インクルーシブな組織づくりを実現する方法とは?東京大学准教授|熊谷晋一郎氏をゲストに迎え、D&Iの実現について議論!

2022/06/08  一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティ 

<カンファレンス事後リリース>D&Iの推進とハイパフォーマンスは両立できる! インクルーシブな組織文化を実現するために、いま企業にできることとは?

一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティ(OTD)普及協会は、創設3周年を記念し、「インクルーシブな組織を実現するために――アカデミアは企業経営に対して何をなし得るか」をテーマにアニュアルカンファレンスを行いました。アカデミアと企業の現場、双方の観点から考え方から具体策まで幅広で議論される、アクティブな会となりました。



東京大学バリアフリー教育開発研究センターと共同開発したOTDワークショップ等を通して“公平でインクルーシブな組織”が増えるよう支援している一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティ(OTD)普及協会(代表理事:庄司弥寿彦、https://otd0507.org/、以下、OTD普及協会)は、2022年5月に創設3周年を迎えたことを記念し、「インクルーシブな組織を実現するために――アカデミアは企業経営に対して何をなし得るか」をテーマにアニュアルカンファレンスを開催いたしましたので、お知らせいたします。
当日は、第1部として、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎氏と、同じく東京大学バリアフリー教育開発研究センター教授で、OTD普及協会の理事でもある星加良司氏による「真にインクルーシブな組織づくりを実現する方法とは?」をテーマにした特別対談を、そして第2部として、OTD研究会やOTD認定講師(※)に参画している4名による事例共有を通して、企業におけるインクルーシブな組織づくりの「現在地」を探りました。
※OTD研究会とOTD認定講師は、OTD普及協会と東京大学バリアフリー教育開発研究センターとの共催事業。

アカデミアからのアプローチである第1部、企業現場での実践を紹介する第2部を通して、「インクルーシブな組織づくり」を行ううえでの課題とその解決策について活発な意見交換がなされ、ご参加いただいた方からも、具体的なアクションについての質問が寄せられるなど、アクティブなカンファレンスとなりました。

■登壇内容|一部抜粋
〈第1部〉「真にインクルーシブな組織づくりを実現する方法とは?」


インクルーシブな組織を考えるうえで、最初に認識すべきは「新人時代は誰もがマイノリティであること」
D&Iを推進しながらパフォーマンスを高めることはできる。その際、心理的安全性、謙虚なリーダーシップなどが重要
そもそもなぜインクルーシブであることが重要なのか。規範的な観点と実利的な観点から分析
インクルージョンを疎外する要因に、「マジョリティ性の壁」「管理的思考の罠」等がある。個人の特性よりも、組織風土のほうに着目すべき

〈第2部〉「インクルーシブな組織を実現するうえでOTDはどう貢献してきたのか?」


マネジャー層にフォーカスしてD&I施策を推進し、部下育成の観点で自分ごとにしてもらうワークを実施
D&Iの推進による価値創造を目指すに当たり、OTDで得た知見やワークショップも用いて、社内で対話の場を設計したり、情報発信を行っている
OTDワークショップをアレンジした研修を実際に社内で実施し、94%が満足と回答
認定講師として、企業にOTDワークショップを実施し、実感をもってD&Iを理解してもらうことができる






