人と自然が共生できる「サステナブル(持続可能)」な社会の実現へ WWFジャパン 創立から50周年を迎える

2021/09/22  WWFジャパン 

2つの目標と新たな活動計画を策定。新コンテンツも公開

 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWF ジャパン)は、本日、創立50周年を迎えました。その節目の日に、ご支援くださった個人・法人サポーターの皆さまに対する感謝とともに、今後の活動目標と活動計画についてお伝えいたします。  また、50周年記念特設サイトに、新しいコンテンツを公開したのでご案内いたします。WWFの5つの大きな活動テーマを象徴する、50の野生生物の危機を振り返りながら、その解決に必要な取り組みを紹介しています。




 毎年のように世界各地で起きる、気候変動(地球温暖化)により激化する異常気象や、大規模な森林火災。そして新たな感染症の発生。環境問題は今や、多くの野生生物を絶滅の危機に追い込むのみならず、私たちヒト自身の暮らしと未来にも、深刻な影響を及ぼしています。

 この問題を解決していくため、活動開始から50年を迎えたWWFジャパンは、2030年、さらにその先の未来に向けた、気候変動と生物多様性に関する2つの大きな目標を掲げました。また、この2つの目標を達成するために、2021年7月から2026年6月の5年間でWWFジャパンが展開する活動計画(中期プロジェクト)を策定しています。

 現在、深刻化が続く環境問題に対し、国際社会は気候危機を止める「パリ協定」の実施と、生物多様性を回復するための野心的な世界目標「ポスト2020枠組」への合意を掲げ、地球の未来を守り抜く勝負の10年を迎えようとしています。WWFジャパンも人と自然が調和して生きられる未来を目指して活動に取り組んでゆきます。

■2030年までの2つの活動目標について
<目標1> 2030年 生物多様性回復目標:世界の生物多様性を回復させるために、2030年までに、生物多様性の劣化を回復に向かわせる。


WWFは『生きている地球レポート2020』(*)の中で、地球上のさまざまな環境に生息する4000種あまりの野生生物の個体数の変化から、過去半世紀の間に世界の生物多様性が68%劣化したことを示しました。WWFでは、その劣化を回復させるためのシナリオを作成。2030年までに劣化を反転させるには、1.野生生物の生息環境の保全、2.持続可能な生産の推進、3.持続可能な消費の実現という、3つの要素を組み合わせ、同時に推進していくことが必要になることがわかりました。
1.野生生物の生息環境の保全
野生生物が生きられる海や森などの自然環境を守る取り組みです。
2.持続可能な生産の推進
  製品を生産する過程で生じる自然環境への圧力を下げる取り組みです。持続可能な生産活動を支える法律の整 備や仕組みつくり、エネルギーや原料調達、廃棄物処理の長期目標を作る、などです。
3.持続可能な消費の実現
  消費者一人ひとりが意識を持ち、声を上げ、行動する必要のある活動です。持続可能な方法で作られた製品や 温室効果ガスを出さない電力を選ぶ、企業に改善を求める声を届ける、などです。
<目標2> 2050年 脱炭素社会実現目標:2050年までに、世界の二酸化炭素の排出ゼロを実現する。
そのために、2030年までに、日本の温室効果ガスの排出量を50%削減する。


地球温暖化によって、サンゴ礁をはじめ危機にさらされている自然や野生動物は少なくありません。原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を「ゼロ」に抑える、つまり石油や石炭に頼らない、「脱炭素社会」の実現が必要とされています。それは持続可能な太陽光や風力などの自然エネルギーを主力とした、グリーンな経済の実現でもあります。
 脱炭素社会のためには、次の5つが重要です。
・消費者が、太陽光や風力など、温室効果ガスを出さない電力や、省エ
ネの製品を選ぶ
・企業が、ビジネスで使うエネルギーを化石燃料から再エネに切り替え、明確な排出削減目標を立てる
・温暖化防止に意欲的な企業に投資する
・再生可能な自然エネルギー政策を推進する国会議員に投票する
・政府に働きかけ、より高い排出削減目標を掲げ、実現するよう求める

           【関連サイト】For the next 10 years ~次の10年に向けて~
             https://www.wwf.or.jp/campaign/50th/nextgoal.html

*『生きている地球レポート2020』:https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4402.html

■WWFジャパンの中期プロジェクト(2021年7月~2026年6月)について
 WWFジャパンは、気候エネルギー、森林、海洋水産、野生生物、淡水、金融、マーケット、フード、生物多様性というグループを設置し、それぞれに活動計画を策定しています。2030年までの2つの活動目標の達成を目指します。
            【関連サイト】WWFジャパン中期 プロジェクト一覧
              https://www.wwf.or.jp/campaign/50th/projects.html

■50周年記念特設サイト新規コンテンツ:5つの活動テーマと50の野生生物
 今、地球上ではさまざまな自然環境と希少な野生生物が危機にさらされており、IUCNレッドリストによると、絶滅の危機にある野生生物は、世界に3万8,500種以上とされています。その危機の原因は、森林破壊、海洋環境の悪化、乱獲や密猟、そして気候変動(地球温暖化)といった環境問題です。
 WWFはこの問題に対して、野生生物の生息環境を保全すると共に、人と自然が共生できる「サステナブル(持続可能)」な社会を実現することで、その解決を目指しています。
 この新しいウェブコンテンツでは、森林の保全、海洋の保全、淡水の保全、野生生物の保全、気候変動への取り組みという、WWFの5つの活動テーマの背景や問題の原因を紹介し、それを象徴する野生生物をテーマごとに10種ずつ選定し、絶滅の危機にある原因や解決策について解説しています。総計50種の絶滅のおそれのある野生生物についての情報がレビューできますので、ぜひご覧ください。

        【関連サイト】5theme and 50 species ~ 5つの活動テーマと50の野生生物~
             https://www.wwf.or.jp/campaign/50th/animals.html

■WWFとは
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めています。特に、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行なっています。
https://www.wwf.or.jp/

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