イエメン:子ども40万人が重度の急性栄養不良~10分に1人が予防可能な病気で亡くなる【プレスリリース】

2018/11/07  公益財団法人 日本ユニセフ協会 

ユニセフ地域事務所代表イエメン訪問


サヌアの病院で、重度の栄養不良の治療を受ける赤ちゃん。(2018年10月撮影) (C) UNICEF_UN0252405_Fuad


【2018年11月4日 アンマン(ヨルダン)発】

イエメンの訪問から帰国したユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレが、帰国後の記者会見で述べた報告の抜粋です。

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先週ニューヨークタイムスの表紙に掲載されたアマルちゃんの痩せ細った身体は、世界に衝撃を与えました。そして皆さまもご存知のとおり、残念ながらアマルちゃんは11月1日に亡くなりました。しかしイエメンには、アマルちゃんの他にも同じ運命に苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。

イエメンでは毎年3万人もの子どもが亡くなっていますが、その最も重要な要因は栄養不良です。イエメンにはアマルちゃんが何千人もいるのです。ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所広報チーフのジュリエット・トウマと私は、イエメンを訪問中に、そのような子どもたちに会うことができました。

私たちは、アダムちゃん、アブドゥルクドゥスちゃん、サラちゃん、ランダちゃん、他にも何人もの子どもたちに会いました。名前を口にする度に、彼らがベッドに横たわっていた様子が目に浮かびます。家族が見守る子どもたちもいれば、誰にも見守られていない子どももいました。

イエメンでは、毎年180万人の子どもが急性栄養不良に苦しんでいます。40万人もの子どもが、日々、命に関わるほどの重度の急性栄養不良に苦しんでいます。その子どもたちの40%は、戦争が続くホデイダ州と隣接する州に暮らしています。

私たちは木曜日に、ホデイダで唯一紹介患者を受け入れているサウラ(al-Thawra)病院を訪問することができました。急性栄養不良の子どもたちが治療を受けるこのサウラ病院は、前線から最大で2キロしか離れていない場所にあります。サヌアに戻る前に、再度病院を訪問したいと考えていましたが、金曜日には病院近辺に立ち入ることができなくなっていました。木曜日は夜通し激しい銃撃戦があり、私たちは一睡もできませんでした。眠れない私は、数時間前に出会った子どもたちのことを思い浮かべていました。

例えばサラちゃんは、適切な時期に予防接種を受けさえすれば完全に防げるはずのジフテリアによって半身不随になっていました。サラちゃんは予防接種を受けていなかったためにジフテリアに罹ってしまったのです。

サラちゃんのことを思いました。彼女は半身不随なだけでなく、ひとりきりなだけでもなく、あたかもそれでは十分ではないかのように、治療を受けながら砲撃の音を聞いているのです。この小さな女の子がいったい何を思っているのか想像してみてください。

イエメンは、子どもたちにとって地獄です。イエメンのすべての男の子と女の子にとって、地獄なのです。

この国の5歳未満の子どもの半数が、慢性的な栄養不良の状態にあります。これは悪循環によるものです。110万人の妊婦または授乳中の女性は貧血状態にあります。子どもたちは低体重で生まれ、栄養不良に陥り、さらには慢性的な栄養不良によって健康上の被害を受けるという悪循環に陥ります。慢性的な栄養不良は、子どもの脳の発達に深刻な影響を与えるということも周知の事実です。

戦争が始まってから、元々高くはなかった予防接種率はいっそう低下しました。全国的な予防接種は行われていないため、はしかやジフテリアが流行し、子どもたちの命を奪っています。ですから、イエメンでは10分に1人の割合で、予防できるはずの病気が原因で子どもが命を落としているという事実は、驚くべきことではありません。

ホデイダ港も訪問しました。ホデイダ港はイエメンの70%から80%の人々にとって生命線です。ホデイダ港に到着する商業用物資ならびに人道支援物資によって、私たちのイエメン北部での支援活動が可能となっています。ホデイダ港が攻撃されるとき、私たちはホデイダに暮らす何千人もの子どもたちの身を案じるだけでなく、特にイエメン北部に暮らす子どもたちと人々への影響も憂慮します。

こうした現状は驚くべきものでしょうか?とんでもない。

今日のイエメンの何百万人もの子どもたちの苦しみは、人の手で生み出されたものです。イエメンで飢饉発生の可能性を考えるとき、自然的な要因は一切ありません。子どもたちが最も高い対価を払わされている現状は、おとなに責任がある行為によるものです。


栄養不良の治療を受けるため、ユニセフが支援する保健センターに通う女の子。(2018年10月15日撮影) (C) UNICEF_UN0252092_Abdulbaki
では、私たちはイエメンを訪問して絶望したでしょうか?とんでもない。

私たちが会って話をした多くの家族は、子どもたちに対して出来得る限りのことをしています。私たちが出会った教員たちの多くは、過去何カ月も給料を支払われていません。サウラ病院や保健センターの医師や看護師たちも、給料が支払われず、物資が限られる中、日々子どもたちのために出来得る限りのことをしています。私たちには絶望している余裕はないのです。

私たちは、紛争当事者に対して、人道支援および人々の保護が無条件に続けられること、そしてユニセフ・チームが日々の支援活動で直面している、双方の当局に強いられた障壁を直ちに取り除くことを強く望みます。

私たちは国際社会に、引き続きイエメンの人々、そしてイエメンの子どもたちに寛大であることを求めます。

イエメンの子どもたちは身動きが取れません。イエメンの人々は逃げることもできないのです。イエメンを出て難民として暮らしている人は僅かです。だから私たちは、イエメンの人々、そしてイエメンの子どもたちに、今後も非常に寛大であり続ける必要があります。

ユニセフは引き続き支援活動を続けていきます。ユニセフは現金給付支援を拡大し、急性栄養不良の予防と治療の支援を拡大していきます。

ユニセフには、戦争を止めることはできません。しかし、私たちは諦めません。イエメンの子どもたちの代わりに、私たちはすべての紛争当事者に対して、マーティン・グリフィス イエメン担当国連事務総長特使の呼びかけに応じ、停戦と和平に合意することを求めます。

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について公益財団法人
日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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