参加者の声|今回のカンファレンス学び


視野の広まる内容だった。自身はまったくと言っていいほどD&Iへの理解が足りていないが、「心理的安全性」「高信頼性組織研究」などもっと関心をもつべき言葉に出合え、理解を深めていきたいと感じた。一方で、アンコンシャスバイアスの根深さを思い知るとともに、そこを超えていく難しさも感じた。一度、ワークショップに参加してみようと思う。
有害なリーダーシップに、自信のなさや消極性、ネグレクトもあるというのが今までなかった発想でした。また、組織に強いプレッシャーがあると個人に寛容になり、組織を守る力が強いと個人の淘汰圧が高くなるというのも発見です。
精神障害のある人への就業支援の、事前アセスやトレーニングより、事後支援のほうが就労継続性や本人のウェルビーイングにつながるというお話が大きな学びでした。一般的に「後手後手」、というと悪いイメージですが、これについてはエイヤではじめて、トラブルの起きるたびに対処していくという形のほうが成果が上がることがわかった、というのは、本当に大きなパラダイムシフトですね。そういうお話を聞けてよかったです。
日頃、職場の環境や自分の仕事に関係する内容としてとらえていたものに、アカデミックな視点が加わった。
多様な力が活きる職場づくりに必要な組織風土、文化の重要性について、改めて考える機会となりました。まさにNモデルですね。自身の取り組みに繋げて考えて、深めて参りたいと思います。


OTDアニュアルカンファレンス概要
テーマ:インクルーシブな組織を実現するために――アカデミアは企業経営に対して何をなし得るか
日時:2022年5月13日(金)13:00-16:00
登壇:
〈第1部〉
東京大学先端科学技術研究センター准教授 熊谷晋一郎氏
OTD普及協会理事 星加良司氏(兼 東京大学バリアフリー教育開発研究センター教授)
モデレーター:青砥一浩氏(OTD普及協会理事 兼 株式会社クロスバリュース代表取締役)
〈第2部〉
リコーITソリューションズ株式会社 経営企画本部 人事部 人材開発グループ リーダー 矢野絵美氏
株式会社ルネサンス 人事部 D&I推進チーム 課長 吉羽典子氏
オフィス・キャリーノ代表/一般社団法人WINK代表理事 朝生蓉子氏
凸版印刷株式会社 人事労政本部 労政部 兼 ダイバーシティ推進室 課長 馬渕聖子氏
URL:https://otd20220513.peatix.com/

■登壇者紹介



東京大学先端科学技術研究センター准教授/小児科医/東京大学バリアフリー支援室長
熊谷晋一郎(くまがや・しんいちろう)

東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。著書に『リハビリの夜』(医学書院、2009年)、『<責任>の生成』(‎新曜社。2020年【共著】)他。



東京大学大学院教授/OTD普及協会理事
星加良司(ほしかりょうじ)氏

東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。東京大学先端科学技術研究センターリサーチフェロー、同特任助教を経て現職。主な研究分野はディスアビリティの社会理論、多様性理解教育。著書に『障害とは何か』(生活書院、2007年)、『合理的配慮』(有斐閣、2016年【共著】)他。



青砥一浩(あおと・かつひろ)
株式会社クロスバリュース代表取締役/OTD普及協会理事

耐震設計エンジニアとして電力会社に9年間従事した後、2002年、組織開発・人材開発を主な事業とする株式会社ワークハピネスの創業に参画。「人や組織が持つ可能性を解放し、成果につなげることでワクワク働く人たちを増やす」をミッションとして2018年に独立し現在に至る。



リコーITソリューションズ株式会社 経営企画本部 人事部 人材開発グループ リーダー
矢野絵美(やの・えみ)氏

中央大学大学院理工学研究科で感性工学を専攻。修了後、人間中心設計やデザイン思考を用いたWebコンサルティングに従事。その後、2009年にリコーITソリューションズ(株)入社。現在は、人事部門でダイバーシティ&インクルージョン、人材開発、働き方変革を推進している。さらに、IEEEにて、女性技術者・研究者を支援するグローバルコミュニティWomen in Engineering(WIE)のアジア・パシフィック地域の代表(2019-2022年)を務めている。



