イエメン:1,500万人の子どもに人道支援アクセスを【プレスリリース】

2019/05/17  公益財団法人 日本ユニセフ協会 

ユニセフ事務局長 国連安保理で求める


サヌアの自宅で、不安げな表情で座る子どもたち。(C) UNICEF_UN0291547_Fuad
【2019年5月15日 ニューヨーク 発】

本日、国連安全保障理事会において、ユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアは、イエメンの子どもたちの置かれた悲惨な状況を説明するとともに国際社会に団結して紛争を終わらせるよう求めました。その内容を抜粋してお伝えします。

* * *

先月、イエメンのサヌアに暮らす子どもたちは、世界中の子どもたちが毎日しているのと同じように、学校の教室に座って勉強していました。お昼休みが近づいたころ、突然窓ガラスが粉々に割れ、破裂した散弾と割れたガラスが教室に飛散しました。そこにいたほとんどが、9歳未満の子どもたちでした。彼らが経験した恐怖を想像してみてください。教育を受けさせるために、その日子どもたちを学校に送りだした親の恐怖を想像してみてください。そして、二度と家に帰ることができなかった14人の子どもたちの家族が耐えなければならない苦痛を、重傷を負って病院で生きるために闘っている16人の家族が抱えるとてつもない不安を、あるいは、その日の体験をトラウマとして一生抱えて生きていかなければならない他の生徒のことを、想像してみてください。

いかなる紛争においても、真っ先にそして最も苦しむのは子どもたちです。イエメンでは、4年前に武力衝突が始まってから、確認されただけで7,300人の子どもが死亡または重傷を負いました。実際の数字はもっと高いはずです。

武力衝突は今も、120万人近くの子どもが暮らす30の紛争地域で続いています。武力衝突により、毎日、新たに8人の子どもが死傷あるいは徴兵・徴用されています。

上腕計測メジャーを使い、栄養不良の検査を受ける生後7カ月のサリムちゃん。(C) UNICEF_UN0291546_Fuad
それに加えて、10分に1人の割合で、予防可能な要因で子どもが亡くなっています。食料不足のために、36万人の子どもが重度の急性栄養不良に苦しんでいます。実際、イエメンの5歳未満児の半数にあたる250万人が発育阻害(スタンティング)の状態にあります。発育阻害で生じた発達の遅れは、取り返しがつきません。

予防接種を受けられないために、昨年8月以降に151人の子どもがジフテリアに罹り死亡しました。コレラと重度の急性水様性下痢症に関しては、昨年人道支援組織が200万回分以上の経口コレラワクチンを提供したにも関わらず、今年に入ってから子どもの13万5,000件以上の疑われる症例が報告されています。2017年以降にコレラが原因で亡くなった人の数は3,300人以上にのぼり、今年1月以降だけでも子ども153人が亡くなりました。

国連は、武力紛争が開始してから、すべての紛争当事者が子どもを徴兵・徴用し、その数は3,000人を超えることを確認しています。実際の数字はさらに多いでしょう。これは、紛れもなく悪質な国際法の侵害です。

さらに、200万人以上の子どもが学校に通えていません。武力衝突の影響によって5校に1校の学校が破壊あるいは損傷しました。

状況は悪化する一方です。

ホデイダでの停戦合意はおおかた守られていますが、Abs、Haijah、Taiz、Al Dhale’eなどでは暴力が激しさを増しています。国内の病院やクリニックの半数が破壊されるなど、医療や水道のシステムが麻痺しています。子どもと家族が必要とする社会サービスはほとんど機能していません。

これ以上紛争が長引けば、この国は二度と元に戻ることはできなくなるでしょう。私たち国際社会は、自問しなければなりません。イエメンは、ひと世代の子どもたちを失ったらどうなるのでしょうか?イエメンが全面的な飢饉に見舞われたら、どうなるのでしょうか?すでに水位が極端に下がり、小さな水源の水位が井戸の深さより低くなる中、これから何が起こるのでしょうか?私たちはいったいいつまで、イエメンを忘却の彼方に置き去りにし続けるのでしょうか?

国連安全保障理事会で、イエメンの子どもたちの置かれた悲惨な状況を説明するヘンリエッタ・フォア事務局長。(C) UNICEF_UN0312130_Elias, UN Photo
ユニセフ・チームは、このようなことが起きないように昼夜問わず活動しています。昨年、ユニセフは人道支援パートナーと協力して、重度の栄養不良に陥った子ども34万5,000人に対して治療を提供しました。また、イエメンの15の主要都市に暮らす子ども170万人を含む500万人以上の人々に対して、安全な飲み水を毎日、市の給水システムを通じて提供しています。

ユニセフは、7,000人の保健従事者と13万5,000人の教員と学校関係者に対して、現金給付支援をおこなっています。彼らの多くが2年以上給料を支払われていません。また、主要ドナーと協力して、最も弱い立場にある900万人近くの人々が生き続けられるように、緊急現金給付をおこなっています。

しかし、これらの活動は、イエメンで起きている大惨事の症状に対処しているに過ぎません。イエメンとその子どもたちに本当により良い未来を構築するためには、この子どもに対する戦争を終わらせるには、みなさまの協力と影響力が必要なのです。

イエメンの子どもたちを守り、彼らの権利に対する甚大なる侵害を終わらせるために、安全保障理事会がひとつになり意見を表明するよう求めます。私たちは、すべての紛争当事者に対して、直ちに長期的な人道支援のアクセスを受け入れ、また子どもたちに予防接種を行う数日間の一時停戦を強く求めます。私たちが彼らのもとに行けなければ、彼らの命を守る支援はできません。

イエメンの子ども1,500万人が、生きるために皆様の助けを求めています。彼らは平和を求めています。

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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