Indeed Japanが「子育て世代の転職活動と労働環境」に関する実態調査を実施

2021/09/27  Indeed Japan 株式会社 

「子育てをしていると採用で不利になる」と感じる女性は、男性の3.5倍にのぼることが判明 “子育て世代”の転職活動におけるジェンダーギャップが明らかに

世界No.1求人検索エンジン*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com/、以下Indeed)は、20~40代の子供をもつ男女1,000名を対象に「子育て世代の転職活動と労働状況」に関する実態調査を行いました。


Indeedでは、「We help people get jobs.」をミッションとし、あらゆる人々が自分に合った仕事が見つけられるような社会の実現を目指しています。一方で日本においては、出産や育児により女性の就業率が著しく低下する「M字カーブ」の問題など、特に“子育て世代”の女性の就業状況に関する課題があります。

そこでこの度Indeedでは、9月17日(金)~26日(日)の期間に開催されたSDGs週間に合わせ、SDGs達成目標の5番「ジェンダー平等を実現しよう」に着目し、子育てをしながら働いている方々の「転職活動と労働環境」のジェンダーギャップの実態を調査しました。本調査では、20~40代の子供を持ちながら転職活動を経験したことがある男性と女性それぞれを対象に、転職活動時に意識したことや、子育てが転職活動に及ぼした影響を中心に聴取を行いました。その結果、子供を持ちながらの仕事探しや転職活動において存在するジェンダーギャップが明らかとなりました。


調査結果要約

1.【“子育て世代”の転職活動実態】転職活動のポイント、女性は「子育てとの両立」を重視、男性は「キャリア形成」を重視の傾向
・転職活動理由の1位は男女ともに「給与待遇面の向上・改善」も、男性の方が約10ポイント高い結果に。「子育てに専念できる時間の確保」が女性は3位に対し、男性は6位と仕事に及ぼす子育て意識に差。
・転職の決め手は、男性は「給与の向上・改善」、女性は「子育てと仕事の両立がしやすい」が1位。
・転職活動の結果、転職しなかった理由は、男女ともに「応募したい求人が見つからない」が最多。しかし、「応募したい求人が見つからない」理由上位3位は、男性「給与」「希望業界」「スキルを活かす」に対し、女性「雇用形態」「給与」「子育てとの両立」と、男女間で価値観に差。

2. 【“子育て世代”の転職活動における意識・価値観】子育てが転職に及ぼす影響で男女間の意識ギャップが最も大きいのは「子育てをしていると採用に不利になる」と感じる割合で、女性は男性の3.5倍
・女性の9割、男性の8割が、子育てをしながらの転職活動は難しいと感じている。 中でも、「子育てをしていると採用に不利になると思う」女性は39.7%で、男性11.4%の3.5倍にのぼる。
・転職活動で重視するポイントは、男性1位「給与」に対し、女性1位「ワークライフバランス」。

3.【“子育て世代”の働く環境の実態】男性は女性よりも育児と仕事の両立への職場の理解を得にくい傾向
・女性の80%、男性の65%が現在の職場は「働きやすい」と回答。理由は男女とも「子育てに対して職場の理解がある」で1位。女性67.8%に対して男性42.2%と女性の方が職場の理解をより感じている傾向に。
・現在の職場が「働きにくい」と感じる理由、男性1位は「残業を強いられ定時で帰宅できない」40.4%、女性1位は「突発的な休みの融通が効かない」44.2%。


