責任あるパーム油調達に関する取組み状況について

2020/06/30  不二製油グループ本社 

2020年6月30日責任あるパーム油調達に関する取組み状況について

1. 趣旨

不二製油グループ本社株式会社は、2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」(以下:調達方針)を策定・公表いたしました。この調達方針は、当社グループのすべてのパーム油製品について、サプライチェーンを含めた森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(No Deforestation, No Peatland and No Exploitation:NDPE)へのコミットメントを掲げています。
https://www.fujioilholdings.com/pdf/en/csr/sustainable/160310.pdf

この責任あるパーム油調達方針を推進するための当社グループの取り組みの進捗について、半年ごとにステークホルダーの皆様にご説明しています。このレポートでは、2019年1月以降の進捗状況についてご報告いたします。
※トレーサビリティの状況に関しては、2019年1月~6月のデータを掲載しております。

2. 進捗

図1でお示しする通り、当社グループは責任あるパーム油調達方針を推進するために、幾つかの主要な活動を実施しています。本レポートでは、2019年6月以降に進捗のあった4つの活動について報告します。

  • トレーサビリティ
  • グリーバンス(苦情処理)メカニズム
  • パルマジュ社のサプライチェーン改善活動
    • 変革のためのツール(Tools for Transformation:T4T)を使用したサプライチェーン改善
    • “搾取ゼロ”コミットメントの推進のためのエンゲージメント(労働環境改善プログラム/Labor Transformation Program: LTP)
    • “森林破壊ゼロ”コミットメント推進のためのエンゲージメント
  • APT (優先的地域変革) ランドスケープ イニシアチブ(インドネシア スマトラ)

当社グループは責任あるパーム油調達方針の実現のために、小規模農家、搾油工場(ミル)、一次精製会社そしてサプライヤーと協業して、当社グループのサプライチェーン内の課題を特定し、改善に取り組んでいます。

<図1:不二製油グループ 責任あるパーム油調達方針推進のための主な活動の全体像>

■トレーサビリティ
当社グループは、透明性がありNDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)に遵守したサプライチェーンを目指し、当社グループが調達・加工する全てのパーム油について、2020年までに搾油工場までの完全なトレーサビリティ達成を計画しています。
前回の報告期間(2019年1月から6月)以降の改善により、2019年7月から12月の期間の搾油工場までのトレーサビリティスコアは100%に達したことを報告いたします。これは、世界中の当社グループの事業全体でパーム油(Palm Oil:PO)およびパーム核油(Palm Kernel Oil :PKO)の両方の製品について100%に到達したことを指します。

<図2:搾油工場までのトレーサビリティの推移>

当社グループの全調達地域、全事業で、サプライヤーとのコミュニケーション強化に継続的に取り組んだことが、図2に示すようにトレーサビリティの向上につながったと考えています。

当社グループは、責任あるパーム油の調達方針に表明するように、サプライチェーンの透明性に取り組んでおり、今後も搾油工場までの完全なトレーサビリティスコアを維持するために、サプライヤーとのエンゲージメントを強化していきます。
また、搾油工場までの完全なトレーサビリティの維持のための継続的な取り組みに加え、当社グループは2030年までに農園までのトレーサビリティ100%という新たな目標を公表しました。2020年6月現在の農園までのトレーサビリティは52%です。新目標に関する詳細は、以下のURLを参照下さい。
https://www.fujioilholdings.com/news/2020/1198316_2533.html

結果に関する留意事項

  • トレーサビリティスコアは、データの可用性、調達先の変更、時間の経過あるいはその他の問題に伴い変動する場合があります。
  • すべてのトレーサビリティの数値は、サプライヤーによって自己開示された情報に基づきます。オイルミルのGPS座標については、当社グループが直接保有する情報だけではなく、パートナーである国際的な非営利団体のEarthworm Foundation(以下、EF)が保有する情報を使用しております。
  • また、一部のオイルミルデータに関して、EFと当社グループのサプライヤーの間で秘密保持契約を締結しており、現在当社グループがこのデータを保有する計画を進めております。

