「ウクライナ復興、教育の再建が鍵」ウクライナ復興会議に参加のユニセフ地域事務所代表訴え【プレスリリース】

2024/06/13  公益財団法人 日本ユニセフ協会 


ハルキウにある学校の地下シェルターで授業を受ける12歳のイホールさん(左)。「2年間、自宅でオンライン学習をしていた分を取り戻すために、勉強しています」と話す。(ウクライナ、2024年3月撮影) (C) UNICEF_UNI575323_Filippov
【2024年6月12日 ジュネーブ/ベルリン発】
ウクライナ復興会議のためドイツ・ベルリンを訪れたユニセフ(国連児童基金)欧州・中央アジア地域事務所代表のレジーナ・デ・ドミニーチスは、子どもの教育や安全を含め、子どもたち自身をウクライナの復興計画の中心に据えるよう呼び掛ける以下の声明を発表しました。 

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ウクライナでの戦争は、国民、というこの国の最も大切な資源を破壊しています。投資を増やし、支援のための資金を持続的に提供しなければ、子どもと若者は、彼らや家族、コミュニティの再生に不可欠な、就学や訓練の機会を得ることができません。

ハルキウの破壊された学校の前に立つステパンさん(右・15歳)とヤロスラフさん(左・16歳)。オンライン授業を受けているが、電力不足でネットが使えないこともある。(ウクライナ、2023年12月撮影) (C) UNICEF_UNI510560_Pashkina
新型コロナウイルス感染症と戦争のために、ウクライナの子どもの学校教育には4年以上、つまり、初等教育の全期間分に相当するような長きにわたり、支障が出ています。ウクライナ全土で約400万人の子どもが教育を中断している状態にあり、約60万人の子どもは学校に通って対面の授業を受けることができません。

2022年以降の入手可能な最新のデータによると、ウクライナの子どもたちの学習は、読解で約2年、数学で1年、科学で半年遅れています。その後も戦闘が続いているため、この差は広がる一方です。

学習施設の10カ所に1カ所以上が戦災に遭い、5カ所に1カ所以上が防空壕へのアクセスが不十分なために閉鎖を余儀なくされています。教育部門の再建には多額の資金が必要で、現在利用可能なリソースでは賄えません。

近隣国で難民として暮らす子どもたちの状況も悲惨です。ウクライナ難民の子どもの約半数、100万人近くが現在、受け入れ国の学校に登録していません。多くはウクライナの教育をオンラインで受けていますが、友だちと交流することはできません。

キロヴォフラード州の学校で、授業を受ける男の子。500人以上が停電などのためリモート学習を強いられていたが、ユニセフから発電機などが提供され、学校に戻ることができた。(ウクライナ、2024年1月撮影) (C) UNICEF_UNI531123_Maiorov
この膨大な損失は取り戻すことができます。ウクライナ復興会議のために今週ドイツ・ベルリンに集まった世界のリーダーたちは、学校の再建は最初の一歩にすぎないことをあらためて思い起こすべきです。私たちは、教育と安全を含め、子どもをウクライナの復興計画の中心に据える必要があります。

これは、幼児教育から高等教育までを含めた教育部門への投資を意味します。特に、数学、読解、科学といった基礎的科目や、職業上の成功に不可欠な技能の学習回復を支援することです。

今、教育と技能習得に投資すれば、戦争と避難がウクライナの子どもや若者にもたらす長期的な悪影響を、最小限に抑えることができます。ウクライナの子どもたちが将来、国の復興の一翼を担えるように育てることで、ウクライナの人的資本を築くことができます。

しかし何よりも、ウクライナの子どもたちは、将来の展望や教育、安全、メンタルヘルスが損なわれるようなさらなる害から守られなければなりません。それは、戦争の即時終結を意味します。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.org/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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