ファブリー病治療を目的とした遺伝子導入ヒト脂肪細胞を用いた再生医療等製品に関する共同開発および実施権許諾契約を締結

2022/06/17  杏林製薬 株式会社 

2022 年6 月17 日
キョーリン製薬ホールディングス株式会社

ファブリー病治療を目的とした遺伝子導入ヒト脂肪細胞を用いた
再生医療等製品に関する共同開発および実施権許諾契約を締結


当社の子会社である杏林製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:荻原 茂、以下、「杏林製薬」)とセルジェンテック株式会社(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:麻生 雅是、以下、「セルジェンテック」)は、この度、セルジェンテックが実用化開発を進めているファブリー病治療を目的とした遺伝子導入ヒト脂肪細胞(Genetically Modified Adipocyte、以下、「GMAC」)の、日本における共同開発および実施権許諾契約を締結しました。

本契約の締結に伴い、杏林製薬は、希少・難治性疾患であるファブリー病を対象疾患とするGMAC の開発・販売に関する独占的権利を取得します。また、杏林製薬は、権利取得にあたり契約一時金、開発から販売までの進展に応じたマイルストン、および販売後には売上に応じたロイヤルティ等をセルジェンテックに支払います。

また、本契約の締結に伴い、杏林製薬は、別疾患を対象とするGMAC の開発・販売権に関するオプション権も併せて取得しています。

セルジェンテックは、2003 年に設立された千葉大学発のバイオベンチャー企業です。希少・難治性疾病で苦しむ患者さんおよびその家族の生活の質(以下、「QOL」)の向上に貢献するため、独自技術であるGMAC による再生医療・遺伝子治療医薬品の開発を進めています。

GMAC とは、患者さん自身の皮下脂肪から単離・培養した脂肪細胞に、治療目的の酵素やタンパク質を産生する遺伝子を独自の技術で導入し、欠損・不足する酵素やタンパク質を作り出す能力を持たせた加工脂肪細胞です。GMAC1回の投与で数年以上にわたり欠損・不足した酵素の持続的な補充を実現することで、ファブリー病患者さんの治療およびQOL の向上に大きく貢献することが期待されます。

杏林製薬は、中期経営計画「HOPE100-ステージ3-」の重点戦略に「中期的な成長を支える、パイプラインの拡充」を掲げ、希少・難治性疾患の開発品導入にも積極的に取り組んでいます。本契約によりアンメットメディカルニーズの高いファブリー病の患者さんに一日も早く新しい治療薬を提供できるよう積極的に開発を進め、革新的新薬の創製で世界に認められる企業の実現を目指します。

なお、今回の契約締結による2023 年3 月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。

【参考資料】

1. 杏林製薬株式会社について

設立:1923 年12 月
代表者:代表取締役社長 荻原 茂
売上高:92,010 百万円(2021 年度)
従業員:1,441 人(2022 年3 月31 日現在)
概要:患者さんや医療に携わる方々から信頼され、社会に存在意義を認められる医薬品メーカーを目指して、特定領域におけるプレゼンス向上とグローバルな新薬の創製に取り組んでいます。営業においては呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科を中心とするユーザーに重点化する フランチャイズ・カスタマー戦略の展開、創薬においては選択と集中を進め、重層的なプログラム開発への取り組みと共に外部創薬テーマの積極的な探索・導入を行う等、ファースト・イン・クラス創薬に向けた活動を展開しています。

2. セルジェンテック株式会社について

設立:2003 年10 月20 日
代表者:代表取締役社長 麻生 雅是
従業員:24 名(2022 年3 月現在)
概要:セルジェンテック株式会社は、遺伝的・後天的な生理機能タンパクの欠損または低下によって発症する難病の治療に向け、GMAC を医療提供し、難病で苦しむ患者さんおよびその家族の生活の質の向上に貢献することを目指しています。 GMAC の技術基盤は、多くの疾患治療へ適用可能な技術であり、その汎用性を活かし、GMAC を再生医療・遺伝子治療医薬品として研究開発を進め、実用化し、難病治療へ新たなモダリティーの提供を目指します。

3.ファブリー病について

ライソゾーム加水分解酵素の一種であるα-ガラクトシダーゼをコードする遺伝子の欠損により発症する、進行性のⅩ連鎖性遺伝性疾患です。酵素が不足または働きが低下することで、その基質であるグロボトリアオシルセラミドなどのスフィンゴ糖脂質が蓄積し、四肢末端痛、発汗障害、被角血管腫、進行性腎障害、心肥大など、様々な症状・障害が現れます。発症頻度は40,000 人に一人程度とされていますが、近年の新生児スクリーニング研究では発症頻度はそれより高く報告されています*。国内では2015 年1 月1 日より指定難病および小児慢性特定疾病として取り扱われています。

*ファブリー病診療ガイドライン2020 日本先天代謝異常学会

以 上

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