調査結果まとめ

 今回実施した調査からは、“子育て世代”が仕事探しや転職活動を行う理由として、男女ともに「給与待遇面の向上・改善」や「周囲の環境を変える」など共通のものが見られる一方で、転職活動を行う際に重視するポイントや最終的な決め手などにおいて、性別による差が存在することが分かりました。全体的に、男性は転職活動においてより高い給与やスキル向上など、キャリア形成や自身のやりがいに関連した要因を重視する傾向が女性よりも高く、一方で女性は子育てに費やせる時間や柔軟な働き方など、育児と仕事の両立ができるか否かを重視する傾向が高い現状が窺えます。
 また、育児と仕事の両立をするにあたり、職場の理解という側面においても、男女間で差があることが見受けられました。男性の方が仕事と育児の両立がしにくい職場であると感じている割合が高かったり、その理由として残業を強いられると感じている割合が高かったりなど、職場の理解や環境における男女差があることが窺えます。こういった職場の理解における差が、転職活動に対する個人の意識の男女差の一因となっている可能性もありそうです。
 女性の活躍、ひいては男女平等を推進していく上では、個人の意識や価値観だけではなく、社会全体の意識や環境の変化が必要になってくると言えるでしょう。また、求人を検索する際など、仕事探しの場面においてもジェンダーギャップを軽減していく働きかけが必要となってくると考えられます。
 Indeedは、あらゆる人々が幸せになれる仕事を見つけるためのサポートを行っています。今回の調査結果によって明らかになったジェンダーギャップに対しても、Indeedのサービスを通じて貢献していくと共に、求職者がより自分に合った仕事を見つけやすくなる環境づくりを促進してまいります。


調査結果に対する有識者コメント:日本女子大学名誉教授 大沢真知子氏

 今回の調査の中で、もっとも大きくジェンダーギャップが見られたのが「転職活動において“子育てが採用に不利になる”と考えている女性が多いのに対して男性はあまりそう思っていない」という結果でした。これは、多くの企業で子育て中の女性が戦力として期待されていないことを示しているのではないかと考えられます。しかしこれでは、高い能力を持つ女性人材が採用できず、企業の持続的な成長にも繋がることが難しいです。
 他方、男性が転職に際して「待遇やスキルを活かすこと」を考えているのに対して、女性は「子育てと仕事の両立がしやすいこと」を転職活動の第1の理由に挙げています。このような傾向からも、女性自らも子育ての負担を引き受けてしまっている現状が浮かび上がっています。
 このような状況を変えていくためには、企業が採用のあり方を見直し、子育て中の女性が不利にならないようにすることが大事です。また、男性が家事や育児に参加できるように、働き方を見直し、長時間労働を是正していくことも重要となります。そして、何よりも、子育ては夫婦でやるものであり、それを社会全体でサポートしていくことが必要であると思います。


【プロフィール】
大沢 真知子(おおさわ まちこ)
日本女子大学名誉教授
南イリノイ大学経済学研究科博士課程修了、経済学博士。
コロンビア大学社会科学研究センター助手、シカゴ大学ヒューレットフェロー、ミシガン大学ディアボーン校助教授、日本労働協会(現日本労働研究・研修機構)研究員、亜細亜大学経済学部助教授・教授を経て日本女子大学人間社会学部現代社会学科教授。2013年4月に同大学の「現代女性キャリア研究所」所長に就任し、2021年3月に定年退職し、現在は名誉教授。内閣府仕事と生活の調和に関する専門調査会、男女共同参画局監視・影響専門調査会などの委員も務め、著書に「21世紀の女性と仕事」など。



調査結果詳細

1. “子育て世代”の転職活動実態 その1:
転職活動理由の1位は男女ともに「給与待遇面の向上・改善」も、男性の方が約10ポイント高い結果に。「子育てに専念できる時間の確保」が女性は3位に対し、男性は6位と仕事に及ぼす子育て意識に差。

子供が生まれて以降に転職活動を行った“子育て世代”に対して、転職活動で重視する価値観や転職実態について調査しました。転職活動を行った理由は、男女ともに「給与待遇面の向上・改善」が最多となりましたが、女性が39.2%であるのに対し、男性は49.4%と10.2ポイント高い結果となりました。また、首位以外の回答をみると性別によって転職理由に差があることがわかります。男性では第2位が「時間外労働など労働環境を改善・向上したかったから」で27.2%であったのに対し、女性は同理由の回答が16.0%で第6位に留まっており、男性より課題視することが少ないことがわかります。一方で女性の24.0%が回答し第3位の理由となった「より子育てに専念できる時間を確保したかったから」は、男性の回答は14.0%で第6位に留まり、転職活動において考慮する優先順位が低いことがわかります。また、男性4位の「自分のキャリア(スキル)アップしたかったから」は女性では7位(13.8%)、女性4位の「時短勤務やリモートワークなど柔軟な働き方をしたかったから」は男性では9位(10.6%)などの差も見られました。
このような結果から、男性は女性よりも職場環境の改善やキャリアアップを理由として転職を検討し始める傾向が高く、一方女性は男性よりも子育てとの両立を理由として転職を検討し始める傾向が高いことが見受けられます。男性に比べ、女性の方が長期的なキャリア形成や子育てと仕事との両立が課題になっていることが窺えます。


