ローカルLLMを活用した銀行業務効率化の実証実験を開始

2025/07/08  株式会社 常陽銀行 

2025 年 7 月 8 日

ローカル LLM を活用した銀行業務効率化の実証実験を開始
~最新の生成 AI 技術で、より質の高い業務の実現へ~

常陽銀行(頭取 秋野 哲也)は、生成 AI ソリューションを開発する松尾研発スタートアップ※である株式会社 Athena Technologies(代表取締役 阿部 武)と共同で、インターネットから完全分離されたシステム環境で稼働する大規模言語モデル(以下、「ローカル LLM」)を活用した実証実験(以下、「本実証実験」)を開始しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

本実証実験では、物理的に外部と遮断したシステム環境を構築し、その中で当行個別業務に特化した用途で生成 AI を活用します。行内の機密情報やお客さまの個人情報を守りながら、業務の高度化と効率化の実現を目指します。

当行では、今後も最新の技術を積極的に活用することで経営効率を高め、安定した経営基盤の確立を図るとともに、行内活用で得た知見を地域に還元し、地域社会の持続的成長に貢献してまいります。

※ 松尾研出身者が創業または松尾研の支援を受け創業された企業の内、技術・事業力がともに成長可能性が認められ、かつ松尾研の理念に共感し共に後進の育成に取り組む、選抜されたスタートアップ群です。
(登録商標第 6667237 号、第 6710069 号)



1.実証実験の背景
銀行業務においては、膨大な資料検索や各種稟議書・報告書の作成に向けた下調べや情報整理といった事務作業に多くの時間が割かれています。

こうした業務を抜本的に効率化し、行員が本来注力すべき業務(お客さまへのサービス提供や企画立案等)の時間を創出する鍵として、行内の機密情報や個人情報も安全に取り扱えるローカル環境での生成 AI 利用技術に着目しました。

2.実証実験で用いるシステムの概要
本システムでは、複数の AI エージェント※が相互連携することで、品質の高い回答精度を導き出すことが可能です。

※ローカル LLM を基盤として自律的にタスクを実行する AI システム

3.本実証実験のユースケース例
本実証実験は、以下の 5 つの業務領域において有効性を検証します。

①業務文書の自動生成
複数の関連資料から必要な情報を抽出し、稟議書や報告書などの定型文書のドラフトを自動生成します。

②データ加工・比較業務の効率化
対象案件と過去の類似案件のデータを AI が自動で抽出し、比較分析用の資料を作成します。

③専門文書の多言語翻訳
金融・会計分野等の専門性の高い文書について、翻訳処理(英訳または和訳)を行います。

④情報セキュリティ対応の自動化
個人情報や機密情報をマスキングしなければならない業務において、AI が文書内の秘匿情報を自動検知し、適切な匿名化処理を実施します。

⑤融資審査業務における判断材料の精度向上
各種データや評価情報を統合的に分析し、融資案件の起案者が作成する提案書やそれを審査する担当者が多角的な視点から判断を行うための参考文書を自動生成します。

4.今後の展望
本実証実験は 2025 年 12 月末まで実施し、各業務における有効性の評価・検証を行います。有効性が高いと確認できたユースケースについては、2026 年 1 月より順次実業務に活用していく予定です。

5.株式会社 Athena Technologies 企業概要
名称
株式会社Athena Technologies
設 立 日
2023年12月5日
代表者
代表取締役CEO 阿部武
所在地
東京都文京区本郷6丁目25番14号 宗文館ビル3F
事業内容
AI(人工知能)に関する研究、開発、設計、企画、教育、販売、保守、コンサルティング業務
URL
https://athenatech.jp/

以上

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