第12回日ロ二国間渡り鳥等保護条約会議の結果概要について

2020/03/26  環境省  

令和2年3月26日

自然環境

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第12回日ロ二国間渡り鳥等保護条約会議の結果概要について

日ロ渡り鳥等保護条約に基づく第12回日ロ二国間渡り鳥等保護条約会議(以下、「条約会議」(注1))が令和2年1月29日(水)に宮城県栗原市で開催されました。条約会議では、各国における渡り鳥等の保全対策や調査研究等に関する情報交換等を行い、引き続き協力を推進することを確認しました。

1.条約会議の開催日程及び場所

(1)日程:令和2年1月29日(水)

(2)場所:宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(宮城県栗原市)

2.条約会議の概要

(1)前回会議以降の渡り鳥保全の取組

日本より、鳥獣保護区及びラムサール条約湿地の指定、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(以下、「EAAFP」)推進の取組、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律の概要と希少種の新規指定、風力発電施設へのバードストライク防止に関する取組、鳥類標識調査を通じて日本に飛来するミヤコドリの繁殖地の一つがカムチャツカ半島であると判明したことなどを報告しました。ロシアからは、改定が承認の最終段階にある国内レッドデータブックに、今回追加予定の種のうち特に日ロ間で重要な種としてヒシクイ、オオソリハシシギ、オバシギ、コオバシギ、シマアオジが含まれることが報告されました。

(2)共通の種の保全状況等についての情報共有

○ガンカモ類

ロシアより、ハクガンの繁殖地であるウランゲル島でその個体数が増加していること、また、現在北極海沿岸で行われている小型航空機を利用した大型水鳥個体数調査が極東ロシアへ拡大される予定であることが報告されました。

日本からは、EAAFPガンカモ類作業部会での議論などを踏まえ、個体数が減少している潜水ガモに関する現況把握など日ロで取り組むべきと考えられる優先的課題やテーマが共有されました。また、専門家が中心となって長期にわたり行ってきたシジュウカラガンやハクガンの個体数回復の取組について、成果が出ている一方で繁殖地の特定や分散の必要など課題が残されていること、コクガンの東アジア越冬個体群の渡り経路や主要生息地の把握に向けて日本・米国・中国の研究者による共同衛星追跡調査が進められていること、カリガネの生息地や渡りルートの特定、日本の個体群の安定的な保全管理のための取組を進める必要があることなどが報告されました。

○シギ・チドリ類

日本より、モニタリングサイト1000における2000~2017年の調査結果の分析から、シギ・チドリ類の個体数は多くの種において減少傾向にあり、中でも極地で繁殖する種が大きく減少していること、水田が重要な生息地として考えられること、また、条約会議に先立って開催された日本・米国・ロシアの専門家による小型シギ・チドリ類保護協力ワークショップについて報告しました。ロシアからは、極東ロシアにおいて実施された標識・衛星追跡調査及びハマシギの繁殖密度調査、狩猟に関する聞き取り調査を開始したことなどについて報告がありました。

意見交換を通じて、シギ・チドリ類は他のフライウェイでも減少しており、満潮時の休憩場所を伴った適切な生息地の減少や狩猟による圧力が影響している可能性が指摘されているが、実際にどのような原因があるのか把握する必要があること、また、標識調査は古くからある調査方法だが、衛星追跡調査では把握しきれない長期的な情報の収集において現在でも有効であること、上記ワークショップで検討されたハマシギのようなフラッグシップ種の保全のための取組が他の種や生息地の保全につながることなどが確認されました。

○陸生鳥類

日本より、日本、中国、韓国、ロシアの4ヶ国の協力で進められている「日中韓ロ陸生鳥類モニタリング・スキーム(注2)」を通じたこれまでの活動について報告し、絶滅の危機に瀕している草原性の渡り性陸鳥が直面する密猟、農薬の影響、生息地の喪失、生息地を取り巻く環境の変化など様々な課題に対し、多様な関係者を巻き込んで保全活動を促進する必要があること、4か国以外のアジアの国々でも普及啓発活動や研究協力が開始されており、取組の継続が重要であることが確認されました。

ロシアからは、カムチャツカで繁殖する陸鳥の生息状況について、カラマツ林や渓畔林ではシマアオジの個体数の増減が見られるが典型的な生息環境においては現在減少傾向が見られないこと、またカシラダカについては大幅に減少していることなどが報告されました。

○その他の種

ツル類については、両国とも継続して保全を進めていることが確認されました。海鳥については、アホウドリなどオホーツク海を利用する種についてまだ不明なことが多く継続的な観察が必要であること、日本ではウミネコやオオセグロカモメの減少率が高いが極東ロシアでは個体数が増加していること、また、海水温など海の環境の変化や混獲が海鳥の生態や個体数に影響を与えている可能性があること、海鳥の大量死が突然起こることがあるので現在絶滅の危機にない種でもモニタリングや個体数推定が重要であること、継続した情報共有の必要性について確認されました。

(3)その他

特にオホーツク海周辺地域を利用する渡り鳥に関する情報交換を促進し、共同調査や保護対策の検討に繋がる体制を整えていくため、日本よりプラットフォームとして研究者のメーリングリストの作成を提案したところロシアが趣旨に賛同し、今後も意見交換を続けることとなりました。

次回条約会議はおよそ2年以内に開催することが確認されました。

(注1)

日本とロシア連邦との間を渡る渡り鳥の保護に関しては、日ロ渡り鳥等保護条約(正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約」:昭和63年12月20日発効)が締結され、渡り鳥の捕獲等の禁止、情報・資料の交換、共同研究計画の作成の奨励等が規定されています。この条約に基づき、概ね2年ごとに条約会議が開催されています。

(注2)

日本、中国、韓国、ロシアそれぞれが結んでいる二国間渡り鳥等保護条約・協定等会議を通じて、アジアの渡り性陸生鳥類の減少についての懸念が共有され、これら陸鳥の繁殖地から課題に取り組むため、平成27年3月、二国間渡り鳥条約・協定等の枠組のもとに「日中韓ロ陸生鳥類モニタリング・スキーム」が発足しました。

連絡先

環境省自然環境局野生生物課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8284
  • 課長中尾 文子(内線 6460)
  • 課長補佐荒牧 まりさ(内線 6465)
  • 専門官市川 智子(内線 6468)

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