マダニが媒介する「日本紅斑熱」に注意しましょう!

2022/06/07  静岡県  


( 令和4年度 )



( 資料提供 )

マダニが媒介する「日本紅斑熱」に注意しましょう!


-危機管理情報-
マダニ等が媒介する感染症「日本紅斑熱」に注意しましょう!
~今年初めての「日本紅斑熱」患者が確認されました~


1 要旨
      令和4年6月6日、県賀茂保健所管内で「日本紅斑熱」の患者が確認されました。患者は20歳代の男性で、すでに症状は軽快しています。
      県内で日本紅斑熱の患者が確認されたのは、今年に入ってからは初めてです。春から秋にかけてマダニの活動が盛んになる時期です。レジャーや農作業などで野山や草むら、畑などに入るとマダニに咬まれることがあります。マダニが病原体を保有していると、咬まれた人が「日本紅斑熱」、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などの感染症にかかる危険性があります。これらの疾患にかからないようにするために、野外でのダニ対策が重要です。
      日本紅斑熱の患者は、過去5年間では5月頃から11月頃まで確認されています。患者が発生しやすい時期は、マダニに咬まれないよう十分注意しましょう。
      報道機関各位におかれましては、感染者及び感染者家族等について、本人等が特定されることのないよう、格別の御配慮をお願いします。
2 患者について
(1)概要
      賀茂保健所管内在住の20歳代男性が4月25日に頭痛、4月26日に発熱がみられたため、4月27日に賀茂保健所管内の医療機関Aを受診し、テトラサイクリン系抗菌薬投与等の処置を受け当日中に解熱し、2日程度で軽快しました。入院はしていません。
      患者は日頃から近隣地域の山に入ることが多いため、ダニが媒介する感染症が疑われ、県環境衛生科学研究所で紅斑熱群リケッチア、つつが虫病リケッチア及びSFTSウイルスの遺伝子検査を実施しましたが、全て陰性でした。その後、5月11日に経過観察のため医療機関Aを再度受診し、血清を用いた間接蛍光抗体法を県環境衛生科学研究所で行ったところ、日本紅斑熱リケッチアに対する抗体の陽性が確認されました。
(2)主な症状
頭痛、発熱、発疹
(3)患者確認に至った経緯など
      4月25日 ・頭痛
      4月26日 ・発熱
      4月27日 ・医療機関Aを受診(救急)
      ・腹部等に細かい紅斑あり、ダニの刺し口は認められなかった
      ・テトラサイクリン系抗菌薬投与により解熱、入院はしなかった
      ・県環境衛生科学研究所の検査では紅斑熱群リケッチア、
      つつが虫病リケッチア及びSFTSウイルスの遺伝子検査は全て陰性
      5月11日 ・医療機関Aを受診(経過観察)、症状は軽快
      6月3日 ・5月11日に採取した血清を用いた間接蛍光抗体法により
      日本紅斑熱リケッチアに対する抗体陽性
      (4月27日の血清では抗体陰性)
      6月6日 ・医療機関Aから発生届が提出された
(4)推定感染経路
      日頃から山に入ることが多いため、日本紅斑熱リケッチアを保有するマダニに咬まれたことにより感染したと推定されます。推定感染地域は賀茂地域です。

3 日本紅斑熱について
(1)感染経路
    • 日本紅斑熱リケッチアという病原体を保有するマダニに咬まれることで感染します。
    • 人から人へ感染して広がることはありません。

(2)症状・治療
    • マダニに咬まれてから2~8日で、発熱、発疹を呈し、重症化すると死に至ることもあります。
    • 治療の第一選択薬はテトラサイクリン系抗菌薬で、ニューキノロン系抗菌薬が有効という報告もあります。

4 県内の日本紅斑熱の患者数(令和4年は6月6日現在)
本県では、平成12年から令和4年まで42名の患者が届出されており、届出患者の住所地は、県東部31名、県中部1名及び県西部4名、その他(県外)が6名。

年次

全国

静岡県
()内は死亡患者数再掲

患者
性別・年代・住所地・発生月

平成12年
(2000年)

38

1.男・60歳代・沼津市・9月

平成25年
(2013年)

175

1.女・60歳代・伊豆の国市・7月

平成27年
(2015年)

215

2(1)

1.男・60歳代・沼津市・8月
2.女・70歳代・伊豆の国市・6月※1

平成28年
(2016年)

277

2(1)

1.男・70歳代・伊東市・11月
2.女・70歳代・沼津市・5月※1

平成29年
(2017年)

