単結晶状 PLZT 薄膜による超高速光変調器を開発

2024/07/31  湖北工業 株式会社 

2024年7月31日

湖北工業株式会社

単結晶状 PLZT 薄膜による超高速光変調器を開発

湖北工業グループのエピフォトニクス株式会社(本社、神奈川県大和市)と同100%子会社EpiPhotonicsUSA, Inc.(本社、米カリフォルニア州San Jose市)は、光アクセスシステムの分岐数拡大や低消費電力化へ向け、超高速で偏波無依存動作も可能な単結晶状PLZT薄膜による超高速光変調器を開発しました。本成果の一部は総務省「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発」委託研究開発によって得られたものです。

【背景】
益々進展するIoT(Internetof Things)、クラウドコンピューティング、高精細映像流通、モバイルシステム、などを支えていくために、あらゆる場所で発生する膨大なデータを超低遅延、超高速、かつ低消費電力に伝送するインフラ光ネットワークが求められています。これらの進展に伴い通信トラヒックは益々増加していくため、光アクセスシステムにおいては分岐数の拡大をすべく光送信器からの出力光強度を増加させることや、それによる光ファイバアンプ数低減によって低消費電力化および低コスト化を図ることが望まれます。このため、将来の光送信器を構成する光変調器※には超高速動作のほか強いレーザー光の受容性が求められます。

【今回の成果】
今回開発した超高速光変調器は、当社独自の固相エピタキシャル成長法※による単結晶状PLZT※薄膜技術をベースとしています。このPLZT薄膜を光導波路として用いることでナノ秒の切り替えが可能な超高速光スイッチを既に製品化していますが、光変調器向けに材料やプロセスを最適化することにより、ボーレート※100Gを超えることが可能な超高速PLZT光変調器を開発しました(写真1)。

単結晶状PLZT薄膜は、従来の材料比10倍近い非常に大きな電気光学効果※を得ることができるため、超小型で低電圧の高効率高速駆動が可能なほか、強いレーザー光の受容性も有しています。さらに、従来のゾルゲル法などで形成した多結晶PLZT薄膜では散乱による光損失が大きいことが課題とされていますが、当社の単結晶状PLZT薄膜はチップ内の光損失が小さいため光利用効率が高いことも特徴です。

この超高速光変調器は、今後様々な用途への展開が期待されます。従来の光変調器にはない偏波無依存動作が可能であることを活かし、Beyond5Gに向けた光アクセスネットワークの革新技術である低コストROF(Radio OnFiber)※システムへの応用も検討しています。またシリコンウエハへの成膜も可能であることから、シリコンフォトニクスなどのデバイスとの集積化にも可能性を有しています。

エピフォトニクスは、PLZT超高速光スイッチおよび超高速光変調器を来る9月にドイツフランクフルトで開催されるECOC2024において展示致します。

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80848/75c48d0b/765b/4ecb/be9a/4344bf8061d6/140120240731559325.pdf

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