“子育て世代”の転職活動実態 その2:
転職の決め手は、男性は「給与の向上・改善」、女性は「子育てと仕事の両立がしやすい」が1位。

過去の子供を持ちながらの転職活動の結果、実際に転職したか否かを調査しました。その結果、男性の61.6%、女性の54.2%といずれも半数以上が「転職しなかった」と回答していますが、女性の方が実際に転職した割合が高い結果となりました。
実際に転職した421名に対し、転職先の企業を選んだ1番の決め手を伺うと、男性の第1位は「より高い給与がもらえたから(25.5%)」、第2位は「より自分のスキルを活かせる職場だと感じたから(14.6%)」であった一方、女性の第1位は「時間外労働が少なく、より子育てとの両立がしやすいと感じたから(26.2%)」、第2位は「自分の希望する業界だったから(16.2%)」と男女間で差が出る結果となりました。
この結果からも、実際の転職においても、女性は男性よりも「子育てとの両立」を重視する傾向があることがわかります。


“子育て世代”の転職活動実態 その3:
転職活動の結果、転職しなかった理由は、男女ともに「応募したい求人が見つからない」が最多。
しかし、「応募したい求人が見つからない」理由上位3位は、男性「給与」「希望業界」「スキルを活かす」に対し、女性「雇用形態」「給与」「子育てとの両立」と、男女間で価値観に差。

一方、転職活動をしたものの実際には転職しなかったと回答した579名に対し、転職しなかった理由を伺ったところ、男女ともに「求人検索したが、応募したい求人が無かったから」を理由として挙げた人が大多数を占める結果となりました。男性62.3%に対し女性77.5%と、女性の方が15.2ポイント多い結果となっています。

応募したい求人がなかった理由を詳しく尋ねると、男性の第1位は「希望の給与条件を満たす求人がなかったから(42.2%)」、第2位は「自分が希望する業界の求人がなかったから(25.0%)」、第3位は「自分のスキルを活かせる求人がなかったから(22.9%)」という結果でした。それに対し女性は第1位「希望の雇用形態で働ける求人がなかったから(36.2%)」、第2位「希望の給与条件を満たす求人がなかったから(27.6%)」、そして第3位は同率で「時間外労働が少なく、より子育てとの両立がしやすい求人が無かったから(24.8%)」「子育て支援や補償などの制度が手厚く、子育てと仕事の両立がしやすい求人が無かったから(24.8%)」という結果となりました。女性の方が男性よりも、就業条件が自身の希望と合わないことを理由に挙げる傾向が高いことがわかります。
仕事探しの段階においても、男性は給与条件に加え、自身のキャリアを中心に検討する傾向が強いのに対し、女性は給与条件以外に、雇用形態や子育てとの両立を前提に検討する傾向が高いことがわかります。


2. “子育て世代”の転職活動における意識・価値観 その1:
女性の9割、男性の8割が、子育てをしながらの転職活動は難しいと感じている。中でも、「子育てをしていると採用に不利になると思う」女性は39.7%で、男性11.4%の3.5倍にのぼる。
転職活動や実際の転職において、女性は男性よりも育児との両立を検討事項に入れている傾向が高いことがわかりました。では、育児が転職活動にもたらす影響にはどのようなものがあるのでしょうか。

子育てをしながらの転職活動は、子育てをしていない状況で転職活動を行う場合よりも難しいと感じるかどうかを伺ったところ、女性の9割、男性の8割が難しいと感じると回答しています。男女とも大多数が、子育てが転職活動に影響を及ぼすと感じていることがわかります。特に女性の方がその割合が高く、男性よりも10.8ポイント高い結果となりました。

