転がり軸受の基本定格寿命*1(計算寿命)を延長

2024/07/01  日本精工 株式会社 

2024年07月01日

日本精工株式会社
コーポレート・コミュニケーション部

転がり軸受の基本定格寿命*1(計算寿命)を延長

~「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測」*2を実用化し、転がり軸受の基本動定格荷重*3を向上~

  • 2023年3月に発表した「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測(世界初)」*2を実用化し、転がり軸受の寿命計算のパラメータである基本動定格荷重*3を向上
  • 基本動定格荷重*3の向上により、基本定格寿命*1(計算寿命)が最大2倍に
  • より小型な軸受に置き換えも可能となるため、お客様の機械の小型化・軽量化に貢献
  • 小型製品への置き換えによる軸受トルク低減で、製品の使用段階での消費エネルギーを削減し、CO2排出量の削減、カーボンニュートラル社会の実現に貢献

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、転がり軸受の寿命計算パラメータである基本動定格荷重*3を一斉改定し、転がり軸受の基本定格寿命*1(計算寿命)を延長しました。本改定は2023年3月に発表した「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測(世界初)*2を、転がり軸受の主要な形式(対象:深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受)に適用したものです。

転がり軸受
(左から深溝玉軸受、円すいころ軸受)

Micro-UT法を用いた高精度寿命予測(世界初)*2により、NSK軸受の長寿命性能を従来よりも高精度に計算することが可能となりました。この度、この計算手法をNSK軸受に適用し、軸受の寿命計算のパラメータである基本動定格荷重*3を向上させました。本改定により、例えば、ラジアルころ軸受の基本定格寿命*1(計算寿命)は、最大で2倍に延びます。

なお、改定後の基本動定格荷重*3は、当社Webサイトのエンジニアリングツール(オンラインカタログ、技術計算、CADデータダウンロード)に、本日から反映されています。「オンラインカタログ」と「CADデータダウンロード」では、改定後の基本動定格荷重*3の値が確認可能。また、「技術計算」では、改定後の基本動定格荷重*3を使用した寿命計算等が、実施可能です。(本日7月1日プレスリリース「当社Webサイト エンジニアリングツールをリニューアル ~使い易さを追求、お客様の設計・検討業務効率向上に貢献~」をご参照)

  • *1基本定格寿命:一群の同一軸受を、同一条件で個々に回転させたとき、そのうちの90%の軸受が転がり疲れによるフレーキング(はくり)を起こすことなく回転できる総回転数のこと。
  • *2Micro-UT法を用いた高精度寿命予測」:鋼材中の非金属介在物の大きさや量(統計データ)から転がり軸受のはくり寿命を高精度に予測する技術。(特許出願済み)
  • *3基本動定格荷重:転がり軸受の負荷能力で、外輪静止状態にて内輪を100万回転できる方向と大きさが変化しない荷重を表す。

本改定の効果

基本動定格荷重*3を向上させることで、お客様がNSK軸受の長寿命性能を機械設計に生かせるようになります。これにより、以下の効果が期待できます。

1、機械の小型化・軽量化に貢献

軸受の基本動定格荷重*3が向上すると、より高負荷環境で使用可能になるため、従来使用していた軸受を、より小型な軸受に置き換えも可能。

(例)円すいころ軸受HR32306Jの場合、より小型のHR33206Jに置き換えが可能。
置き換えにより、小型化(軸受外径:約14%、軸受組立幅:約13%)、軽量化(軸受重量:約38%)。

HR32306Jと、より小型なHR33206Jのサイズ比較イメージ 円すいころ軸受HR32306JをHR33206Jに置き換えた場合の、小型化・軽量化効果
2、カーボンニュートラル社会の実現に貢献
  • 1) 既存製品からより小型の軸受への置き換えが進むことで、製造過程での省資源化が可能。
  • 2) 基本動定格荷重*3の向上によって、より小型な軸受に置き換えが可能となるため、従来よりも軸受トルクが低減。その結果、消費電力が下がり、製品の使用段階でのCO2排出量を削減。

(例)円すいころ軸受HR32306Jの場合、より小型のHR33206Jに置き換えが可能

置き換えにより、軸受トルクおよび消費電力で約18%、製品の使用段階での年間電力削減量*4は約48kWhと見積もられ、これをCO2排出量*4に換算すると約22kg削減。

円すいころ軸受HR32306JをHR33206Jに置き換えた場合の、
トルクおよび消費電力低減・CO2排出量削減効果

*4 いずれも当社基準による計算結果。

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。

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