KOBELCOグループ 中期経営計画(2024~2026年度)について

2024/05/20  株式会社 神戸製鋼所 

KOBELCOグループ 中期経営計画(2024~2026年度)について

~魅力ある企業への変革~

2024年5月20日

株式会社神戸製鋼所

【1】 はじめに

KOBELCOグループはこの度、「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定いたしました。多様な事業で培われた技術・人材・ノウハウ等の【社内資本】と、多岐に亘るお客様・パートナーとの繋がり等の【社外資本】のかけ算による「KOBELCOらしさ」を追求し、マテリアリティ(中長期的な重要課題)への取組みをさらに強化していくことで、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。

【2】 前中期経営計画(2021~2023年度)の振り返り

2021年4月に開始した「中期経営計画(2021~2023年度)」の最終年度である2023年度の経常利益は1,609億円、ROICは6.7%(目標5%以上)となりました。また、D/Eレシオは2023年度末で0.55倍(目標0.7倍以下)となり、収益・財務面で共に目標を達成いたしました。加えて、配当性向についても予定通り引上げを実施し30%程度といたしました。

最重要課題として掲げた「安定収益基盤の確立」については、素材系事業における戦略投資の収益貢献について課題を残すものの、概ね順調に進捗いたしました。また、もう一つの最重要課題とした「カーボンニュートラル(CN)への挑戦」に向けた取組みは、計画通り着実に進捗させることができました。

また、攻めと守りの両方の観点から、あるべき事業ポートフォリオを目指した取組みを遂行するとともに、経営体制の見直しや、マテリアリティの指標・目標に基づいたESGに関する取組みの推進など、事業・経営基盤の強化に向けた取組みにも注力してまいりました。

【3】 2024~2026年度中期経営計画

前中期の振り返りおよび中長期的な環境認識を踏まえ、「中期経営計画(2024~2026年度)」においては、最重要課題を【「稼ぐ力の強化」と「成長追求」】と【CNへの挑戦】といたしました。

事業別の取組みは以下の通りです。

素材系事業 :「稼ぐ力の強化」に重点的に取組み、グローバルで収益性を向上 ROIC目標/6~8%
機械系事業 :外部環境変化をビジネスチャンスとした「成長追求」 ROIC目標/8~10%
電力事業 :前中期で確立した安定収益への貢献を継続 ROIC目標/10%以上

これらの事業戦略を推進するために、変革(KOBELCO-X)を通じてサステナビリティ経営を強化してまいります。

今中期において、上記の施策を推進し、魅力ある企業への変革を果たすとともに、2030年度に向けては、売上高3兆円、経常損益2,000億円、ROIC8%を安定的に確保できる「未来に挑戦できる事業体」を目指してまいります。

1.財務目標

今中期では収益性指標として、ROIC6%を安定的に確保し、好環境下では8%到達を目指してまいります。

また、安全性指標として、純資産比率:40%台前半、グロスD/Eレシオ 0.7倍台半ばを目指してまいります。

  • ※今中期よりグロス D/Eレシオについては、プロジェクトファイナンスを含む有利子負債ベースに変更

2.キャッシュアロケーション

2024~2026年度累計で、5,000~6,000億円の営業キャッシュフローの確保を計画しており、方針に沿った株主還元を考慮に入れた上で、各事業への投資等を行っていく予定です。

また今中期期間においては積極的な投資計画を進める予定(以下、意思決定ベース)としております。

  • CN対応投資:3,000億円程度
  • 稼ぐ力の強化関連投資:1,700億円程度
  • 成長追求関連投資:1,000億円程度
  • 人的資本関連投資(環境改善および人材不足対応投資):600億円程度
  • 合理化・更新投資等(DX含む):3,200億円程度

これら先々の資金需要も見据えて、資産売却・現預金水準の圧縮等により資本効率の最大化に取り組みます。

3.株主還元方針

継続的かつ安定的に実施していくことを基本としつつ、当社の財政状態、先行きの資金需要、各期の業績及び配当性向等を総合的に勘案して決定いたします。配当性向については、2023年度に引き上げた目安の30%程度を継続いたします。

4.重点施策

① 稼ぐ力の強化(素材系事業):将来の外部環境を見据えた「事業基盤の再整備」

アルミ板・アルミ素形材の事業再構築
アルミ板・アルミ素形材ともに、今後も需要拡大が期待される一方、地産地消ニーズの拡大などにより、戦略の見直しが必要な状況となっております。2024年度の黒字化を目指し、ベース収益改善(価格改善・コストダウン・安定生産)に加え、アルミ板では、中国における宝武アルミとのJV設立の検討など、地産地消ニーズを踏まえた事業の再構築を推進してまいります。アルミ素形材では、北米事業(KAAP、KPEX)の収益化に向け、最適な事業規模・生産体制検討など構造改革を推進してまいります。
グローバルでの競争力維持
鉄鋼・溶接においても、グローバルでの競争力維持に向け、各地域のメガトレンドを踏まえ、対象地域や各地域の生産体制の見直しなど事業全体での体制再整備を遅滞なく進めてまいります。特にアジアでの地産地消ニーズに即した生産・販売体制の強化を推進してまいります。

