経済産業省 齋藤大臣記者会見 - 2024年6月25日 - 冒頭発言 ●経済産業省組織再編 ●経済産業省幹部人事 ●秋田出張 ●中小企業省力化投資補助事業 質疑応答 ●電気・ガス料金補助 ●エネルギー価格激変緩和措置 ●燃料油価格激変緩和措置 ●自動車メーカー型式不正 ●CCS ●経済産業省組織改編

2024/06/25  経済産業省 

齋藤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2024年6月25日(火曜日)
11時02分~11時18分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

経済産業省組織再編

おはようございます。私から4点申し上げます。
1点目ですが、本日、経済産業省組織令等の一部を改正する政令を閣議決定しました。経済安全保障、イノベーション、GX等の重点施策の推進体制を強化します。
具体的には、貿易経済協力局を貿易経済安全保障局に、産業技術環境局をイノベーション・環境局にそれぞれ改組するとともに、GXグループを新たに設置することとします。
改正内容の詳細は、事務方にお問合せいただければと思います。

経済産業省幹部人事

2点目ですが、本日、経済産業省幹部の人事異動について、閣議で承認されました。発令は7月1日となります。
日本の経済社会構造の転換が求められる中、経済産業政策の新機軸の推進、エネルギー基本計画の改定、半導体戦略を始めとする経済安全保障の確立、大阪・関西万博の開催準備などに万全を期す、そして継続性を確保しつつ、重点施策を着実に推進をしていくことが必要です。このため、飯田事務次官、村瀬資源エネルギー庁長官など、多くの幹部を留任させます。
また、松尾通商政策局長を経済産業審議官に、中小企業の成長支援等がマクロ経済政策、産業政策として極めて重要となる局面であることを踏まえ、山下経済産業政策局長を中小企業庁長官に登用します。
新設する貿易経済安全保障局長には福永貿易経済協力局長を、イノベーション・環境局長には菊川大臣官房審議官を、大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官には龍崎政策立案総括審議官を、それぞれ登用します。
省外で活躍してきた日本政策金融公庫の小野専務取締役を特許庁長官に、佐合取締役を関東経済産業局長に、成田内閣官房内閣審議官を大臣官房総括審議官にそれぞれ登用するとともに、博覧会協会の体制を強化するために、松山資源エネルギー庁次長を同協会に派遣します。
そのほか、事前配布資料のとおりです。これからも年次や職種にとらわれない適材適所の人事を行ってまいります。
最後になりますが、今回勇退することになる保坂経済産業審議官、須藤中小企業庁長官、吾郷首席スタートアップ創出推進政策統括調整官には、長年にわたる公務への多大な貢献に感謝申し上げます。
保坂氏も須藤氏も吾郷氏も、かつて私が若い頃、通産省勤務時代に一緒に仕事をした人たちでもあります。私は23年勤務して、46歳のときに退職しましたが、恐らくこの3人には万感の思いがあると思います。長年にわたる御貢献に本当に心から感謝を申し上げたいと思いますし、これからも折に触れ、後輩を御指導いただけると有り難いと思っています。これが2点目です。

秋田出張

3点目です。今週土曜日29日、秋田県秋田市に出張し、かねてから拝見したいと思っていた洋上風力発電施設を視察します。
政府は、洋上風力発電を、再生可能エネルギーの最大限導入に向けた「切り札」として位置づけており、これまで再エネ海域利用法等に基づき、約5.1ギガワットの案件を創出してきていますが、このうち約2ギガワット分が秋田県における案件となっています。
また、今月11日にはグリーンイノベーション基金による浮体式洋上風力の大規模実証プロジェクトとして秋田沖を採択しました。
このように、秋田県は日本をリードする洋上風力の先進地域であり、私も前々から現場を視察したいと思っていたところです。また、当日は地域と共生した洋上風力の実現に向けて県が進める取組について知事や地元産業界の方々との意見交換も行う予定です。

中小企業省力化投資補助事業

それから最後、4点目です。人手不足に悩む中小企業・小規模事業者の省力化投資を支援するカタログ型の中小企業省力化投資補助事業に関して、本日より申請受付を開始します。製品をカタログから選ぶ簡易で即効性のある仕組みで、本日時点で14カテゴリー90製品が登録済みですが、今後も順次対象となる製品を増やしてまいります。人手不足でお困りの事業者の皆様に、ぜひとも御活用いただきたいと思っています。
詳細については、事務方にお問合せください。
少し長くなりましたが、私からは以上です。

質疑応答

電気・ガス料金補助

Q:先般、総理が電気、ガスへの補助を表明されました。一部の報道では1キロワットアワー当たり3.5円というようなことを軸に検討するというような報道もありますが、補助の仕組みや金額の規模についての検討状況について教えてください。

A:これは21日に総理が行った会見において、「酷暑乗り切り緊急支援」として、電気、ガス料金の補助を行うことが発表されました。今夏の酷暑を乗り切るため、改めて緊急支援を行う必要があると判断したものです。
現在、与党内において議論が進められている段階ですので、具体的な内容については、与党との調整結果も踏まえ、しっかり対応していきたいというのが、現時点での状況です。

エネルギー価格激変緩和措置

Q:エネルギー価格の激変緩和措置について伺います。3月の会見で大臣は燃料油について、中東情勢の緊迫化等を背景とした価格高騰リスクや様々な経済情勢を見極めるためとして一定期間延長すると説明されていました。今回、激変緩和の期限を年内とした理由を教えてください。
また、電気、ガス料金については、予期せぬ国際情勢の変化等により価格高騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するため、緊急対応が必要となった場合に対応すると説明されていました。今回、措置を再開されますが、こうした状況に当てはまるとお考えでしょうか。

