【2024】開催数のピークは夏休み!オープンキャンパスに参加し感じたことの「言語化」が進路選択成功の鍵

2024/07/17  株式会社 リクルート 

研究員の赤土豪一が生徒と保護者目線で解説



高校生が進学先を選択する際の情報源となる、オープンキャンパス。その開催数は7月から始まる夏休みが最も多いと言われ、『スタディサプリ進路』に掲載されている7月開催のオープンキャンパス数も昨年比107%で増加しています。2022年当時の高校生が実際に進学することになった大学へのオープンキャンパス参加経験率もコロナ禍前より増加しており、2024年もこの傾向は継続する見込みです。これは、大学入試の早期化や複雑化(総合型選抜入試の増加等)により高校生にとってのオープンキャンパスの位置づけが変化していることが要因と考えられます。このような環境の変化を踏まえつつ、リクルート進学総研研究員、赤土豪一が、オープンキャンパスの上手な活用法を生徒・保護者目線で解説します。

■高校生とって、オープンキャンパスは「比較検討の場」から「志望校への意欲を高める場」に変化
2022年当時の高校生が実際に進学することとなった大学のオープンキャンパス参加率は71%となり2019年比で4pt上昇しています*1。また、全国の全日制高等学校4,721校の教員によると、オープンキャンパスの推奨理由として「志望校への意欲を高める」「ミスマッチを防ぐ」という回答が上位となっています*2。つまり、今の高校生は早い段階でパンフレットやWEB等で情報収集し志望校を絞り込み、その上で志望度の高い大学のオープンキャンパスに参加する進路選択行動であることが想定されます。
以上のことから、オープンキャンパスの価値は「比較検討の場」ではなく「志望校への意欲を高める場」といった意味合いが強くなっていると想定されます。

▼4月から進学する大学のオープンキャンパス参加経験(リクルート進学センサス2022)

*1「2022年卒高校生の進路選択行動の実態~進学センサス2022~」リクルート進学総研
*2 「高校教育改革に関する調査2022」リクルート進学総研

■大学の年内入試増加(総合型選抜入試等)に伴い、志望校決定の早期化が要因
2022年に高校生が実際に進学する大学に合格した入試形式で「総合型選抜」「学校推薦型選抜」が共に4pt 上昇しました*3。「年内入試」「年明け入試」に分類し比較すると、2019年→2022年調査では「年内入試」合格での進学者が8pt増え47%で「年明け入試」層とほぼ同率となりました。これは、年内入試の代表例「総合型選抜」「学校推薦型選抜」が増えたことで、志望校決定の早期化が進んだ結果だと考えられます。
実際に、文部科学省「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」(2024年)によると、総合型選抜を導入している大学は85%を超えています。その他、オープンキャンパス参加を「加点対象」とする大学や、「総合型選抜対策型」のオープンキャンパスを開催する大学もあり、オープンキャンパスの価値や意義は年々変化していると考えられます。

▼進学する学校に入学した方法(リクルート進学センサス2022)


▼出典:文部科学省「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」

*3「2022年卒高校生の進路選択行動の実態~進学センサス2022~」リクルート進学総研

■オープンキャンパスは「自分の未来と向き合ってみる」最良の機会(赤土豪一コメント)
◆オープンキャンパスで得た自分の感情を「言語化」すると進学後のミスマッチを防げる
パンフレットやWEBでの事前情報収集に加え、自分の正直な感想や実感が、進路を考える上での大きな判断材料となります。高校生の多くが参加するオープンキャンパスに参加する際には、ポジティブな感想も、反対にネガティブな感想も、ぜひ言葉にしてみてください。言葉にすることで、自分自身でも志望度合いや理由を明確にすることができ、進学後のミスマッチをなくしたり、進学へのモチベーションを向上させることにつながります。進路のことを常日頃から考え続けることは少し大変だと思いますので、オープンキャンパスの場をうまく活用することで、「ちょっと自分の未来と向き合う」時間に充ててほしいと思います。オープンキャンパスは、楽しみながら、リアルに未来をイメージできることがポイントだと感じています。現地開催の場合は、実際のキャンパスを見学できることはもちろん、学校によっては模擬授業や実習まで「体験」でき、自分が通学した際の姿を具体的にイメージすることができます。また、学生スタッフの方がキャンパスを案内してくれるケースも多いため、先輩たちの「生声」を聞けることも大きな魅力の1つです。

また、近年増加している総合型選抜において大学・専門学校は「求めている学生像に合致するか」を重視します。そのため、学力以外にも志望理由書や小論文、面接などで総合的に評価・判断します。これは、高校生視点から「この学校の方針は自分が学びたい分野の専門性や環境にフィットしていること」を考え、伝えることでもあります。その点でも、実際の職員・学生や環境に触れられるオープンキャンパスで得たリアルな情報は役立ちます。

◆保護者は生徒の「言語化」をサポートする役割を
保護者の皆さまが高校生の時には、オープンキャンパスに行くという行動が決して主流ではなかったため、今の在り方には少し驚かれるかもしれません。しかし前述のように、オープンキャンパスは、「少し自分の未来と向き合う中で、体感を伴った感想を得る」ことができる最良の機会です。ぜひご家庭でも、参加を促していただくことをお勧めします。保護者の方の参加を歓迎する学校も多くありますので、気になる学校については一緒にお調べいただくのも良いかもしれません。お子さまが参加された後は、「どうだった?」「何が良かった?」「それはなぜ?」など、感想の言語化をぜひサポートしてください。他者から問いかけられることで、初めて気がつき、言葉にできることがたくさんあります。「体験した」のみで終わるのではなく、「言語化する」までが、オープンキャンパスのゴールです。
(『リクルート進学総研』研究員 赤土豪一)

■赤土豪一プロフィール

入社後一貫してスタディサプリにおける高校生向けキャリア教育プログラムの開発に従事。「スタディサプリ進路」編集デスクを経て、2021年4月より、高校教員向けキャリア教育専門誌「キャリアガイダンス」編集長に就任。また、高校生向けのアントレプレナーシッププログラム「高校生Ring」等のプロデュースを手掛け、2022年より、東京学芸大学教育インキュベーションセンター客員准教授。取材・講演テーマ例:これからの社会に向けた保護者の関わり、探究学習におけるはじめの一歩 等

調査概要
調査方法:郵送調査+インターネット調査調査対象:2022年に高校を卒業した全国の男女210,000人有効回答数:14,968人調査実施期間:2022年3月4日~4月5日調査機関:株式会社リクルート


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