カーボンニュートラルLNGを燃料とした舶用エンジンの試験運転を実施 ~ 舶用エンジンの製造工程におけるCO2排出削減の取り組み ~

2024/06/10  日立造船 株式会社 

2024 年 6 月 10 日

カーボンニュートラル LNG を燃料とした舶用エンジンの試験運転を実施
~ 舶用エンジンの製造工程におけるCO2排出削減の取り組み ~


日立造船株式会社のグループ会社である日立造船マリンエンジン株式会社(熊本県玉名郡長洲町、取締役社長:鎌屋 樹二、以下、HZME)は、このほど、本社兼工場に常設している技術開発用の 4気筒テストエンジン(日立造船-MAN B&W 4S50ME-T9.5-GI(定格出力 7,120kW))で、カーボンニュートラル LNG※を燃料とした実証試験運転を行いました。

【テストエンジン:日立造船-MAN B&W 4S50ME-T9.5-GI】

船舶の燃料については、将来的にはメタノールやアンモニア、水素の利用などが考えられていますが、足元では低炭素燃料として LNG の普及が進んでいます。HZME では今後の LNG 焚き舶用エンジン製造に備え、テストエンジンを最新型の高圧 LNG 焚き2元燃料エンジン「ME-GI Mk.2」に改造し、かつ舶用エンジンの製造工程からCO2 を削減する取り組みとして、カーボンニュートラル LNG を用いて試験運転を行いました。

今回の試験運転を重油で運転した場合のCO2 排出量は約 70 トンになりますが、LNGによる運転では約 53 トンに低減されます。さらに今回、カーボンニュートラルLNGを利用したことで、LNG からのCO2 排出量はカーボン・オフセットされるため、約 1.4 トンにまでCO2 排出量を低減できたことを確認しました。これは重油使用と比較して約 98%削減に相当します。舶用エンジン製造の最終段階では、一般的に工場内で試運転が行われます。HZME の本社兼工場では、年間約40 台の舶用エンジンを製造しており、排出されるCO2の約6割が試運転時の燃料によるものです。

HZME は、2023 年 3 月末にはメタノールを燃料とした陸上テストエンジンも受注しています。これらの新燃料に対応したエンジンの開発だけでなく、製造時におけるCO2 排出削減にも積極的に取り組み、顧客(荷主、船主、造船所など)のスコープ3に該当するCO2排出削減に貢献していきます。

※原料ガスの採掘~輸送~消費するまでに発生する温室効果ガスを、CO2クレジットなどで相殺(カーボン・オフセット)し、地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNGのこと。

なお、本件の概要は以下のとおりです。

1.エンジン型式:日立造船-MAN B&W 4S50ME-T9.5-GI(定格出力 7,120kW)
2.試 験 期 間:2024 年5月 13 日~2024 年 5 月 28 日の内、9 日間で実施
3.カーボンニュートラル LNG による CO2削減効果:対重油 68.6 トン、対通常の LNG 51.6 トン

(終)

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