■グリーバンス(苦情処理)メカニズム
当社グループはNDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)を実行するために、2018年の5月にグリーバンスメカニズムを構築・公表しました。2020年4月に、グリーバンス(苦情)に対してより効果的に対応するために、グリーバンスプロシージャー(苦情処理手順書)を見直しました。最新のグリーバンスプロシージャーおよびグリーバンスリスト(苦情リスト)については以下のリンク先でご覧いただけます。
https://www.fujioilholdings.com/en/csr/grievance_mechanism/
グリーバンスリストは四半期毎に更新され、最新版を2020年6月30日に公表しています。当社グループは、様々な関係者から提起されるグリーバンス(苦情)が、当社のコミットメントに従って対応・管理されるよう、引き続きモニタリング、エンゲージメント、およびコミュニケーションを行っています。

■パルマジュ社サプライチェーンの改善活動
2016年7月以降、当社グループは責任あるパーム油調達方針を推進するために、Earthworm Foundationと取り組んでいます。方針を遂行する戦略の一環として、当社グループのマレーシア初の精製工場であるパルマジュ エディブル オイル(以下:パルマジュ社)のサプライチェーンにおいて、粗パーム油(Crude Palm Oil :CPO)とパーム核油(Palm Kernel Oil: PKO)のサプライヤー向けAggregator Refinery Transformationi(ART:当社グループの方針とサプライヤーとのギャップを埋める活動の呼称)に着手しています。

ART計画は精製工場から搾油工場、生産者(農園)に至るまでのサプライチェーンのパートナーを通した、現場での変革のための支援を提供することを目的としています。パートナーのニーズに合ったさまざまな活動を実施しています。活動はセミナーおよびワークショップからなり、ワークショップでは現場での1対1のエンゲージメントとアセスメントを行います。ART計画のプロセスについては図3をご覧ください。

<図3:ART計画プロセス>

ART計画では、活動を以下の3つのカテゴリーにグループ分けしています:
① A社との改善活動:
② A社以外との改善活動:
③ その他のエンゲージメント活動:


① A社との改善活動 (優先的サプライヤー) – [2017年に完了]
A社との取り組みの成果は以下のリンクから動画でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=sUWBgu07Tp8
A社はいくつかのマイルストーンを達成しました。持続可能な変革の道筋におけるA社の優良事例と進捗は2018年のEFのパイオニア・フォーラムで共有されました。パイオニア・フォーラムは、パーム油の農園と搾油工場が優れた改善の実践方法を共有するイベントです。
A社とパイオニア・フォーラムについての詳細は以下のURLを参照下さい。
https://sway.com/pLEOS156F4OgnrC7


② A社以外との改善活動 [現在進行中]
※図3で示すプロセスのうち、以下2件が該当します。
Ⅳ. セミナー / ワークショップ(変革のための自己評価ツールの展開)
Ⅴ. 改善支援(自己評価後の個別訪問)

当社グループは変革のための自己評価ツールii を使用して、変革のための取り組みの規模拡大を図っています。また、パーム油サプライヤーが、不二製油グループの責任あるパーム油調達方針の要件(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)に対してどの段階に位置するのかを把握しながら自社の慣行を改善できるように支援しています。このツールはサプライヤー及び当社グループの双方にとって、当社グループの責任あるパーム油調達方針に対するサプライヤーの現状を把握するのに役立ちます。

合計48社が、2019年の変革のための自己評価ツールに関するワークショップに参加し、当社グループとのエンゲージメントを行っています。図4に示すように、搾油工場と農園による自己評価ツールの実施件数も2018年以降増加しており、これはサプライヤーが事業慣行を改善することに等しくコミットしていることを示しています。


<図4:2018年と2019年の「変革のための自己評価」の実施件数>
2018年実施件数(件) 2019年実施件数(件)
パルマジュ社 搾油工場 7 8
農園 5 10
間接サプライヤー 搾油工場 - 14
農園 - 11

2019年は、「変革のための自己評価ツール」のシステムの中に、行動計画のパートを組みこみました。この質問書に回答するサプライヤーは、質問書への回答を通して特定した課題に取り組むための行動計画を提供されます。課題を特定した場合、どのように対応すべきかのガイダンスについて、「変革のための自己評価ツール 資料ウェブサイト」にて確認する事ができます。
https://toolsfortransformation.net

<図5:変革のための自己評価ツール(T4T):統合されたモニタリング/変革プラットフォーム>

NDPEに対するサプライヤーの進捗を評価できるようにすることに加え、このツールは不二製油グループにとって効果的な方法で後半にエンゲージメントを行う機会を提供し、サプライヤーとの良好な関係構築に役立っています。

