事業継続への突破口!元老舗クリーニング店が挑戦する、ネット古着店への業種転換

2024/07/23  清香 株式会社 

~衣類・クリーニングという共通点を残し、DX・リスキリングの実践で対象エリアを拡大~


既存事業から新規事業へのBeforeAfter図


埼玉県さいたま市の清香株式会社(代表取締役 榎本香代子)は、祖業であるクリーニング業の「つるやクリーニング」から中古衣服インターネット販売小売業「古着リユース工房inotori」へ業種転換しました。

元々は1932年に創業した「つるやクリーニング」店として、地元に根差した直営・フランチャイズ形式で展開をし続けながら90年にわたり経営。つるやクリーニング店の4代目跡取りとして2009年からは現代表が引き継いでいました。

クリーニング業界市場の推移
クリーニング市場規模は、1992年の8170億円から、直近の2022年に於いては2713億円まで減少(1※)したことで、ピークの1992年と比較すると67%減少しています。
その中で方向性を迷いながらも、2014年当時、クリーニング業界では前例のない衣類のリユース・リサイクルサービスの実行を決断。家庭で不用となり処分に困った衣類の無料引き取りサービス、ならびに弊社でクリーニングをおこなった古着のこども服販売をそれぞれ直営店店頭にて開始しました。

2017年には同じく店頭にて衣類の買取事業を開始する中、クリーニング直営の本店を人手不足により2020年に閉店することを決断。その後はフランチャイズ店のみで営業をおこなっていましたが、2022年5月にクリーニング事業から完全撤退しました。現在は元クリーニング工場をリビルディングし、一部を中古衣類の【再生工房】として活用しています。

業種転換は既存の事業にプラスオンして課題解決
工房では元々クリーニング業時代に培ったしみ抜きや洗いの技能、その他衣類に対しての知見を活用。また、業種転換した際に新調した、業務用のしみ抜き機等の機材を用いて、取引業者や古物市場から買い付けした衣類を検品や洗浄、補修等をおこない、最後仕上げした上で、インターネット上で販売をしています。
クリーニング実店舗運営では人手不足が契機となり事業継続の見通しが立ちづらくなっていた部分が、既存のクリーニング事業に新しい取り組みをプラスオンすることでDX化(2※)や、リスキリング(3※)により、人手不足の解消や事業継続計画の実現に繋がりました。

また、クリーニング時代の先達から伝承されたトヨタ生産方式の考え方である、各工程が必要なものだけを流れるように停滞なく生産する考え方である「ジャストインタイム」の考えを念頭に置きながら、古着の仕入れ時には検品にある程度時間をかけ、しみ汚れの落ちる・落ちない、あるいは洗浄した際の状態変化を予測しながら選別。またクリーニング品とは違いしみや汚れが付いてからの時系列が不明、またはかなりの時間経過も考えられるため、黄変やサビなどのしみの除去に時間を要することもあります。

衣類の在庫管理もクリーニング時代の商品管理の経験を活かし、一点毎にナンバリングした上でデータ活用し、最適な在庫回転数まで近づけることを目標としています。小人数経営だからこそできる、商品状態に手間をかけるべきところはかけ、一方で無理・無駄・ムラを省いた生産体制を意識することで、極力良い商品・社会のニーズが高い商品だけをタイムリーにお客様にお届けする、という方針で日々運営しています。届いた時の商品の触感の良さ、また、着心地の良さを実感していただけるかと思います。







店舗のBeforeAfter写真



古着リユース工房inotoriの特徴




弊社では祖業のクリーニング技能を活かし、古着をメンテナンスすることで【整備済み】という価値を生み出します。またメンテナンスされた古着は将来的に永く活用できるという観点でサステナブルな側面を持っているほか、購入着用することで下記のようなメリットがあります。

・再利用されて廃棄物を減らすことができます。
・通常、新品時よりもリーズナブルな価格で手に入ります。
・十分に着用可能なコンディションと、時代を超越したユニークなデザインやヴィンテージ等の特徴を持つ古着を手にすることができます。

上質な素材が使われていることが多いヴィンテージ古着ですが、経年変化による自然な風合いが生み出す点も魅力のため、購入した後も自然に馴染み、変化を楽しんでいける範囲でのメンテナンスを心がけています。

SDGs認証企業として当社で出来ること


弊社は2021年には「令和3年度さいたま市SDGs企業」の認証を受けました。

SDGs認証企業として当社で出来ることとしては、廃棄される大量の衣類を処理するために生じる環境負荷の問題があります。衣類ごみの削減に繋がる衣類リユース事業は環境への影響を低減できる可能性を持つ事業であり、その鍵を握るのは古着利用の普及と考えています。



その普及の障害となるボトルネックとして、統計によると古着に抵抗感のある人が60%程度いること(4※)や、古着の購入について抵抗感がある層は「きれいで状態の良い古着だけを販売することが必要」との回答が多い。(5※)
また、古着の購入経験がない理由として、「前に誰かが着ていたことに抵抗があるから」や「傷んでいたり汚れているイメージがあるから」(6※)等の統計データから、古着の着用に抵抗がある原因として、清潔感と衛生面から起因していることが読み解けます。その原因を解決することで、古着利用の普及が図れるものと考えています。


業界内での当社の立ち位置



古着リユース工房inotoriは、元老舗クリーニング店での技能を活用し
「清潔で安心感があるブランド古着」を販売提供することで、お客様の豊かなライフスタイルに貢献します。


(1※)出典元:株式会社日本経済新聞(2※)「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省)(3※)「新しい職業に就くためにあるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために必要なスキルを獲得すること」(経済産業省)(4※)「経済産業省 ファッションと環境 令和4年度調査報告 衣類回収と再利用の実態を中心として(環境省)」 (5※)消費者庁 令和3年度「サステナブルファッション」に関する消費者意識調査 (6※)ネットリサーチDIMSDRIVE第185回公開調査『古着』に関するアンケート

清香株式会社
清香株式会社(せいかかぶしきがいしゃ)
本社所在地:埼玉県さいたま市浦和区仲町2-17-7
代表取締役:榎本 香代子
事業内容:中古衣服インターネット販売小売業
法人設立: 1980年
コーポレートサイト:https://inotori.theshop.jp
経営理念:「きれいを形にして、再生する。」

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