第7回IUCN世界自然保護会議の結果概要について

2021/09/14  環境省  

令和3年9月14日

自然環境

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第7回IUCN世界自然保護会議の結果概要について

IUCN(国際自然保護連合)主催の第7回世界自然保護会議(WCC7)が、令和3年9月3日(金)から9月11日(土)までの9日間、フランス・マルセイユで開催されました。
日本からは現地又はオンラインにより、環境省、外務省に加え、国際自然保護連合日本委員会などのNGOも参加しました。会員総会では、役員選挙、動議の採択や功労者への表彰式等が実施されました。環境省は政府機関会員として会員総会に出席するとともに、イベントやポスター展示を通じて我が国の取組を発信しました。

1.第7回世界自然保護会議の概要

世界自然保護会議は、IUCN(国際自然保護連合:International Union for Conservation of Nature。以下「IUCN」という。)の4年に1度の会員総会と、それに併せて行われる「世界自然保護フォーラム」で構成されます。

(1)期間

令和3年9月3日(金)~同年9月11日(土)

(2)会場

Parc Chanot展示・会議センター(仏・マルセイユ)及びオンライン併用

(3)参加者

IUCNを構成する会員及びIUCNの委員会に属する科学者が世界各地から参加しました。日本からは、環境省及び外務省に加え、国際自然保護連合日本委員会などのNGOも参加しました。

2.主な結果

会員総会では、役員選挙、動議の採択、功労者の表彰、声明(マルセイユ・マニフェスト)の発出等が行われました。また、世界自然保護フォーラムではハイレベル対話やテーマ別会合など、様々なイベントが開催されました。

(1)役員選挙

IUCNの会長、地域選出理事等の選挙が実施されました。会長にはUAEのラザン・アル・ムバラク氏が選出されました。同氏は、昭和23年(1948年)に設立されたIUCNにおいて2人目の女性会長となります。また、南・東アジア地域選出理事に我が国から立候補していた星野一昭氏(元環境省自然環境局長)が選出されました。なお、平成6年(1994年)以降、我が国からは継続して地域理事が選出されています。

(2)各種動議などの審議

今次会合では事前のオンライン投票にかけられなかった生物多様性保全等に係る計28件の動議とIUCNのガバナンスに係る14件の動議が審議され、前者は全て、後者は11件が承認されました。承認された主な動議は以下のとおりです。

・ IUCNの内部での気候変動への対応を調整するための気候変動専門委員会の創設(動議3)

・ 新たな生物多様性の世界目標である「ポスト2020生物多様性枠組」の策定と実施に向けて、陸と海の30%を保護・保全、生産・消費フットプリントの半減などの目標等の提案(動議40)

・ 水、大気、森林、土壌、生物資源などの自然資本の定義や価値、管理のあり方等を踏まえ「自然資本に関するIUCNポリシー」を策定すること(動議62)

・ 陸域、内陸水域及び海域それぞれの少なくとも30%を保護・保全する目標設定の支持等をIUCN会員等に呼びかけること(動議101)

(注)いずれの動議も法的拘束力を有するものではありません。

(3)功労者への表彰式

IUCNの最高位賞の1つであるジョン.C.フィリップス・メモリアルメダルが、アルフレッド・オテン・イェボア氏(ガーナ)へ贈られました。同氏は環境省が支援している「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」の平成22年(2010年)の創設に関与し、以来、二次的自然環境の保全と持続可能な利用を推進する「SATOYAMAイニシアティブ」の世界各国・各地域への拡大に貢献するとともに、10年以上にわたり同パートナーシップの運営委員会委員長を務める等、世界の生物多様性保全に貢献された功績が評価されました。

(4)世界自然保護フォーラムにおける環境省の対応

日本からは星野一昭氏が保護地域に関するハイレベル対話、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)パートナーシップ、淡水保全に向けた世界的なアクション閉会プレナリー等のイベントに参加し、日本の生物多様性保全の取組や今後の国際的な対策の方向性についての考え等を発信しました。また、ポスター展示において、「生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の考え方」、「日本における生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO3: Japan Biodiversity Outlook 3)」、「SATOYAMAイニシアティブ」の3点を紹介しました。

(5)マルセイユ・マニフェストの発出

新型コロナウイルスからの復興、生物多様性の危機、気候変動の3点を軸とした、IUCN世界自然保護会議で議論されたメッセージを取りまとめて「マルセイユ・マニフェスト」として発出されました。同マニフェストには、自然に対する投資の増加や野心的なポスト2020生物多様性枠組を通じて生物多様性の損失の食い止め、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)を活用して気候変動へ対応していくことなどが盛り込まれています。

【参考】マルセイユ・マニフェスト本文(英語)

https://www.iucncongress2020.org/sites/www.iucncongress2020.org/files/page/files/marseille_manifesto_-_iucn_world_conservation_congress_-_10_september_2021_-_en.pdf

(6)その他

IUCN親善大使を務めるシンガーソングライターのイルカさんが動画出演し、IUCNの歌を各国の参加者に披露しました。

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8274
  • 課長堀上 勝(内線 6430)
  • 企画官田中 英二(内線 6660)
  • 課長補佐高橋 啓介(内線 6437)

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8275
  • 室長中澤 圭一(内線 6480)
  • 係長友居 洋暁(内線 6482)