「レセプトデータを活用した PCSK9 阻害薬の処方実態に関する調査」 についての論文を発表

2024/02/26  株式会社 ケアネット 

2024年2月26日

株式会社ケアネット

ケアネット、「レセプトデータを活用した PCSK9 阻害薬の処方実態に関する調査」
についての論文を発表

- 国民健康保険及び後期高齢者医療制度の約 350 万人分のレセプトデータを
用いたリアルワールドデータ( RWD)研究 -

株 式 会 社 ケ ア ネ ッ ト ( 本 社 : 東 京 都 千 代 田 区 、 代 表 取 締 役 社 長 : 藤 井 勝 博 、 URL :https://www.carenet.co.jp) と学 校 法 人 産 業 医 科 大 学 公 衆 衛 生 学 教 室 ( 所 在 地 : 福 岡 県 北 九州 市 ) は、国 民 健 康 保 険 及 び後 期 高 齢 者 医 療 制度 のレセプト データを用いて「 高 コレステロール治療薬の PCSK9 阻害薬が処方された患者の背景や特徴を把握すること」を目的に調査を行い、その結果を、学術論文「レセプトデータを活用した PCSK9 阻害薬の処方実態に関する調査 」として発表し、同論文が 2023 年 12 月に医学誌『保健医療科学』に掲載されましたので、お知らせします。

本研究は、使用許可が得られた 3 自治体の国民健康保険 及び後期高齢者医療制度のレセプトデータを用いて、高コレステロール血症の治療薬である PCSK9 阻害薬が処方された患者の背景や特徴を把握することを目的に記述的な調査を行 った、リアルワールドデータ( RWD)研究です。

2015 年 4 月から 2021 年 3 月までの 6 年間分レセプトデータから、2017 年 4 月から 2020 年 3月までの期間に PCSK9 阻害薬が最初に処方された患者群を「PCSK9 群」(184 人)とし、同様の手続きで、対照群を「エゼチミブ最大耐用量スタチン併用群」( 1,307 人)として抽出しました。

研 究結 果としては、PCSK9 群 では投与 開始 後のエゼチミブ最大耐 用量スタチン併用 群に比べて、post-index 期間(最初の処方日から 12 カ月間)において虚血性心疾患の有病率 及び PCI 手術を受けた患者割合が高いことが明らかになりました。pre-index 期間(最初の処方日より前 12 カ月間)を調べた所、PCSK9 群の虚血性心疾患の有病率及び PCI 手術を受けた患者割合がエゼチニブ最大 耐 用 量 スタチン併 用 群 に比 べて高 いことも分 かり、PCSK9 が急 性 心 筋 梗 塞 の再 発 リスクの高 いハイリスク患者に使用される傾向があることが示唆されました。

また、PCSK9 阻 害 薬 投 与 開 始 後 の期 間 である 1 年 以 内 に、PCSK9 阻 害 薬 を中 断 した患 者 が44.6% もいることが確 認 され、PCSK9 阻 害 薬 治 療による患 者 側 の経 済 的 負 担 や、医 療 者 側 が予防目的で高額な薬剤を選択することへの躊躇が発生している可能性が示されました。

冠動脈疾患は日本人の主要な死亡要因の一つであり、急性心筋梗塞は、年間約 74,431 人に発症し、そのうちの約 27~40%が治療後 3 年間以内に心血管イベントを再発するデータもあることから1、再 発 予 防 は高 齢化 社会 を迎 えている日 本において重 要な課 題 と言 えます。冠動 脈疾 患 の再 発予防効果への期待が高い PCSK9 阻害薬などの新規作用機序薬剤については、本研究のように適正な薬価検討、費用対効果に優れる患者像を特定するための研究が期待されます。

【 本研究に用いたレセプトデータについて】
レセプトデータとは診療報酬明細の通称で、医療機関を受診した患者の傷病名や医療行為の詳細、それに伴って保険者に請求した情報が記載されています。保険者が保有するレセプトデータを調査することで、その地域住民の治療状況を把握することができます2。本研究では、国民健康保険と後期高齢者医療制度のレセプトデータから PCSK9 阻害薬が処方された患者を抽出し、その患者の背景や特徴を把握することを目的に記述的な調査を行 いました。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.carenet.co.jp/wswp/wp-content/uploads/2024/02/ir_20240226.pdf

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