③ その他のエンゲージメント活動 [現在進行中]
※図3で示すプロセスのうち、以下1件が該当します。
Ⅵ. “搾取ゼロ”コミットメント推進のための個別エンゲージメント [LTP]

「変革のための自己評価ツール」を通して、特に産業界の労働慣行と基準を改善するための改善活動を強化する必要性が見えてまいりました。当社グループは、パーム油サプライチェーン内の強制労働と奴隷労働を排除する必要性を認識しています。これは、特にNDPE準拠に対する市場の需要により、主要なパーム油供給企業・購入企業にとって優先事項です。この支援は、特に強制労働と奴隷労働の軽減において、小規模・中規模の企業が変革的な活動に着手するのに特に役立ちます。この文脈において、当社グループは“搾取ゼロ”のコミットメントを実施するための個別エンゲージメントを開始することを決定しました(労働環境改善プログラム:LTP)。

このような状況において、2019年下半期、当社グループは“搾取ゼロ”の取り組みを実施するために、1対1のエンゲージメントを通じて主要サプライヤーとの取り組みを強化しました。労働環境改善プログラムiii では、搾油工場が次のような主要な労働慣行(ただしこれに限定されません)について課題を改善することを、直接的かつ集中的に支援します。:

  • ⅰ. パスポートの保持
  • ⅱ. 倫理的雇用
  • ⅲ. 雇用契約
  • ⅳ. グリーバンス(苦情処理)メカニズム

2019年には、パルマジュ社のサプライチェーン上の主要な2社に対して、4回訪問しました。従来のフィールド評価とは異なり、LTPは変革に焦点を当てており、主要な労働慣行の改善を追跡および測定します。したがって、サプライヤーが市場からの新要件(NDPE)に適応し、その慣行を変更するための質的および量的な構想を提供します。訪問中に設定いただいた期限内に、期待する基準に到達いただくために、エンゲージメント先の企業に合わせた支援を提供しました。当社グループは今後も継続して労働環境改善プログラム(LTP)を推進します。2025年までに、パルマジュ社の全サプライヤーにLTPを適用する目標を公表しました。本件の公表に関する詳細情報については以下のURLを参照下さい。
https://www.fujioilholdings.com/news/2020/1198316_2533.html

③ その他のエンゲージメント活動:
※図3で示すプロセスのうち、以下1件が該当します。
Ⅶ. “森林破壊ゼロ”コミットメント推進のための個別エンゲージメント

当社グループでは、責任あるパーム油調達方針を指針としており、サプライチェーン上の森林破壊ゼロや泥炭地開発ゼロの実現を目指しています。これらを達成するために、サステナビリティに関するパートナーや他の業界関係者と協力して、マレーシアでの森林破壊ゼロ変革戦略を策定しています。

一連の戦略的活動は、サステナビリティに関するパートナーであるEarthworm Foundationによって描かれたTheory of Change(変革のための方法論)を補完するために設計されました。図6に示す活動は、森林破壊への影響を最大化し、森林破壊ゼロのコミットメントと方針を、官民双方の関与を目的とした二本柱の戦略の両側面に基づいて効率的に実施することを目的としています。

<図6:森林破壊ゼロ戦略 活動と目標>

2019年に設定されたすべての目標が達成されました。この連携により重要な成果が出ました。2019年の主要な成果は以下の通りです。

  • サプライヤーとのエンゲージメント戦略を進め、政府機関が優先的地域に焦点をあわせるためのマレーシアのホットスポット検出予測図
  • 森林破壊を推進する要因を理解するための、サバ州の3つの調査地の空間分析
  • 省および関係部局長とのステークホルダーミーティング
  • 農園までのトレーサビリティ推進のためのガイダンス文書の開発

当社グループは引き続き、EFや他の関係者と引き続き協力し、2019年に築かれた基盤に基づいて、優先的地域におけるパーム油生産に起因する森林破壊に対処するためのより統合されたアプローチを推進します。

■APT ランドスケープ イニシアチブ(インドネシア スマトラ)
当社グループの調達先の約60%はインドネシアからのものであり、インドネシアは依然として当社のサプライチェーンの主要な供給源です。