A:21日に総理が行った会見において、燃料油価格の激変緩和事業について、「年内に限り継続する」旨の発言がありました。
これは、総理からも発言がありましたが、本事業は脱炭素の流れに逆行することもあり、いつまでも続けるべきものではないものの、物価高に直撃されている地方経済や低所得者世帯の現状に鑑み、年末までの物価抑制を図るという観点から、措置を継続するものと認識しています。
また、電気・ガス料金の激変緩和対策については、燃料輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下した状況等を踏まえ、5月末まで講じてきましたが、こうした状況には変わりがないと考えています。
一方、電気・ガス料金の「酷暑乗り切り緊急支援」は、現下の経済・物価の状況において、地方経済や低所得者世帯に即効性が高く、かつ酷暑を心配する声が数多く寄せられていることもあり、今夏の酷暑を乗り切るための対策として、先週、総理が表明されたものです。
いずれにしても、具体的な内容については、総理の指示を踏まえ、しっかり検討していきたいと考えています。

燃料油価格激変緩和措置

Q:今の質問に関連してガソリンについてお伺いいたします。年内継続すると首相が先週表明されましたが、現在はいわゆる1リッター当たり175円程度に抑えるような支援措置になっていると思うんですが、こちらの内容は変わらないと理解してよろしいんでしょうか。また、現状の予算で年内まで足りるんでしょうか。もし足りない場合には、どういった措置を、いつ頃までに実施する必要があるか、現状について教えてください。

A:21日に総理が行った会見において、燃料油価格の激変緩和事業について、「地方経済や低所得世帯に即効性の高いエネルギー補助を速やかに実施するため、年内に限り継続する」との御発言でした。
具体的な内容については、先ほども申し上げましたとおり、総理からの指示も踏まえ、今しっかり検討している最中です。
また、財源については、原油価格などの動向に左右されるので、予断を持ってお答えすることは困難ですが、まずは既存の予算を活用することを前提に対応していくことを考えています。

自動車メーカー型式不正

Q:自動車メーカーによる型式指定の申請における不正について、経産省としてサプライチェーンの影響度合いを調査するというふうにしていましたが、調査の進捗ですとか支援の必要性などについてお聞かせください。


A:経済産業省では、今般の型式指定申請の不正行為に係るサプライヤーへの影響の把握に向け、事案が公表された6月3日から直ちに、国交省から出荷停止の指示を受けている3社に対するヒアリングを実施し、出荷停止処分による影響や取引先への補償などの対応状況についての把握を進めています。
また、経済産業省から、今般の事案により生産を停止している2社のサプライヤーなど約400社以上に対しても、売上げ等の影響に関する調査票を発出して、今般の影響把握に努めているところです。
この調査票は、今月28日を締切りとしており、その集計結果も踏まえ、今後速やかに必要な対策を講じてまいりたいと考えています。

CCS

Q:先般、北海道に出張に行かれたCCSの件なんですけれども、これ2030年の実用化ということですけれども、一方で、補助金頼みにならない環境づくりというのが大事だと思います。それで今、カーボンクレジットの議論というのもなされていますけれども、この具体的なスケジュール感というか、いつまでにというようなところのお考えをお聞かせください。

A:米国やヨーロッパなどでは、近年、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援策が構築され、事業者の参入に不可欠な事業の予見可能性が向上してきている状況にあります。
我が国でも、2030年までにCCS事業を開始するためには、2026年を目途に事業者が収支見通しを得て投資決定を行う必要があります。そのためには、予算、税、御指摘のクレジットなど諸外国の支援措置も参考に、早急に事業者の円滑な参入・操業が可能となる支援制度の在り方について検討していきたいと考えています。
その際、既に先進的CCS事業により事業性調査等の支援を行っているところであり、GX経済移行債やJ-クレジットの活用についても、先進的CCS支援事業の結果も踏まえて検討していきたいと考えています。

経済産業省組織改編

Q: もう一点、すみません。冒頭で組織の見直しと幹部人事のお話がありました。狙いについても少しおっしゃってはおられたと思うんですけど、改めて狙いと、あと今回の目玉としてどのように見ていらっしゃるか教えてください。

A:私は諸外国がかつてない大胆な産業政策にかじを切っている状況の中で、それぞれの国の産業政策自体が国際競争の時代に入っているという認識を持っていまして、恐らくこれから経済産業省が講ずる産業政策の一つ一つが今後の日本の産業の有り様に大きく影響をするという危機感を持っています。
こうした中で、今回の機構改革は、まずGXや経済安全保障、それからイノベーションなど、近年重要性が増してきている新たな政策課題に組織のリソースを集中し、より腰を据えて取り組む体制を構築するものです。
このため、先ほど申し上げた貿易経済安全保障局やイノベーション環境局、GXグループなど新たな三つの局を立ち上げるとともに、通商戦略課や宇宙産業課、文化創造産業課など八つの課を新設することとしています。新たな体制の下で、あらゆる政策を総動員して経済産業政策の新機軸を強力に推し進めてまいりたいと思っていますし、今回の組織改編は、局名を変更したことも含め、かなり大規模な改正になっており、恐らく省庁再編があった平成13年1月以来のものだと考えています。

以上

最終更新日:2024年6月25日

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