株式会社ルネサンス 人事部 D&I推進チーム 課長
吉羽典子(よしば・のりこ)氏
2003年9月、株式会社ルネサンスに入社。営業企画部にて新ブランドロゴの管理、浸透を担い、広報部門においてスポーツクラブ ルネサンス会員向け会報誌や社内報の発行を担当。以降、販促担当として、プロモーションサイトのリニューアルやwebマーケティングに携わる。育休後復職のタイミングにて2016年より人事部へ異動となる。当時、在宅勤務者が少数派であるなか在宅勤務を中心に業務を行う。社内の健康経営の立ち上げ、自身の経験を活かし育児社員のためのネットワーク組織「るねふぁみ+(プラス)」 の発足から運営に関わり、2019年よりD&I推進チームのリーダーとなる。介護予防運動指導員、日本健康マスター検定エキスパート、育休後アドバイザー、育休後カフェファシリテーター、OTD認定講師(第3期)取得。インクルーシブな社会の実現に向けて、いま自分ができること、企業視点において実現できることを日々模索中。



オフィス・キャリーノ代表/一般社団法人WINK代表理事
朝生蓉子(あそう・ようこ)氏

通信会社、社会人向け教育機関を経て2012年に独立。キャリア開発やD&Iをテーマとした企業研修講師・コンサルタンティングと並行してカウンセリラーとして働く個人の相談対応に従事。個人と組織の双方の観点から、「幸せに働く」ことの実現を目指している。2021年に、マイノリティとしての「子どものいない人」の幸せ実現を目指し(一社)WINK(Wellbeing Institute for No Kids)設立。



凸版印刷株式会社 人事労政本部 労政部 ダイバーシティ推進室 課長
馬渕聖子(まぶち・せいこ)氏

2005年、凸版印刷株式会社に入社。人事労政本部人事部に配属。採用、組織人事関連業務、秘書業務を担当。2010年10月出産、育児休業取得し、2011年11月育児休業より復職、人事労政本部労政部に異動。2019年課長昇格と同時に、同年4月に発足したダイバーシティ推進室を兼務。2020年10月第二子出産、育児休業取得。2021年8月復職し、引き続き課長として労政部とダイバーシティ推進室を兼務。

OTD普及協会が展開する3つの事業について
▼OTD研究会とは
OTD研究会は、年間を通じてアカデミアの知と企業のニーズをつなぎ、組織変革のためのダイバーシティをどのように実現していくのかを探求する会です。企業の第一線で活躍する著名な推進者と東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターと連携して、東京大学の中から講師を招きます。様々な企業や個人から集まったメンバーとD&I推進における自社課題に向き合います。奮ってご参加ください。詳細はこちらです。
https://otd0507.org/studygroup/

▼OTD認定講師制度とは
OTDワークショップのファシリテーターとして活躍したいとお考えの方向けに、認定講師制度を設けています。クライアント企業や自社内へのワークショップを行うことを想定した上で、希望者の方に必要な理論や実践方法を盛り込んだ学習機会を提供し、認定試験に合格した方をOTD認定講師として認定します。
https://otd0507.org/instructor/

▼OTDワークショップとは
OTDワークショップは、グループ対抗のゲームを通して、多様な構成員を包摂する組織づくりにおいて鍵となる視点を体感することを目的としています。互いの違いを尊重し、それぞれの強みを評価し活かし合うことを難しくしている原因は、実は「マジョリティの無意識の前提」にあります。そうした前提に気づき、捉え直すことで、組織や社会にある構造上の不均衡への感度を高め、フェアな職場づくりへの一歩を後押しします。
https://otd0507.org/workshop/

無料説明会を実施中!
D&Iの実現やインクルーシブな組織づくりに対して、課題を感じていたり、取り組みを加速させたいと考えている企業のご担当者の課題に対して、私たちが3年間の取り組みで培ってきた知見をもとに、その方策などをご説明する無料説明会を、全6日程で開催しています。ぜひ、ご参加ください。
https://otdorientation.peatix.com/

団体概要
名称    :一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティ(OTD)普及協会
代表者   : 代表理事 庄司弥寿彦
設立    : 2019年5月
事業内容  : D&Iを企業内で実現するために欠かせない「OTD視点」を獲得できるワークショップ、研究会、認定講師制度の運営
URL     : https://otd0507.org/

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