なぜ、子育てをしていると転職活動が難しいと感じるのか、その理由を伺ったところ、男女ともに「家庭を持っているので、自分の都合だけで仕事を選べないから」が最多となりました。しかし、女性の方が男性よりも12.5ポイント多い結果となっています。さらに第2位以降は、男女差が表れる結果となりました。男性の第2位は「現在の生活リズムを変えることが難しいから(29.6%)」、第3位は「子育てが忙しく、そもそも求人を検索する時間がとれないから(22.6%)」と、時間のやりくりに関連した理由を挙げる人が多いことがわかりました。一方で、女性の第2位は「子育てをしていると採用に不利になると思うから(39.7%)」、第3位は「子育てと両立できる求人が少ないと感じるから(39.5%)」と、育児と関連した理由を挙げる人が多い傾向にあります。
中でも、性別による意識の差が最も大きかったのは、「子育てをしていると採用に不利になると思うから」です。女性の4割(39.7%)が理由として挙げているのに対し、男性は1割(11.4%)に留まっており、女性は男性の3.5倍もの人が、育児が採用に不利になると感じていることがわかりました。

“子育て世代”の転職活動における意識・価値観 その2:
転職活動で重視するポイントは、男性1位「給与」に対し、女性1位「ワークライフバランス」。

子供がいる中で転職活動をする際に重視するポイントを尋ねたところ、男女ともに上位2位に「給与」と「ワークライフバランス」が挙がり、第3位以下の理由は同様に「福利厚生」「やりたい仕事」「成長できる環境」と続きました。
しかし、男女間で差が出たのは1位と2位の順番で、男性は第1位が「給与が高い」50.6%だったのに対し、女性の第1位は「ワークライフバランスのとれた働き方ができる」で64.4%にのぼります。これは、男性回答43.0%と21.4ポイントの差がありました。また、女性の回答だけでみても第2位の「給与が高い」41.0%とも23.4ポイントの差があり、女性は転職時、特にワークライフバランスを重視する傾向が非常に強いことがわかります。

3. “子育て世代”の働く環境の実態 その1:
女性の80%、男性の65%が現在の職場は「働きやすい」と回答。男女とも「子育てに対して職場の理解がある」で1位。女性の7割に対して男性が3割と、女性の方が職場の理解をより感じている傾向に。

“子育て世代”の働く環境に焦点を当てると、女性の80.0% 、男性の65.0%が現在の職場は子育てと仕事を両立する上で「働きやすい」と回答しています。女性の方が男性よりも14.5ポイント多い結果となりました。

働きやすさを感じるのはどのような時かを伺ったところ、男女ともに一番多かった回答は「子育てに対して職場の理解がある」でしたが、男女別で見ると女性が67.8%、男性は42.2%と25.6ポイントの差がありました。
育児と仕事の両立がしやすいと感じている割合は男女ともに多いものの、男性は女性よりも育児に対する職場の理解を得にくい傾向があると言えそうです。

“子育て世代”の働く環境の実態 その2:
現在の職場が「働きにくい」と感じる理由、男性1位は「残業を強いられ定時で帰宅できない」40.4%、女性1位は「突発的な休みの融通が効かない」44.2%。

一方、子育てと仕事を両立する上で現在の職場が「働きにくい」と回答した方228名に、どのような時に働きにくさを感じるかを伺ったところ、男性の40.4%が「残業を強いられ帰宅できない状況」を挙げており、女性の13.0%と比較して27.4ポイントも多い結果となりました。経済協力開発機構(OECD)が昨年発表した有償労働時間の国際比較データで日本の男性は有償労働時間が世界1位の結果が出ており、20~40代の働き盛りの男性特有の子育てと仕事を両立する上での課題が現れていると言えそうです。また、女性では44.2%が「突発的な休みの融通が利かない」ことを理由に挙げ、男性の同回答結果(34.4%)よりも9.8ポイント高い結果となりました。



調査概要

調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:全国の20~40代で15歳以下の子供と同居し、転職活動経験がある男女1,000人
割付方法:男女を均等割付
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年9月11日~9月13日

Indeed について
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*出典:Comscore 2021年3月総訪問数
**出典:Google Analytics 2020年2月ユニークビジター数

■プレスリリースはこちらからもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20210927

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