、「病気や治療について気軽に相談できる人がほしい」(27%)、「早期発見につながる啓発活動をしてほしい」(19%)といったニーズがあることが明らかになりました。

本調査結果について、日本心不全学会理事であり、かわぐち心臓呼吸器病院 副院長 循環器内科部長 内科統括部長の佐藤 直樹先生は次のように述べています。「今回の調査結果から、患者さんとそのご家族に、慢性心不全診断後に社会との関わりを減じてしまうような日常生活の変化が起きており、慢性心不全と共に生活をしていくことは患者さん、ご家族双方にとって負担となっていることが改めて確認されました。早期発見につながる啓発活動により、早期の治療介入と適切な指導を行うことで心不全の進行を遅らせ、患者さんの生活の制限を軽減することができる可能性が考えられます」

日本ベーリンガーインゲルハイムおよび日本イーライリリーは、これらの結果を受け、日本の心不全診断後の患者さんとご家族の生活満足度向上や、今回の調査で明らかとなった期待するニーズへの対応を含め、今後も様々な活動を行ってまいります。

<調査概要>





<主な調査結果>
Q慢性心不全と診断されてから/慢性心不全患者さんの介護・サポートをするようになってから、あなたご 自身に起きたこと、対応したことを教えてください




Q:下記のあなた自身に起きたこと、対応したことは、あなたにとってどの程度辛い/ストレスに感じるものでしたか?




Q:慢性心不全の発症前を100点とすると、現在の生活の満足度は何点になりますか?




満足度の理由(一部抜粋)



Q:今後、慢性心不全という病気について、どのようなサポートがあったらいいなと思いますか。



本調査の詳細は以下のURLよりご覧になれます。
https://www.boehringer-ingelheim.jp/sites/jp/files/documents/press_release_doc/220127_chf_survey.pdf

参考情報
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない進行性の状態であり、死亡に至る場合もあります[1]。酸素を含んだ血液の需要を満たすために、血液量を増やさなければならず、その結果、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じます[2]。心不全は、世界中で6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます[3,4]。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが[5]、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません[6]。

多くの心不全患者さんには、息切れや疲労感が現れ、生活の質(QOL)が大きく低下します7。また、心不全患者さんは腎機能障害を有することが多く、これも予後に悪影響を及ぼします[8]。

心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます[4,9]。

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます[10,11,12]。

両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)


〈このプレスリリースは、本町記者会、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、重工業研究会、道修町薬業記者クラブへ配布しております〉

References


American Heart Association. What is Heart Failure? Available at: https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/what-is-heart-failure. Accessed: August 2021.
American Heart Association. Types of Heart Failure. Available at: https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/what-is-heart-failure/types-of-heart-failure. Accessed: August 2021.
Andersen MJ, Borlaug BA. Heart failure with preserved ejection fraction: current understandings and challenges. Curr Cardiol Rep. 2014;16(7):501.
GBD 2017 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 354 diseases and injuries for 195 countries and territories, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2018;392(10159):1789–858.
Kenny HC, Abel ED. Heart Failure in Type 2 Diabetes Mellitus. Circ Res. 2019;124(1):121–41.
Dunlay SM, Givertz MM, Aguilar D, et al. Type 2 Diabetes Mellitus and Heart Failure: A Scientific Statement From the American Heart Association and the Heart Failure Society of America. Circulation. 2019;140:e294–e324.
Calvert MJ, Freemantle N, Cleland JGF. The impact of chronic heart failure on health‐related quality of life data acquired in the baseline phase of the CARE‐HF study. Eur J Heart Fail. 2005;7(2):243–51.
Sarnak MJ. A patient with heart failure and worsening kidney function. Clin J Am Soc Nephrol. 2014;9(10):1790–98.
GBD 2015 Mortality and Causes of Death Collaborators. Global, regional, and national life expectancy, all-cause mortality, and cause-specific mortality for 249 causes of death, 1980–2015: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015. Lancet. 2016; 388(10053):1459–544.
García-Donaire JA, Ruilope LM. Cardiovascular and Renal Links along the Cardiorenal Continuum. Int J Nephrol. 2011;2011:975782.
Leon BM, Maddox TM. Diabetes and cardiovascular disease: Epidemiology, biological mechanisms, treatment recommendations and future research. World J Diabetes. 2015;6(13):1246–58.
Thomas M, Cooper M, Zimmet P. Changing epidemiology of type 2 diabetes mellitus and associated chronic kidney disease. Nat Rev Nephrol. 2015;12:73–81.


他の画像

関連業界