グリーンイノベーション基金事業で新たに「浮体式洋上風力実証事業」に着手

2024/06/11  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 

グリーンイノベーション基金事業で新たに「浮体式洋上風力実証事業」に着手
―早期の低コスト化を実現し、日本の産業競争力の強化を目指す―

2024年6月11日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは、グリーンイノベーション基金事業の一環として、浮体式を中心とした洋上風力発電のコスト低減によって導入拡大を目指す「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクト(以下、本プロジェクト)を進めています。このたび、本プロジェクトの研究開発項目の一つである「浮体式洋上風力実証事業」について、2件の研究テーマを採択しました。

本プロジェクトでは、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けたコスト低減を図るため、フェーズ1として実施した要素技術の開発成果も取り入れつつ、フェーズ2として、日本の産業競争力強化に資するよう、グローバル市場を見据え、コスト目標・タクトタイム目標などを設定した、1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式洋上風力発電実証事業を実施します。

NEDOは本プロジェクトを通じて、浮体式洋上風力発電の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指します。

1.グリーンイノベーション基金事業について

日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業(以下、本基金事業)を立ち上げました。本基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野を支援対象としています。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされました。

なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※2」を公開しています。

2.本プロジェクトの背景

本プロジェクトでは洋上風力産業のうち、現状では技術成熟度※3が比較的低いながらも、長期的な支援によって技術開発の進展と大きな政策効果が見込める分野を支援対象としています。具体的には「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ※4」に基づくサプライチェーン8分野のうち、対象として「風車」、「浮体式基礎製造」、「浮体式設置」、「電気システム」、「運転保守」を重点化した上で、まずはフェーズ1として要素技術の開発※5を進めてきました。

今回はフェーズ2として、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、フェーズ1での成果も踏まえ、企業から目標へのコミットメントを得たうえで、10MW以上の大型風車を用いた実海域での実証事業を実施し、早期のコスト低減を実現することで、浮体式洋上風力の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指します。

3.実施内容

【1】事業名

グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化

【2】予算

約850億円(NEDO支援規模)

【3】期間

2024年度~2030年度(予定)

【4】採択テーマ

【研究開発項目:フェーズ2】浮体式洋上風力実証事業

浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、フェーズ1として実施した要素技術開発成果も取り入れつつ、日本の産業競争力強化に資するよう、フェーズ2として、グローバル市場を見据え、コスト目標・タクトタイム目標などを設定した1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式実証事業を実施します。

採択テーマと実施予定先は、以下の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

本件については、経済産業省からも以下の通りニュースリリースを行っています。

(参考)経済産業省ニュースリリース(2024年6月11日)

  • 図 本プロジェクトのイメージ

【注釈】

※1 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト
※3 技術成熟度
「特定の技術の成熟度の評価を行い、異なったタイプの技術の成熟度を比較することのできるシステマティックな定量尺度」です。主として、システム、サブシステム、機器、コンポーネント、部品などの最終製品を目指した開発活動に活用する尺度です。
※4 洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ
「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」およびNEDOで研究開発の候補となる技術群を抽出し、8分野に整理しました。その上で分野ごとに、〔1〕日本の特性や強み、アジア市場への最適化に有用な技術であるか、〔2〕社会実装を見据え、ユーザーである発電事業者のニーズを踏まえたものであるか、といった観点から、有識者や産業界の意見を反映し、開発すべき要素技術の絞り込みを行い取りまとめました。
洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ
※5 フェーズ1として要素技術の開発
(参考)NEDOニュースリリース(2022年1月21日)「グリーンイノベーション基金事業、「洋上風力発電の低コスト化」に着手

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 風力・海洋グループ E-mail:gi-wind[*]nedo.go.jp

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室 担当:木場、田中

E-mail:green-innovation[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 報道グループ TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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