一部インターネット上の発信情報に関する調査結果のお知らせ

2025/09/12  株式会社 ツクルバ 

2025 年9月12日
株式会社ツクルバ

一部インターネット上の発信情報に関する調査結果のお知らせ

当社は、2025年6月27日付「一部インターネット上の発信情報に関する調査進捗のお知らせ」において公表いたしましたとおり、当社元代表取締役およびその資産管理会社が、不適切な取引へ関与したとの疑いを指摘する情報がインターネット上で発信されたことを受け、社内調査委員会を設置し調査を進めてまいりました。

今般、調査結果を受領しましたので、その概要について下記のとおりお知らせいたします。

株主・投資家および関係者の皆様に対してご心配とご不安をおかけし、お詫び申し上げます。



1.調査に至る経緯および調査概要

(1)調査に至る経緯

2025 年 6 月、インターネット上において、当社元代表取締役 村上浩輝(以下、「村上」といいます。)およびその資産管理会社が、不適切な取引へ関与したとの疑いを指摘する情報が発信され、一部 SNS 等にて拡散されていること(以下、「本件」といいます。)を認識いたしました。

本件を受け、2025 年 6 月 17 日開催の取締役会において、社内調査委員会の設置を決議し、独立社外取締役である監査等委員および外部の独立性・専門性を有する弁護士により調査を進めてまいりました。

(2)調査概要

実施者:
委員長 小林 賢治 (社外取締役監査等委員、独立役員)
委員 西浦 千栄子(社外取締役監査等委員(常勤)、独立役員、公認会計士)
委員 石本 忠次 (当社社外取締役監査等委員、独立役員、税理士)
調査補助者: 鈴木 大輔 (渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士・公認不正検査士) 他 同事務所補助者数名
調査内容: 本件指摘内容に関する事実関係の調査
調査期間: 2025年6月17日から2025年9月12日
調査方法: 関係資料の検討および関係者へのヒアリング

2.調査結果の概要

調査報告書においては、以下の事実が認定されております。

(1)第三者間不動産売買取引に関する指摘について

本件は、インターネット上に公開された動画において、第三者が保有する特定の不動産(以下、当該物件)の売買にあたり、売買契約書が偽造され、当該第三者の内部で特別背任行為が行われたとの指摘がなされたものです。また当社は当該売買取引にあたって媒介契約を締結していたため、村上を含む当社役職員もこれに関与したのではないかとの指摘がなされました。

調査の結果、2025年6月27日付「一部インターネット上の発信情報に関する調査進捗のお知らせ」にて公表したとおり、村上およびその他当社役職員がこれに関与した事実は確認されませんでした。

なお、当該詐欺的行為の疑義を主張していた第三者も、当社および村上の行為に問題はなかった旨を自身のウェブサイト上に公表しております。

(2)本件に関連するコンプライアンス上の課題の有無について

①本件動画でのその他指摘事項および事実関係

同動画では、(1)記載事項に加えて、当該物件の売買取引において、当社が売主との間で媒介契約を締結した一方、村上の資産管理会社が当該売主から別途コンサルティング報酬を受領したとの指摘がなされました。

調査の結果、当該コンサルティング契約は実在し、その内容は、当該物件(関西に所在する投資用物件)にかかる金融機関との交渉等を販売開始前に行い、融資可能性を高めることで、販売可能な状態に仕立てる業務(いわゆる「案件組成業務」)を中心とし、加えてその他一連の取引にかかる事務補助等を行ったものであることが確認されました。なお、当社の媒介物件に関連した、同売主らとの間のコンサルティング契約は他に2件確認されましたが、いずれも業務内容等は上述の取引と同様でありました。

なお、同資産管理会社の経営は村上の親族に対して全面的に委託されておりました。同親族は、資産管理会社の業務の傍ら、自らが経営する資産コンサルティング会社で日常的に類似のコンサルティング業務を行っており、実質両社が混然一体となり経営されておりました。このような背景から、当該コンサルティング契約についても、本来は同親族の法人で契約すべきものが、形式的には同資産管理会社で契約されるに至りました。なお同親族は、村上の紹介を通じて当該売主と従前より面識があったことから、本件コンサルティングを売主から直接打診され、これを受託し実施しました。

②コンサルティング取引の特別背任および競業該当性

調査により、当該コンサルティングの内容等に鑑みて、当社が本来得るべき経済的利益を喪失した事実は認められず(※)、村上の当社に対する特別背任行為には該当しないものと判断されました。

また当該コンサルティング業務類似のサービスを当社は提供しておらず、今後もその予定がないことから、当該コンサルティング取引は当社の競業にも該当しないものと判断されております。

(※)当社が売主・買主双方との間で締結した媒介契約について、売却側の媒介取引は無報酬でありましたが、買主側との媒介取引において法定上限額の仲介手数料を受領していたため、当社として本来得られる収益は確保されておりました。なお、法人売主との取引において、売主自ら買主発見が可能な場合等に、売却側の媒介取引が無報酬とされることは一般的に見られる条件設定であります。また、当該媒介契約は所定の社内承認フローを経て締結され、媒介報酬についても適切な検討を経て設定されていました。

