初発膠芽腫に対する医師主導のBNCT国内第1相臨床試験開始のお知らせ

2024/01/09  ステラファーマ 株式会社 

2024年1月9日
ステラファ ー マ株式 会 社

初発膠芽腫に対する医師主導のBNCT国内第Ⅰ相臨床試験開始のお知らせ

当社が国立大学法人筑波大学(以下、筑波大学)と実施しているBNCT(Boron Neutron Capture Therapy:ホウ素中性子捕捉療法)について、初発膠芽腫を対象とした国内第Ⅰ相医師主導臨床試験に関する治験計画届が筑波大学より提出され、臨床試験が開始されることをお知らせします。

本治験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究プログラム(シーズC)」課題として採択されています。

脳と脊髄には神経細胞と神経線維、その間を埋めている神経膠細胞があり、この神経膠細胞から発生する腫瘍の総称が神経膠腫(グリオーマ)で、最も悪性のものを膠芽腫(グリオブラストーマ)といいます。

膠芽腫は、5年生存率が10%程度と極めて低いがんであり、手術と放射線・化学療法の組み合わせでも多くが再発し、治療が困難とされ有効な治療法が望まれております。

日本国内での脳腫瘍の発生頻度は年間に約2万人、そのうち10%強が膠芽腫とされています。

本試験の主目的は、初発膠芽腫を対象に、筑波大学で開発された新型高出力中性子線源を用いた加速器 BNCT装置 iBNCT001※1及び当社治験薬である SPM-011 を用いた BNCT の安全性および忍容性を評価することです。また本試験は、筑波大学で最大 18 症例を目標に非盲検、非対照試験※2で行われます。対象は、 WHO2016 分類における IDH-wild type 膠芽腫で、組織学的診断がつき、術後になお画像評価病変を有する初発膠芽腫の患者様です。

これまで SPM-011 を用いた BNCT の臨床試験は、放射線治療歴のある患者様が中心でしたが、本試験では、はじめてすべての患者様で放射線治療歴がない患者様を対象とした試験となります。

さらに、本試験では、BNCT 施行後に、膠芽腫の標準治療である X 線とテモゾロミドを組み合わせた治療を受ける試験デザインとなり、SPM-011 を用いた BNCT の臨床試験では、初めて他治療との組み合わせを前提とした試験デザインとなります。

当社は、BNCTの適応拡大を目指し、一人でも多くのがん患者様に治療を提供できるよう、推進してまいります。

なお、本件による当社の業績への影響は軽微であります。

以 上

※1 BNCT照射装置・実証機:iBNCT001

iBNCT001の加速器には、研究用大強度加速器中性子発生装置であるJ-PARCの直線型加速器(リニアック)をベースに、BNCT専用に改良、高度化したリニアックを開発整備されたものです。また、中性子を発生する標的材にはベリリウムを組合わせています。ベリリウムに照射する陽子のエネルギーを比較的低い8MeVに設定して中性子を発生することで、中性子による装置の放射化を低減できる設計となっています。将来的には原子炉に匹敵する強度の中性子を発生できる設計となっています。

※2 非盲検、非対照試験

臨床試験(治験)を行う際に、被験者がどの治療群に割付けられたか、試験に関わっている医師等の医療関係者、被験者、解析者等にわかっていて、比較対照をおかないで実施される試験法。

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