鉄筋コンクリート構造物用の大地震対応 - TMD「D3SKY(R)-RC」を開発

2019/03/14  鹿島建設 株式会社 

[2019/03/14]

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鉄筋コンクリート構造物用の大地震対応TMD「D3 SKY® -RC」を開発

~建物の振動周期の変動に対応した、セミアクティブ式(電気制御式)TMD~

鹿島(社長:押味至一)は、2013年7月に開発した既存超高層建物用の超大型制震装置TMD※1 「D3 SKY」(ディースカイ)※2 を拡張し、地震や経年変化により振動周期が変動するRC(鉄筋コンクリート)造構造物への適用が可能な、セミアクティブ制御(電気制御)式のTMD「D3 SKY-RC」を開発しました。

※1 TMD:T uned M ass D amper 建物に設置した錘の揺れによって、地震の振動を抑制する制震装置
※2 D3 SKY:D ual-direction D ynamic D amper of S imple K ajima stY le(鹿島式2方向制御動吸振器)

開発の背景

鹿島が2013年に開発した超大型TMD「D3 SKY」は、屋上に設置するだけで既存超高層建物の長周期地震動対策が可能な制震技術ですが、RC造構造物に適用した場合、十分な制震効果が得られないという課題がありました。TMDは建物の振動周期と同調することで効果を発揮しますが、RC造の建物は地震や経年変化によって固有周期が長くなるという性質があるため、建物の振動周期とTMDの設定周期がずれてしまい、制震効果が損なわれるためです。
こうした中、鹿島はこのたび、TMDの周期を対象建物の振動周期に追従するように制御できる、セミアクティブ制御式TMD「D3 SKY-RC(Resonance Control)」を開発しました。D3 SKY-RCの開発により、RC造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の超高層マンション、ならびにRC造の超高煙突などにも適用可能なTMDがラインナップに加わりました。

技術上のポイント

  1. 概要
  2. TMDの周期を制御するには、錘の支持材(吊り材や積層ゴム等)の剛性を調節することが必要ですが、錘重量が数百tに達する大型TMDの支持材の剛性を変化させることは容易ではありません。
    D3 SKY-RCは、錘の支持材と並行に設置したオイルダンパの抵抗力(減衰係数)を切り替えるだけでTMDの周期を制御する全く新しい支持機構を採用することで、この課題を解決しました。

  3. 基本構成と周期調整の原理
  4. D3 SKY-RCは、錘、複数段の支持材、オイルダンパ、センサ、コントローラで構成されます。新開発のアルゴリズムを実装したコントローラが、TMDを設置した場所の加速度のみを用いて建物の振動周期を判定し、支持材と並行に設置したオイルダンパの減衰係数を、わずかな電力で(セミアクティブ制御で)瞬時に切り替えます。オイルダンパの発生力は、TMDに必要な減衰抵抗だけでなく、支持材の動きを制限する抵抗力としても作用するため、減衰係数の切り替えのみでTMDの周期調整が可能となります。ここには、約20年におよぶ豊富な実績により信頼性や耐久性が確認されている鹿島のセミアクティブオイルダンパHiDAX® (ハイダックス)のノウハウが活かされています。


このリリースの画像:
▼超高層マンション屋上への設置例
http://www.jpubb.com/press/image.php?image=1389512
▼超高煙突への設置例
http://www.jpubb.com/press/image.php?image=1389513
▼Dsup3/supSKY-RCの基本構成
http://www.jpubb.com/press/image.php?image=1389514
▼振動台実験
http://www.jpubb.com/press/image.php?image=1389515
▼Dsup3/supSKY-RCの周期調整の原理
http://www.jpubb.com/press/image.php?image=1389516

錘重量40tの試験体を製作し、鹿島技術研究所の高性能3次元振動台W-DECKER® (ダブルデッカー)を用いた性能確認実験を行い、オイルダンパの減衰係数切り替えによるTMDの周期調整機能、センサやコントローラの所期の性能を確認しました。

効果と特長

  • 新開発の制御アルゴリズムにより、年単位の長期的な周期変動だけではなく、地震動の最中に時々刻々変化する構造物の振動状態に追従し、揺れを効果的に抑制します。
  • 風揺れから大地震まで、さまざまなレベルの揺れに有効です。方向による周期の違いにも対応するため、建物全方向の揺れを抑制します。
  • TMDを設置した場所の情報のみで建物の振動周期を判断するため、それ以外の場所へのセンサやコントローラの設置や配線は不要です。
  • 屋外使用(全天候型)に対応しており、建物屋上や煙突など、様々な場所に設置可能です。
  • 消費電力は制御時でも150W程度とわずかであり、小型の無停電電源装置(UPS)で停電時にも作動します。なお、万一の断電時にはパッシブ型のTMDに切り替わり、さらに設計想定以上の地震時にも錘の動きを安全に制御する、ソフト・ハード両面のフェイルセーフ機構を内蔵しています。
  • 今後の展開

    鹿島は、2013年に超高層建物用の超大型TMD「D3 SKY」を、本年1月には中低層建物用のコンパクト型TMD「D3 SKY-c」を開発、建物規模や新築物件・既存改修を問わず、大地震対応型TMDの適用を進めています。今回の「D3 SKY-RC」の開発により、これまで適用実績のなかったRC造の超高層マンションや超高煙突などにも大地震対応型TMDの適用が可能となりました。
    今後、RC造構造物の耐震安全性・安心感の向上に資するD3 SKY-RCの適用を積極的に提案し、より安全で安心な暮らしの実現に寄与してまいります。

    (参考)
    新宿三井ビルディングに適用した超大型制震装置TMD「D3 SKY® 」 11月22日発生の福島県沖地震で所期の効果を確認
    (2016年12月27日プレスリリース)

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