③その他のコンプライアンス上の課題の有無

調査の結果、役員個人の資産管理会社における、当該コンサルティング取引にかかる行為は、役員として求められる遵法意識や行為規範に照らして一定の課題があることが示唆されました。

第一に、資産管理会社が受託したコンサルティング業務には、宅地建物取引業法上「媒介」に該当すると解釈されうる行為が含まれており、免許を有していない同社において適法性に一定の疑義が残る状況でした。宅地建物取引業を主事業とする当社の役員としては、そのような疑義すらも生じさせない姿勢が求められるところ、遵法意識に一定の課題があったと評価されております。

第二に、この取引が資産管理会社名義で受託された要因として、村上が同資産管理会社の経営を全面的に親族に委ねており、十分な監督が行われていなかった実態が確認されました。

第三に、当該コンサルティング取引は、村上がこれを適切に把握および監督していなかったことから、当社への事前の報告はなされず、当社はその存在を認識しておりませんでした。当該取引は、当社が媒介取引を行った物件と同一物件に関するものであり、形式的には競業や利益相反の疑念を招き得るところ、会社への事前の適切な報告が必要であったものと評価されております。

(3)当社の内部統制システムについて

調査委員会は、当社の内部統制システムについても検証を行いましたが、役員の資産管理会社に対して、関連当事者調査等の上場企業として一般的に備えるべき水準の統制を整備し、運用しておりました。

また、役員の資産管理会社は当社とは独立した法人であり、その内部の取引を会社が通常の内部統制の仕組みのもとで把握することは困難であるため、当該コンサルティング取引を当社が認識していなかったことが内部統制システムの不備に該当するとの評価はできないものと判断されました。

3.調査結果を受けた対応について

(1)代表取締役の異動および取締役候補者選任方針について

調査結果を受け、村上から、本件に関してステークホルダーの皆様からの信頼を損なう行動に対して、当社代表取締役を辞任した上で信頼回復に努めたいという旨の申し出があり、本日開催の取締役会にて、代表取締役の異動を決議いたしました。

また村上は、2025年10月29日開催予定の第14期定時株主総会において任期満了により退任する予定であります。なお村上は当社の大株主でありますが、当該方針に対し賛同の意向を示しております。 詳細については、本日開示いたしました「代表取締役の異動に関するお知らせ」および「役員人事に関するお知らせ」をご参照ください。

(2)村上の役員報酬に関する取扱いについて

調査結果および本件発生後の執務状況に鑑み、村上より2025年6月から2025年10月の固定月額報酬の50%を自主返上するとともに、保有している第20回新株予約権(株式報酬型ストック・オプション)の未行使分(7,700株分)についてこれを放棄する旨の申し入れがあり、これを受け入れております。 また、2025年7月期末に支給予定であった役員賞与についても支給しないこととしております。

(3)再発防止策について

調査の結果、当社が組織的に不適切な取引を行った事実は確認されませんでした。一方で、役員個人の行為が会社の信頼を損なう可能性を踏まえ、役員への監督を含むガバナンス・内部管理体制の一層の強化を図ってまいります。具体的には、社内調査委員会からの提言を受け、下記の再発防止策を予定しております。

①ガバナンス機能の強化

取締役会の構成を見直し、社外取締役が過半数を占める体制とするとともに、取締役会議長を社外取締役から選任し、代表取締役に対する監督・牽制機能を一層強化いたします。また、法的専門知識を有する社外取締役を選任し、法令遵守・リスク管理観点の経営判断への反映を強化いたします。 詳細については、本日開示いたしました「役員人事に関するお知らせ」および「取締役会議長候補者の内定および定款の一部変更に関するお知らせ」をご参照ください。

②取締役会および取締役としてのルールの明確化

取締役規程による明文化等により、取締役の遵守規律を明確化いたします。また、役員の資産管理会社等への監督を強化し、役員個人の活動状況が当社へ影響を及ぼす事態を防止します。さらに、一般に慎重を要する類型の契約については、社外取締役を中心として構成されるリスク・コンプライアンス委員会に付議し、その承認を条件とする体制を整備いたします。特に重要な取引については取締役会の専決事項とし、本件のような事象を対象に含めます。

③役職員の知識・意識の向上

役職員に対して宅地建物取引業法や会社法等に関する研修を実施し、法令遵守意識を向上させます。
加えて社内通報制度の周知徹底を図ることで、組織全体のコンプライアンス意識を高めてまいります。
当社としましては、このような事態を厳粛に受け止め、再発防止に真摯に取り組んでまいります。

4.業績への影響等

本件に関して、弁護士報酬等の調査対応費用(特別損失)が生じておりますが、当社業績に与える影響は軽微である見込みです。なお、本件調査および対応に関連して当社が負担した合理的な費用の求償については、村上よりこれに応じる旨合意を得ております。今後、業績への重大な影響が認められる場合には速やかにお知らせいたします。

以上

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