新規線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体選択的チロシンキナーゼ阻害剤E7090が日本においてFGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道がんを予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定

2021/02/22  エーザイ 株式会社 

新規線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体選択的チロシンキナーゼ阻害剤E7090が日本においてFGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道がんを予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定

  • 2021年2月22日

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、当社が創製し、経口投与可能な新規抗がん剤として開発中の線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3)選択的チロシンキナーゼ阻害剤E7090について、FGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道がんを予定される効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されたことをお知らせします。

FGFRの遺伝子異常はがん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに重要な役割を果たしていることが知られています。また、様々ながん腫においてFGFRの遺伝子異常が認められていることから、がん治療の有望な標的として注目されています。E7090は、FGFR1、2、3を選択的に阻害し、そのシグナルを遮断することにより、FGFRの遺伝子異常を有するがんに対する新たな分子標的治療薬となる可能性があります。

E7090は、日本において臨床第Ⅰ相試験を実施し、FGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道がんに対する治療を対象に、厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されています。現在、日本、中国においてFGFR2融合遺伝子を有する胆管がん患者様を対象とした臨床第Ⅱ相試験(201試験)が進行中です。

当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた画期的な新薬創出をめざしています。E7090によるがん治療の可能性を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

  1. 1. E7090について

E7090は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)であるFGFR1、FGFR2、FGFR3に対して選択的阻害活性を示す経口投与可能な、エーザイ筑波研究所創製の新規チロシンキナーゼ阻害剤です。本剤は、従来のFGFR阻害剤と異なり、ジメトキシフェニル基を持たない基本構造を有し、速度論的解析実験からFGFRに素早く、強力に結合し、かつ高い選択性を示す結合様式(タイプV)によるキナーゼ阻害作用により、抗腫瘍効果を現すことが推察されています1

E7090については、日本、中国においてFGFR2融合遺伝子を有する胆管がん患者様を対象に有効性と安全性を評価する臨床第Ⅱ相試験(201試験)が進行中です。また、日本において、エストロゲン受容体陽性HER2陰性の乳がん患者様を対象とした臨床第Ⅰ相試験が進行中です。

  1. 2. 胆道がんとFGFR2融合遺伝子を有する胆管がんについて

胆道がんは5年相対生存率が約20%と、膵がんに次いで予後の悪い難治がんであり2、他のがんと比較して薬物療法の選択肢も限られており、アンメット・メディカル・ニーズの非常に高い疾患です。日本における胆道がんの患者様数は約3.2万人と推計されています3,4,5FGFR2融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められています6

  1. 3. 日本における希少疾病用医薬品の指定制度について

希少疾病用医薬品の指定制度は、医療上の必要性が高いにも関わらず、患者数が少なく、研究開発が進まない医薬品等の開発を支援することを目的としています。医薬品医療機器等法第77条の2に基づく指定要件として、対象患者数が国内において5万人に達しないこと、代替する適切な医薬品等又は治療方法がないこと、又は既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること、対象疾病に対して、当該医薬品等を使用する根拠があり、開発計画が妥当であることが定められています。具体的な支援内容としては、優先的な治験相談および優先審査の実施、申請手数料の減額、再審査期間の延長、試験研究費への助成金交付、税制措置上の優遇措置があります。

1. Watanabe Miyano S. et al., "E7090, a Novel Selective Inhibitor of Fibroblast Growth Factor Receptors, Displays Potent Antitumor Activity and Prolongs Survival in Preclinical Models ", Molecular Cancer Therapeutics, 2016, 15(11), 2630-2639.

2. 最新がん統計, 国立がん研究センター がん登録・統計

3. 平成29年患者調査, 政府統計(e-Stat) https://www.e-stat.go.jp/

4. 第21回全国原発性肝癌追跡調査報告(2010~2011). 2020.

5. Shin Ishihara. et al., "Biliary tract cancer registry in Japan from 2008 to 2013", J Hepatobiliary Pancreat Sci., 2016, 23, 149-157.

6. Arai Y. et al., "Fibroblast growth factor receptor 2 tyrosine kinase fusions define a unique molecular subtype of cholangiocarcinoma", Hepatology, 2014, 59, 1427-1434.

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