NPOカタリバ、5/23に外国ルーツの子ども教育最前線オンラインセミナーを開催 

2021/05/14  認定特定非営利活動法人カタリバ 

当事者が語る「外国ルーツの私たちが知ってほしい3つのこと」とは?

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下 カタリバ)は、5月23日(日)、教育関係者を対象に、外国ルーツの子どもたちの教育現場や、当事者たちの声から、いま本当に必要とされている支援について考えるオンラインセミナーを開催いたします。また今回、本セミナーを報道関係者に特別公開することになりましたのでお知らせします。




■この10年で2.7倍に。増え続ける外国ルーツの子どもたちの受け入れが課題に

日本語指導が必要な高校生は全国に4000人以上、その人数はこの10年で約2.7倍に増加し(※1)、右肩上がりでの推移が続いています。

また、5月10日(月)日本経済新聞の第一面で、外国ルーツの小中学生と学校が直面している日本語指導体制の課題に関する調査結果が報道されました(※2)。記事によると、調査対象となった25自治体で暮らす外国ルーツの小中学生のおよそ6.5%が、本来発達障害や知的障害などを抱える児童生徒に向けた教育の場である「特別支援学級」に在籍しています。その背景には日本語指導の人材不足が挙げられますが、指導人材配置等の体制強化を実施する場合も、多くの判断は自治体や校長にゆだねられており、地域ごとに支援体制に大きな差が生じていることも実態として見えてきました。

※1:文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」より
※2:参照:2021年5月10日、日本経済新聞『外国ルーツの子「支援学級」頼み 日本語教育体制に穴』https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71697140Q1A510C2MM8000/


■義務教育課程終了後、さらに複雑化する外国ルーツ子どもの教育の問題

義務教育課程における外国ルーツの子どもたちの学習支援体制に関する課題が見えた一方で、義務教育を出た高等学校段階では、なお一層支援が手薄い現実があります。文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」によると、全高校生と比較して、日本語指導が必要な外国ルーツの高校生は、中退率、非正規就職率、進路未決定率ともに高いという数値が示されています。

また、家庭の事情により親のサポートをするために学校を休んだり日本語での授業についていけなくなったりした場合もその状況を日本語で十分に説明することができず、単に「やる気がない」とみなされてしまい、「やる気がないなら仕方がない」と学校側が支援を諦めてしまう場合もあるようです。


■語学力だけではない、外国ルーツの子どもたちが抱えるさまざまな課題

調査や数字であらわれる厳しさ以外にも、彼ら・彼女らは日常生活の中で多くの困難を抱えています。

例えば、アルバイトを始めるにあたって、日本人であれば自分自身と保護者の管理下で手続きを進めることができますが、外国ルーツの子どもたちの中には、就労時間に制限がある在留資格を有するため、必要に応じて日本語で問い合わせる、学校にアルバイトの許諾を取るなど、付加的な多くの手続きが発生します。こういった事実は教育関係者をはじめ周囲の大人たちも理解していない事が多く、当事者たちが一人で抱え込んでいる場合も少なくありません。

また、ある生徒は、在留資格の更新手続きのために学校を休む必要があり、その旨を学校に伝えたところ、先生から「なぜ事務手続きにまる一日学校を休む必要があるのか」と返答されたそうです。一言に在留資格の更新手続きと言っても、その生徒は、家族全員分の在留資格を更新するための通訳的な役割も担っていたので、生徒自身の事務手続きに加えて、家族分の手続きに時間を費やす必要があったのでした。

これはほんの一例ですが、外国ルーツの子どもたちは、日本人として生まれ育っていたら存在しないハードルをいくつも越えなければならないという実情があります。


■実際の教育現場から、当事者たちがリアルを語るオンラインセミナーを開催

カタリバでは、外国ルーツの高校生たちが、個性を活かして明るい未来を描けるよう、授業時間や放課後の時間を通して支援活動「ROOTSプロジェクト」を行っています。



その活動を通して見えてきた、実際に外国ルーツの子どもたちが直面している課題や、必要とされている支援がどのようなものなのか、現状と展望について考えるオンラインセミナーを開催します。

本セミナーでは、支援側である教育関係者やカタリバ職員、また当事者である外国ルーツの元生徒たちを迎え、支援の現場は具体的にどのような課題と対峙しているのか、またどのような支援が求められているのかについて、パネルディスカッション形式で議論します。

■概要


日時:5月23日(日)19:00-21:00
環境:オンライン(web会議システム「zoom」利用予定)
参加方法:お申込みいただいた方へ開催前日までにzoomURLをメールでお送りいたします
定員:30名
参加対象者:教育関係者、報道関係者
セミナー詳細:https://www.katariba.or.jp/event/31851/