当社グループは、森林破壊を低減し、商品の生産・自然の保護・適切な社会および労働慣行のバランスを大規模に保つことの実現可能性を示すために、優先的な改善エリアのためのイニシアチブ(Areal Prioritas Transformasi :APTiv)に2018年より参画しています。

<図7:ルセルエコシステムに関するアチェ・タミアン地域の場所>

過去2年間の当社グループの関与は良い影響をもたらし、新しいマイルストーンを達成し続けています。2019年6月から12月までの注目すべき成果には以下が含まれます。

  • アチェ南部の地域における政府の最初の正式な支援の確保
  • 試験的な生計プログラムに関与する地域コミュニティからの熱意の高まり
  • 地域の首長によるグリーン開発促進のためのタスクフォースの結成によって証明される、アチェ・タミアンにおける政府当局が先見の明のある持続可能性のコミットメントを具体的な行動に緊急に変換する意欲
  • アチェ・タミアンと南アチェの森林破壊の減少傾向

本イニシアチブについて2019年下半期のもう1つの注目すべきハイライトは、資金提供者による現場訪問です。アチェ・タミアンでの成果の進展と、森林およびコミュニティで働いて暮らす人々の生活を守るための取り組みを実施する際に関連する問題を理解することができ、当社グループにとって印象的な訪問となりました。

3. 今後の取り組み

2020年度も、当社グループは責任あるパーム油調達方針を守るための取り組みを継続します。
当社グループは、パーム油に関するKPIを含めた、サステナブル調達に関する中長期目標を2020年6月に公表しました。全ての原料をサステナブルな原料調達に切り替えることは当社グループのビジネスの持続可能性を高めるためにも不可欠な戦略だと考えています。当社グループはNDPEのためのマイルストーン達成に向け更に取り組みます。サステナブル調達に関する中長期目標については以下のURLをご参照下さい。
https://www.fujioilholdings.com/news/2020/1198316_2533.html

当社グループは今後もサプライチェーン全体で戦略を展開していきます。トレーサビリティの取り組みについては、農園までのトレーサビリティ(TTP)を管理するためのガバナンス開発により重点をおきます。 “搾取ゼロ”および“森林破壊ゼロ”の取り組みを実施するために、主要サプライヤーとの1対1のエンゲージメントを追加で行います。また、「変革のための自己評価ツール」プラットフォームを活用して、引き続き取り組みを拡大します。

また、サプライヤーとより定期的にエンゲージメントを持ち、これまでのすべてのエンゲージメントについて適切なフォローアップ活動を確実に行えるように、社内的な能力を強化する必要性も認識しています。これに加えて、当社グループはグリーバンスプロシージャーの手順を通じて提起されたグリーバンス(苦情)を引き続き確認および対応します。この手順では、すべての苦情についてVerification(確認)後にグリーバンスリストに登録されます。また、当社グループは、継続してサプライチェーンデータを更新し、トレーサビリティスコアについて専用ダッシュボードで半年ごとに公開します。

持続可能なパーム油調達の活動に関して、次回レポートは2020年12月に公表予定です。


i APT ランドスケープ
https://www.earthworm.org/news-stories/art-episode-1-how-tft-works-in-palm-oil-an-introduction-to-the-art-plan
https://www.earthworm.org/news-stories/art-episode-2-traceability-getting-to-the-heart-of-things
https://www.earthworm.org/news-stories/art-episode-3-mpp-plotting-the-road-map

ii 変革のための自己評価ツール(Tools for Transformation:T4T)
T4Tは、EFが作成および管理するオンラインシステムであり、パーム油精製所がサプライヤーに働きかけて現場での慣行を改善し、進捗状況を報告するのに役立ちます。この自動化システムは、デジタルテクノロジーの力を利用して、サステナビリティに関する大量のデータを転送および収集し、自動化された行動計画を生成し、事業を専門的知識の資料へと結びつけ、現場での変革を一歩一歩進めます。

iii 労働環境改善プログラム(Labor Transformation Program:LTP)
LTPは、2019年にEFによって開発された主要な労働問題に関する変革に焦点を当てたサプライヤーエンゲージメントイニシアチブです。

iv 優先的な改善エリアのためのイニシアチブ(Areal Prioritas Transformasi:APT)
https://www.earthworm.org/our-work/projects/aceh-tamiang-sumatra-indonesia

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