キリンビールRTDの商品開発力強化に向け、処方管理システムを導入 [株式会社NTTデータ]

2024/06/21  NTTデータグループ 

キリンビールRTDの商品開発力強化に向け、処方管理システムを導入

~生活者ニーズの多様化にこたえる、さらなる商品開発の実現に向けて~

トピックス

2024年6月21日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、キリンビール株式会社(以下:キリンビール)と共同で、処方管理システムを構築注1 し、2024年6月からシステムの本格運用を開始します。
食品・飲料業界においては、生活者ニーズの多様化や商品開発人材の不足に伴い、商品開発力の向上・高度化が求められています。キリンビールの処方開発業務注2 では、複雑な処方設計や表示検討、複数回の試作が必要なことで、情報の管理と確認作業が煩雑であることが課題となっていました。
NTTデータは、キリンビールのRTD注3 製品向けに、処方開発情報をデジタルデータとして一元的に管理できる処方管理システムを構築・提供し、処方開発業務の効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上により、キリンビールとともに年間で約2,000時間注4 の業務時間削減を目指します。
今後は、デジタルデータとして蓄積された処方開発情報と機械学習/生成AI技術などの先進的なテクノロジーを組み合わせることで、さらなる商品開発力の向上・高度化を支援していくとともに、食品・飲料業界向けにイノベーションを創出し、社会課題の解決に貢献していきます。

背景

食品・飲料業界においては、生活者ニーズの多様化に伴い、従来よりも早いサイクルでの商品開発が求められているとともに、慢性的な労働力の不足により、高度な技術を有した専門人材の確保・育成が業界全体の課題となっています。キリンビールの処方開発業務においては、さまざまな種類の原材料を元に数十パターンの処方を検討の上、試作と試飲を繰り返して処方を確定していくため、処方開発業務における検討情報やノウハウの活用・継承と、それに伴う業務効率化が課題となっていました。
NTTデータでは、キリングループとのアライアンス注5 を通じて、キリンビールのバリューチェーン全体のシステム化に貢献してきました。商品開発領域は業務の複雑性が高いこともあり、これまでシステム化が早期に進まなかった一方で、NTTデータでは、デジタル技術で食品・飲料業界の商品開発業務の高度化に数多く取り組んできており、今回のキリンビールの課題・業務領域に転用可能なノウハウ・アセットを有していました。

取り組み概要

NTTデータは、キリンビールの課題解決に向け、RTD製品向けに、処方開発情報をデジタルデータとして一元的に管理できる処方管理システムを構築し、キリンビールの一部の商品チームでの試運用を経て、2024年6月からシステムの本格業務運用を開始します。
処方開発業務は、新商品に使用する原材料と配合を検討する配合検討業務、検討した処方を元に試作・試飲を繰り返す試作業務、原価を計算するコスト検討業務、検討した処方を元に商品パッケージの原材料・栄養成分表示を検討する表示検討業務に分かれます。(図1)これらの業務において、これまではExcelの帳票で個別に管理・運用してきましたが、帳票の電子化によりデータを一元管理するとともに、業務で利用する複雑な業務ロジックのシステム化を実現(図2)することで、業務の効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上を支援し、年間で約2,000時間の業務時間の削減を目指します。キリンビールでは、本取り組みで創出された時間を、より高度な業務(より良い商品を開発するための原材料探索、配合検討、技術探索)に充てることで、さらなる商品開発力の向上が可能となります。

1.業務帳票の電子化とデータの一元管理

処方検討、試作、表示検討の業務ごとに帳票が分かれていたことで、各帳票で共通的に利用する処方情報(原材料・配合・製造条件)については、変更が入るたびに複数帳票への転記と確認作業が発生しており、多くの稼働時間を費やしていました。また、過去に検討された帳票は、チーム・個人に閉じた管理となっているだけでなく、帳票のレイアウトに変更が入ることが多く、過去のノウハウが新商品開発や開発担当者の育成において、有効活用できない状況でした。
今回、処方情報をデジタルデータとして一元的に管理し、試作、表示検討の元データとして活用できるようにしたことで転記や確認に要していた時間の短縮を実現します。また、過去の処方検討、試作、表示検討情報をチーム横断かつレイアウトに依存することなく閲覧できるようにしたことで、高度な技術知見の伝承に活用することが可能となりました。

2.複雑な業務ロジックのシステム化

配合検討業務、試作業務においては、取り扱う原材料とその配合情報、試作結果については正確な計算・数値データの管理が要求されます。また、商品パッケージの原材料・栄養成分表示においても、食品表示法や業界自主基準にのっとった確実な情報の掲載が要求されます。これまではExcelの帳票でこれらを運用してきており、計算結果・数値の確認や表示の確認作業に膨大な時間を要していました。
今回、これらの計算ロジック・業務ロジックをシステム化したことで、ロジックの誤りが発生しづらい環境を実現し、確認に要していた時間の短縮と、商品開発業務の品質向上に貢献します。


このリリースの画像:
▼図1:処方開発業務とシステム化の範囲
https://www.jpubb.com/press/image.php?image=3251200
▼図2:処方管理システムの機能イメージ
https://www.jpubb.com/press/image.php?image=3251201

今後について

今回実現した、処方開発業務のデジタル化は、将来の商品開発業務の高度化に向けた1stステップとなります。今後は、蓄積したデータと機械学習/生成AI技術などの先進テクノロジーを組み合わせることで、最適な原材料や配合の予測などへの活用が期待できます。また、上流のマーケティング業務と下流の生産・販売業務をデータでつなげることで、バリューチェーン横断での業務改革につなげることも可能です。NTTデータは今後もデジタル技術を活用し、食品・飲料業界の商品開発業務の高度化と社会課題の解決につながるイノベーションを創出していきます。

注釈

  • 注1 処方管理システムの構築は、株式会社NTTデータビジネスシステムズ(https://www.nttdata-bizsys.co.jp/)と共同で実施しています。
  • 注2 処方開発業務:新商品の処方(原材料・配合・製造条件)の検討と試作・試飲、商品ラベルの表示情報を検討する業務。
  • 注3 RTD:「Ready to Drink」の略称。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料のこと。
  • 注4 年間2,000時間:今回のシステム化により目標とする業務削減時間。
  • 注5 NTTデータとキリングループのアライアンス:2012年、キリンホールディングス株式会社100%出資子会社であるキリンビジネスシステム株式会社の発行済株式の49%をNTTデータが譲り受け、資本提携を開始。(https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2012/030900/
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二インダストリ統括事業本部
食品・飲料・CPG事業部
KIRIN統括部ビジネス担当
田中、亀田
TEL:050-5546-9114

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