米国FDAとのARDSグローバル第3相試験デザインに関する合意について

2024/09/09  株式会社 ヘリオス 

2024 年9月9日
株式会社ヘリオス

米国FDA との ARDS グローバル第3相試験デザインに関する合意について

当社は、ARDS 治療薬開発における今後の計画について(2024 年8月8日発表)にてお知らせの通り、米国を中心とした急性呼吸窮迫症候群(ARDS*1)治療薬(MultiStem®*2)のグローバル第3相試験(治験名称:REVIVE-ARDS 試験。以下、「本治験」と言います。)の実施について、9月6日(米国時間)にFDA(Food and Drug Administration)と協議を行い、本治験のデザインについて、当社の要望に沿ったかたちで合意しましたのでお知らせ致します。

主要評価項目は、日本で実施した治験(ONE-BRIDGE 試験*3)と同じくVFD(Ventilator Free Days:投与後(本治験では 28 日間のうち)人工呼吸器を装着しなかった日数)が採用されました。本治験は、300 例及び 400 例の各段階で中間解析を行い、いずれかの時点で治験薬の有効性が統計学的有意と認められた場合に治験を完了するデザインとなっており、症例数は最大550 例としております。また、本治験で三次元培養法によって製造された治験薬を用いる道筋についても確認しました。

今後、本治験の具体的なデザインを確定し準備が整い次第、米国を中心としたグローバル治験を開始する予定です。詳細が決定次第公表してまいります。

また、日本においては、今回のFDA との合意に基づき、既に日本で完了した第2相試験(ONE-BRIDGE 試験)の良好な結果と検証試験としての本治験の実施を前提に、条件及び期限付承認の申請に関し、規制当局との相談を進めます。

今後の見通し

本計画の進捗による当社2024 年 12 月期連結業績への現時点での影響はありません。今後、開示すべき事項が発生した場合には、速やかにお知らせ致します。

以上

*1 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

ARDS は、様々な重症患者に突然起こる呼吸不全の総称で、原因疾患は多岐にわたりますが、およそ1/3は肺炎が原因疾患で、新型コロナウイルス感染症の重症患者においても併発することが確認されています。生命予後を直接改善できる薬物療法は無く、人工呼吸管理による呼吸不全の対症療法が実施されますが、有効な治療薬はいまだ開発されていません。発症後の死亡率は全体の30~58%*aである極めて予後不良の疾患で、生命予後を改善できる新規の治療法が望まれています。現在国内の患者数は年間2.8 万人*bと推定されており希少疾患に指定されていますが、米国では26.2 万人*c、欧州では13.3 万人*d、中国では67 万人*e、全世界では110 万人以上が罹患していると推定されます。

(出典)

*a ARDS 診断ガイドライン 2016

*b 疫学データの発症率と人口統計による日本総人口を基に当社推定

*c Diamond M et al. 2023 Feb 6.In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023 Jan?.PMID: 28613773 のデータと外務省アメリカ合衆国基礎データによる米国総人口を基に当社推計

*d Community Research and Development Information Service (CORDIS) 2020 7-9

*e song-et-al-2014-acute-respiratory-distress-syndrome-emergingresearch-in-china

*2 MultiStem®

MultiStem®は、健康な成人ドナー骨髄由来の多能性成体前駆細胞(MAPC)から成る当社独自の体性幹細胞再生医薬品です。MultiStem®を使用した脳梗塞急性期や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治験を実施しています。MultiStem® は、強力な抗炎症作用と免疫調節作用を示すことが示されており、さまざまな病態への応用が可能です。後期臨床試験において数百人の患者で試験され、3D 培養法で一貫して製造されており、複数の適応症において数百人の患者で有効性及び安全性の両方が実証されています。ヘリオスは、脳梗塞急性期、ARDS、外傷に対し、MultiStem® をグローバルに推進してまいります。

米国において脳梗塞急性期及びARDS を対象疾患とする MultiStem®は、FDA より、重篤または生命を脅かす疾病や治療法のない疾病に対する新薬の開発に向け一定の条件を満たした医薬品に対し迅速承認を可能とする制度であるFast Track(医薬品)及び RMAT(細胞加工製品)の指定を受けています。

*3 ONE-BRIDGE 試験

日本において肺炎由来のARDS 患者に対して実施した MultiStem®を用いた細胞治療の治験です。プラセボ対照非盲検試験(第2相試験)で、Cohort1(肺炎由来)投与群 20名/プラセボ群10 名、Cohort2(COIVD-19 由来)投与群5名を組み入れました。2021年8月と11 月に、本製品投与後 90 日と 180 日の評価項目のデータの一部を発表し良好な結果が示されました。

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