Blastr社による MIDREX H2(TM)水素直接還元鉄プロセスの採用について

2024/07/12  株式会社 神戸製鋼所 

Blastr社による MIDREX H2(TM)水素直接還元鉄プロセスの採用について

2024年7月12日

株式会社神戸製鋼所

当社および当社100%子会社であるMidrex Technologies, Inc.(以下ミドレックス社)が展開するMIDREX H2(TM)※1プロセスが、このほどBlastr Green Steel(以下Blastr社)がフィンランド・インクーで建設を計画している製鉄所設備の主要プロセスとして採用されました。還元剤として最大100%のグリーン水素を使用するプラントとして、HDRIとHBI※2を合わせて生産能力200万トン/年を予定しており、ミドレックス社とPrimetals Technologies(以下Primetals社)とのコンソーシアムにより提供予定です。

Blastr社は、北欧を拠点として鉄鋼業界の脱炭素化を促進することを目的に2021年に設立されました。自動車産業や建設産業分野向けに、スコープ1~3でのCO?排出量を従来プロセス比で約90%削減した高品位の鋼材を生産し、年間約600万トンのCO?削減に貢献することを目指しています。Blastr社による今般のMIDREX H2(TM)の採用は、欧州鉄鋼業の脱炭素化を更に推し進めるものであり、当社及びミドレックス社としても大変意義深く、かつ重要なプロジェクトです。

MIDREX(R)プロセスは、世界の還元鉄生産量の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占める直接還元法のリーディングプロセスです。当社は、天然ガスを改質したガス(CO+H2)を還元剤とするMIDREX NG(TM)※3、天然ガスを水素に柔軟に置き換えることが出来るMIDREX Flex(TM)※4、そして今回採用された100%水素を還元剤とするMIDREX H2(TM)という3つのプロセスを保有しています。当社及びミドレックス社はこれらプロセスの提供を通じて、これからも世界の鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

当社グループは、KOBELCOならではの技術・製品・サービスのかけ算を通じて、社会課題の解決に挑み続けています。今後も、すべてのステークホルダーの皆さまにとって“魅力ある企業”へと変革をすすめ、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。

  • ※1:今回採用された100%水素を還元剤としたMIDREX H2(TM)は、ほぼCO?排出量ゼロで還元鉄を生産することが可能。本案件は2022年の初号機受注に次ぐ、2件目の採用。

  • ※2:鉄鉱石を還元した鉄鋼原料。炉内で還元したDRI(Direct Reduced Iron)を、冷却せずに炉から排出したものを、Hot DRI(HDRI)という。また、還元鉄はそのままでは長距離輸送に適さないため、還元炉より排出された高温の還元鉄をある程度の大きさの塊(Briquette)に押し固めたものをHBI(Hot Briquetted Iron)という。

  • ※3:従来の天然ガスベースのMIDREX NG(TM)は、世界で90基以上が稼働しており、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元剤として用いることにより、従来の高炉法に比べ製鉄工程でのCO?排出量を最大40%削減することが可能。

  • ※4:MIDREX Flex(TM)は、MIDREX NG(TM)の技術をベースに、還元に利用する天然ガスを最大100%まで柔軟に水素に置き換えることができるプロセスで、MIDREX NG(TM)直接還元鉄プラントに比べ、更なるCO?排出量の削減が可能。ミドレックス社はドイツのthyssenkrupp社向け世界初の商業機を2023年に受注しており、2026年の生産開始を予定している。

Midrex Technologies, Inc.概要

設立:
1983年(買収)
所在地:
米国 ノースカロライナ州 シャーロット
代表者:
社長・CEO K.C. Woody

Primetals Technologies, Limited概要

設立:
2015年
所在地:
英国 ロンドン
代表者:
CEO Satoru Iijima(飯島 悟)

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