2024年の食品値上げ、1万品目突破 7月は411品目で値上げ 今秋に値上げラッシュの見通し

2024/06/28  株式会社 帝国データバンク 

定期調査:「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年7月

帝国データバンクは、2024年7月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。


<調査結果(要旨)>
2024年の値上げ、3年連続で1万品目を突破 前年より5カ月遅いペース

7月の値上げは411品目、酒類・飲料が最多 レーズン・チョコ関連で値上げ

コストプッシュ型の値上げが再燃 今秋に値上げラッシュの見通し


※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む
※対象期間:6月28日9時時点
※調査機関:株式会社帝国データバンク
※次回発表日は2024年7月31日(水)午前9時
※調査結果は下記HPにも掲載している
https://www.tdb.co.jp/report/index.html

2024年の値上げ、3年連続で1万品目を突破 前年より5カ月遅いペース 

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2024年通年の飲食料品値上げ品目数の累計は、11月までの予定分で1万86品目に上った。年間で1万品目を突破するのは、調査を開始した22年以降3年連続となる。23年の値上げ予定品目で1万品目到達が判明したのは同年1月だったのに比べ、24年分では同年6月と前年より5カ月遅いペースだった。なお、平均値上げ率は17%だった。食品分野別では冷凍食品など「加工食品」が最も多い4519品目で、PETボトル飲料など「酒類・飲料」(2624品目)、しょうゆ製品など「調味料」(1383品目)が続いた。

2024年の値上げ要因では、足元で急速に進んだ「円安」の影響が広がっている。24年(1-11月)に予定される値上げ品目のうち、「円安」要因の値上げは品目数ベースで29.8%となり、前年の同時期(11.6%)に比べて約3倍の水準に拡大した。要因として最も大きい「原材料高」は91.7%を占め、特に春以降の値上げで原材料高の影響が広がった。猛暑や干ばつなど天候不順による不作により、カカオ豆やコーヒー豆、オリーブ、オレンジなどの輸入果汁で価格高騰が目立った。「包装・資材」(67.0%)は、食品トレー容器などで値上げが相次いでいることを背景に、値上げ要因に占める割合は上昇傾向が続いている。



7月の値上げは411品目、酒類・飲料が最多 レーズン・チョコ関連で値上げ

2024年7月の飲食料品値上げは411品目を数えた。3千品目を超える大規模な値上げラッシュとなった前年同月(3595品目)に比べ、3184品目・88.6%減と7カ月連続で前年同月を下回ったほか、3カ月連続で1千品目以下の水準にとどまった。7月単月における値上げ1回あたりの平均値上げ率は14%だった。



2024年7月の値上げは「酒類・飲料」が全食品分野で最も多い199品目だった。輸入ワインなど洋酒のほか、コーヒー製品が値上げとなった。「菓子」(75品目)は、6月に続きチョコレート製品の値上げが目立ったほか、米菓やスナック菓子製品で値上げの対象となった。「パン」(37品目)は、輸入レーズンやチョコレートの価格高騰を受け、一部製品で1年ぶりの値上げとなった。


今後の見通し:コストプッシュ型の値上げが再燃 今秋に値上げラッシュの見通し

2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の水準を超える円安が進行したことも重なり、コストプッシュ型の値上げが再燃している。24年通年の値上げ要因では全品目数のうち9割を原材料高が占めたことに加え、食品トレーやビンなど包装資材由来の値上げや、2024年問題による物流費由来の値上げは、前年を上回る水準で推移した。円安・人件費由来の値上げはいずれも、前年に比べ3倍多いペースだった。大雨や猛暑、干ばつをはじめとする世界的な異常気象で不作・凶作の影響を受けたほか、円安による輸入コストや物流費、賃金水準など、原材料高が中心だった22~23年の値上げと異なり食品値上げの要因が複合化していることも、コストプッシュ型値上げが長期化する要因となっている。


先行きでは、10月の食品値上げ予定品目数が6カ月ぶりに1千品目を超え、今後さらに増加するとみられる。1ドル160円前後で推移する円ドル相場の長期化で、円高進行による輸入コスト低減への期待感は弱まっているほか、一部の原材料や包装資材では一層の値上がりが見込まれるものもあり、今秋にかけて大規模な値上げラッシュが発生するとみられる。



2024年後半の値上げは、店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、月最大2千品目前後、年間で最大1.5万品目の値上げペースが続くとみられる。ただ、円ドル水準の下落局面が長期化しており、当初予想の品目数を上回る可能性がある。
 

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