337

6(2)

1.女・80歳代・熱海市・6月
2.男・50歳代・伊豆の国市・9月
3.女・70歳代・沼津市・9月※1
4.男・70歳代・沼津市・9月
5.女・80歳代・沼津市・9月※1
6.女・70歳代・沼津市・10月

平成30年
(2018年)

305

1.男・50歳代・三島市・3月
2.男・70歳代・伊東市・8月
3.女・70歳代・伊東市・10月

令和元年
(2019年)

318

10(1)

1.男・70歳代・神奈川県湯河原町・5月
2.女・70歳代・熱海市・5月
3.女・50歳代・県西部地区・6月
4.女・70歳代・伊豆の国市・7月※1
5.女・70歳代・熱海市・7月
6.女・40歳代・掛川市・9月
7.男・60歳代・熱海市・10月
8.女・70歳代・駿東郡清水町・10月
9.男・20歳代・伊東市・10月
10.女・70歳代・浜松市・11月

令和2年
(2020年)

421

1.女・70歳代・熱海市・5月
2.男・50歳代・熱海市・5月
3.女・90歳代・熱海市・7月
4.女・90歳代・南伊豆町・7月
5.男・70歳代・県外・8月
6.男・70歳代・熱海市・9月
7.女・70歳代・湖西市・10月
8.女・80歳代・熱海市・10月

令和3年
(2021年)

487

8(1)

1.女・70歳代・県外・5月
2.男・10歳代・沼津市・6月
3.女・80歳代・伊東市・7月※1
4.女・30歳代・県外・8月
5.男・70歳代・県外・8月
6.男・60歳代・牧之原市・9月
7.男・40歳代・県外・10月
8.男・70歳代・伊東市・10月

令和4年
(2022年)

66
(※2)

1.男・20歳代・賀茂保健所管内・6月 ←今回
平成30年の3例は、平成29年10月に発症したが、検体量が少なく平成30年に入って診断された1例を含む。
※1 亡くなられた方。 ※2 全国の人数は令和4年5月29日時点。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
(1)概要
    • 感染経路は、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることが中心ですが、血液等の患者体液との接触や、マダニに咬まれSFTSウイルスに感染している犬や猫の体液から感染することも報告されています。
    • マダニに咬まれてから、6日から14日の潜伏期間の後、発熱、消化器症状などが現れ、重症化した場合には、死に至ることもあります。
    • 県内では、令和3年3月5日に初めて患者が報告され、令和3年に4例(県西部地域2例、中部地域2例)、今年は2例(県西部地域1例、中部地域1例)が報告されています。

(2)過去の患者数 (人)

年次

全国

静岡県

患者(性別・年代・住所地・発生月)

平成28年
(2016年)

60

平成29年
(2017年)

90

平成30年
(2018年)

77

令和元年
(2019年)

101

令和2年
(2020年)

78

令和3年
(2021年)

110

1.男・60歳代・中部地域・3月

2.男・高 齢・浜松市・5月

3.女・60歳代・静岡市駿河区・6月

4.男・高 齢・西部地域・10月

令和4年
(2022年)

40

(※1)

1.女・高 齢・西部地域・3月

2.男・80歳代・焼津市・4月

※1 全国の人数は令和4年5月29日時点。
    注意喚起

      (1)マダニに咬まれないようにしましょう!
        • 特にマダニの活動が盛んな、春から秋にかけて注意が必要です。
        • 野山や草むら、畑などに入る場合は、耳を覆う帽子、首に巻くタオル、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくしてください。
        • マダニ用に市販されている忌避剤はありますが、マダニの付着を完全に防ぐことはできませんので、他の防護手段と組み合わせて対策を取りましょう。
      (2)屋外活動後は、マダニに咬まれていないか確認しましょう!
        • マダニに咬まれた場合は、数日間、体調の変化に注意しましょう。
        • 発熱・発疹の症状が見られたら、早めに医療機関を受診し、マダニに咬まれた可能性があることを医師に伝えましょう。
    (3)ペットに付着して、マダニが家の中に入ってくることもあります!
        • 飼育している犬や猫にもダニ駆除剤を使用しましょう。
        • できる限り猫は室内飼いにして外に出さないようにしましょう。

    ■ 添付資料

    マダニが媒介する「日本紅斑熱」に注意しましょう!:

    ( 198KB )


    提供日 2022年6月7日
    担 当 健康福祉部 感染症対策局感染症対策課
    連絡先 感染症対策班 TEL 054-221-2986

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