② 成長追求(機械系事業):「新たな需要の捕捉」、「事業の幅の拡大」による成長

機械系事業では、稼ぐ力を強化しつつ、「CNを背景としたエネルギー転換等の新たなビジネスチャンスの獲得」「コト売り・ソリューションビジネスへの展開」を軸に成長を追求し、機械系全体で売上高1兆円規模の事業体を目指してまいります。

エネルギー転換等の新たなビジネスチャンスの獲得
機械:
環境用途で需要拡大が見込まれる回転機事業で確実に受注を獲得していくことに加え、半導体検査装置やIP事業での拡大を目指してまいります。
目指す姿/売上高3,000億円規模(2030年度)
エンジニアリング:
電炉増加に伴う還元鉄需要の増加を着実に捕捉していくとともに、廃棄物処理・水処理関連事業を伸長させてまいります。オマーンで検討しております低炭素鉄源供給事業についても、事業性検討・投資判断を進めてまいります。
目指す姿/売上高2,500億円規模(2030年度)
コト売り・ソリューションビジネスへの展開
これまでの事業活動で培ってきた情報・技術・ノウハウと、DX関連技術のかけ算により、「溶接システム」「K-DIVE(R) 」「K-D2 PLANNER(R) 」「ハイブリッド型水素ガス供給システム」などのコト売り・ソリューションビジネスの強化を進めてまいります。
目指す姿/売上高500億円規模(2030年度)

③ CNへの挑戦

生産プロセスのCO2 削減
製鉄プロセス:
2030年度30~40%削減という目標達成に向けて、高炉へのHBI多配合や、各種省エネ施策などの実行を進めてまいります。また、平行して高炉二基体制を前提とせず、高級鋼製造が可能な大型革新電炉の検討を加速してまいります。
電力事業:
2030年度石炭火力高効率化USC以上(43%)という目標達成に向けて、神戸発電所1,2号機のアンモニア20%混焼の実現に向けた取組みを進めてまいります。長期脱炭素電源オークションを落札いたしましたが、今後もアンモニアサプライチェーンや設備の発注などを推進してまいります。将来的には神戸発電所1~4号機のアンモニア高混焼、専焼等に取り組んでいく予定です。
技術・製品・サービスによるCO2 排出削減貢献
2030年度目標について、機械系事業の成長を踏まえて、7,800万トンに上方修正することといたしました。また、CO2 排出削減貢献製品の売上高についても、2030年度5,500億円を目指してまいります。

④ 変革(KOBELCO-X)を通じたサステナビリティ経営の強化

AX(「既存事業の深化」×「新規事業機会の探索」という「両効きの経営」)とGX(「CNへの挑戦」)を事業戦略の両輪とし、これらを実現するためのドライバーとして、5つのX(BX「業務変革」、CX2 「お客様対応変革」、DX「デジタルトランスフォーメーション」、EX「従業員体験」、FX「ものづくり変革」)を推進してまいります。加えて、事業存立の大前提となる安全・品質・コンプライアンス・ガバナンスなどの経営基盤の強化にも継続的に取り組み、サステナビリティ経営の強化を目指してまいります。

多様な人材の活躍推進
当社グループの人材戦略は「組織の多様性を高める」「一人ひとりの成長・挑戦を促す」「活躍できる環境を整備する」の3つのアプローチで進めております。
多様性向上:
女性や障がい者の登用などダイバーシティ&インクルージョンの施策推進に加え、広告宣伝の活用やキャリア採用への注力により多様な人材の採用を推進しております。
成長・挑戦と環境整備:
賃金処遇、人材育成への取組みに加えて、職場環境改善や省人化・自動化などの人材不足対応として600億円程度の経営資源投入を計画しております。
DXの推進
変革(KOBELCO-X)を実現していくためにも、あらゆる施策の手段・ツールとしてのDXの推進が肝要であるという認識のもと、600億円程度の投資を計画しております。人材・環境・風土の各要素を強化し、DX推進力を高めることで変革を実現・加速・高度化させ、更には社会課題の解決や新たな価値創出へ繋げてまいります。

【4】 おわりに

当社は2025年に創業120周年を迎えます。お客様・お取引先様・地域社会の皆様・株主・投資家の皆様・グループ社員など様々なステークホルダーの皆様から「魅力ある企業」と認めていただけるよう、変革に取り組んでまいります。

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