小型技術刷新衛星研究開発プログラムにおいて新たな宇宙利用サービスの実現に向けた軌道上実証に係る共同研究契約を締結

2024/07/16  宇宙航空研究開発機構(JAXA) 

小型技術刷新衛星研究開発プログラムにおいて新たな宇宙利用サービスの実現に向けた軌道上実証に係る共同研究契約を締結

2024年(令和6年)7月16日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、宇宙基本計画工程表に示された「小型・超小型衛星によるアジャイル開発・実証を行う技術刷新衛星プログラム」として、「小型技術刷新衛星研究開発プログラム」※1(以下、「刷新プログラム」という。)を進めています。
 JAXAが研究開発を進めている高性能オンボードコンピューティング環境※2及びオンボード高精度単独測位(PPP:Precise Point Positioning)技術※3(以下「本技術」という。)を事業者が保有する衛星に搭載し、軌道上での技術実証を行うとともに、事業者と協力して本技術を活用した新たなサービス構想を実証するため、2023年12月に共同研究提案要請を行い契約相手方として株式会社QPS研究所を選定し、今般、共同研究契約を締結いたしました。

 今回の共同研究では、軌道上(オンボード)で高分解能の衛星画像処理を行うための高性能な計算機と高精度に衛星軌道位置情報を得る高精度単独測位(PPP)技術を組み合わせ、オンボードPPPアルゴリズムの成熟度をアジャイルに向上するため、オンボードで実験した結果を分析し、より良いアルゴリズムになるよう積極的に書き換える技術実証を行います。
 軌道上での実証結果を踏まえてオンボードPPPアルゴリズムを書き換える実証サイクルにより、従来の地上で開発して宇宙で実証する研究・宇宙実証サイクルよりも圧倒的に早くアルゴリズムの技術成熟度向上を目指します。
 オンボードPPP技術の成果は、地球観測衛星ユーザへの画像データ提供時間の短縮や衛星画像の精度向上、宇宙天気予報の高度化や上層大気観測への貢献等が期待されます。

 今後、軌道上での技術実証に向けた技術調整を進めます。
 また、刷新プログラムでは引き続き、新たな衛星利用サービスの実現に向けた研究開発・実証を推進してまいります。

※1

小型技術刷新衛星研究開発プログラム
 衛星利用サービスや開発プロセスを刷新する技術を、小型・超小型衛星等を活用して、アジャイルに開発・実証を行うプログラム。本プログラムでは、①「官民で活用可能な革新的・基盤的な衛星技術を早いサイクルで実証し、我が国の衛星利用サービスの競争力向上や新たなユーザニーズの創出」、②「衛星システム開発・製造方式について、デジタル技術も活用して刷新することに取り組み、衛星の短期開発・低コスト化」を目指します。
「小型技術刷新衛星研究開発プログラム」

※2

高性能オンボードコンピューティング環境

  • 従来の宇宙機用コンピューティング環境の約40倍の能力を持ち、地上用の汎用計算機で開発したソフトウェアを軌道上でそのままインストールして実行できる環境
  • ソフトウェアのバージョンアップや異なるソフトウェアの追加を容易に行うことが出来る環境

※3

オンボード高精度単独測位(PPP:Precise Point Positioning)技術
 測位衛星から放送される2周波の測位信号と、準天頂衛星から放送されるMADOCA(Multi-GNSS ADvanced Orbit and Clock Augmentation:高精度測位補正技術)補正情報を使用して、軌道上でリアルタイムにセンチメートル級の衛星軌道位置推定を行うことができる技術。MADOCA補正情報を使用しない場合に軌道上で実現できるリアルタイム衛星軌道位置推定精度は、数メートル~十数メートル程度。

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