■プログラム
(1)専門家が語る、外国ルーツの子どもたちの教育事情
・外国ルーツの子どもたちが直面している課題
・国や自治体、民間NPOの取り組み

(2)外国ルーツの子どものリアル
・自己紹介
・私たちが知ってほしい3つのこと
 1.自分たちが成長する上で、役立った支援について
 2.ぶつかった壁やつまずいた事、その時にもっとこんな支援があったら
 3.先生や周りの大人から言われて勇気付けられた言葉・NGワード

(3)外国ルーツの子どもを支える側のリアル
・ 「現役高校教員が語る学校現場の課題」(教員)
 高校で直面した課題
 カタリバとの連携授業を通じて見えてきた生徒の新たな側面
・「外国ルーツの高校生と接して見えてきたこと」(カタリバ職員)
 「ROOTSプロジェクト」について
 現場でのストーリーや印象深かった事例の紹介

(4)共につくる未来へ
・今後の可能性、希望についてディスカッション

※プログラムは変更になる場合がございます。


■登壇者

(1)専門家が語る、外国ルーツの子どもたちの教育事情
●海老原 周子



ペルー、イギリス、日本で育つ。慶應義塾大学卒業後、(独)国際交流基金・IOM国際移住機関にて勤務。2009年より、移民の高校生を対象にキャリア教育やアートプロジェクトなどを行う。これまで100回ワークショップを実施し、300人の移民の若者達と接してきた。2016年EU主催「Global Cultural Leadership Programme」日本代表。 2018年、アメリカ大使館の推薦により、未来のアジア大平洋地域の社会変革を担うリーダー「Changing Faces Women’s Leadership Seminar」の日本代表に選抜。2019年より文部科学省外国人児童生徒教育アドバイザー、2020年より東京都教育委員会スーパバイザーを務める。

(2)外国ルーツの子どものリアル
●木村 さおり サブリナ バルトロ



ペルーで生まれた後、幼少期をブラジル・ペルーで過ごす。9歳で家族と共に日本に移住。神奈川県にて、公立小学校・中学校・高校とを過ごし、桜美林大学に進学。国際協力を学ぶ。大学時代に国際理解活動を行う学生団体の副代表を務める。またJICAで日系社会に携わるインターン活動を行う。母校の県立高校で、外国ルーツの学生の学習支援、学生たちのボランティア活動のコーディネーターとして携わる。現在、カタリバにて、ルーツ事業に携わる。

●新井 馨



中国出身。12歳で母親と共に住むために来日し、日本の学校に通う。日本語がわからず、戸惑うこともありながら、高校に進学。中学・高校時代に不登校も経験しながら、中央大学に進学。現在は、中国にオンライン留学をしながら、将来は多文化共生に制度面から携わりたいと考えている。現在、カタリバにて、ルーツ事業に携わる。

●ガイレ カビル



ネパール出身。中学2年生のときに来日。公立中学校に通い、定時制高校に進学する。小学校の頃からパソコンに触れており、組み立てることや情報収集を得意とする。現在はIT関係の専門学校に通いながら、同分野での活躍を志している。高校卒業と同時にカタリバの活動に参画し、ネパール語、英語、日本語、インド語と複数言語ができることや自身の経験を活かして生徒伴走を担当している。

(3)外国ルーツの子どもを支える側のリアル
●角田 仁



(東京都立町田高等学校定時制課程 主任教諭・文部科学省外国ルーツ等児童生徒教育アドバイザー)
主に東京都立高等学校の定時制課程において、外国につながる生徒に関わる多文化共生の教育に取り組んできた。東京都立一橋高等学校では、多言語交流部(ワン・ワールド)の顧問として、学校外のNPO(認定NPO法人カタリバ/一般社団法人Kuriya)及び大学(留学生、学生)との3者連携による居場所づくりに取り組んだ。その他、多文化共生教育研究会運営委員、日本語を母語としない親子のための多言語高校進学ガイダンス実行委員会東京、外国につながる高校生のための進路ガイダンス実行委員会(東京都国際教育研究協議会共催)、多文化共生教育ネットワーク東京他に参加。

●宮城 千恵子



カタリバ職員。沖縄県出身、中央大学卒。学生時代は地域活性化のゼミやイスラエルのキブツボランティアを通して社会の在り方を模索する。民間企業からカタリバ転職後は、被災地の放課後学校ならびに町内小~高校での授業連携や学習会の運営に携わる。20年7月よりルーツ事業の立ち上げメンバーとして活動。


■認定特定非営利活動法人カタリバとは

どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。

<団体概要>
設立   :2001年11月1日
代表   :代表理事 今村久美
本部所在地:東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町・熊本県益城町)/災害緊急支援(西日本豪雨、令和元年東日本台風、熊本豪雨)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市・島根県益田市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区)
URL   : https://www.katariba.or.jp/


■本リリースへの問い合わせ
・取材ご依頼に関する問い合せは下記フォームよりご登録ください。
https://www.katariba.or.jp/report/
090-4434-4346(担当 高木、平日10:00-19:00)

・セミナーに関するお問合せは下記メールアドレスまでご連絡ください。
pr-team@katariba.net(担当 高木)

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