原油精製時に複数の石油製品(連産品)が得られるため、需要構成への対応が必要
原油は、精製する際に複数の石油製品(ガソリン、灯油、軽油など)が同時に生産されるという特徴があり、これらの製品を「連産品」という。精製による各石油製品の割合(得率)は原油の種類や精製方法によって変化するが、石油製品ごとの得率と需要に差が生まれた場合は、供給不足・供給過剰となる。そのため、石油会社は、軽質原油と重質原油など、成分構成の異なる原油から最適な原油構成を選択して需要構成に対応している。また重油を分解してガソリンに作り変えるなど二次装置も活用されている。生産だけで需要構成への対応が難しい場合には、輸出入で対応している。
ナフサは主に石油化学原料、その他の軽質油は輸送機械向け燃料として安定的な需要が存在。重油や残渣油の需要は減少
石油の精製は蒸留によりおこなわれ、液化石油ガス(LPG)・ナフサ・揮発油・灯油・軽油・残渣油が得られる。
LPG以外の石油製品のうち、ナフサ・揮発油(ガソリン)・灯油・軽油は軽質油(白油)と呼ばれる。軽質油は取扱いの容易さから輸送機械向け燃料として広く利用されており、比較的安定した需要が存在する。中でもナフサは、エチレンなど石油化学製品の原料として用いられ、他の原料による代替が効かず、付加価値が特に高い。ナフサの需要割合は揮発油に次いで高く、2024年は石油製品の国内需要全体の25%を占めている。
一方、精製中に残る重質な残渣油は、軽油と混合したA重油・B重油・C重油、あるいはアスファルトなどとして利用されている。重油は主に産業用の燃料として利用されているが、硫黄分が多く有害物質が多く輩出されること、火力発電所用燃料の天然ガスや石炭への移行などから需要が大幅に減少している。そのため流動接触分解や水素化分解といった技術により残渣油をLPGや軽質油に分解する「白油化」が一般的におこなわれている。
原油生産は世界各地に分散しつつある。日本の原油調達は中東からの輸入が大半
日本では、原油はほぼ全量が海外からの輸入に依存している。国際石油市場では、かつては「セブン・シスターズ」と呼ばれる石油メジャー(国際石油資本)が国際カルテルを形成し、世界の取引を独占していた。しかし、1960年のOPEC(石油輸出国機構)設立と、1970年代の中東戦争にともなう石油危機を経て、産油国が強い権限を持つようになった。一方、近年はOPEC非加盟国の産油量も増加しており、国営企業7社(サウジアラビア・マレーシア・ブラジル・ロシア・中国・イラン・ベネズエラ)を「新セブン・シスターズ」と呼ぶこともある。
日本はOPEC加盟国、特に中東からの輸入比率が高い。近年はロシアからの輸入減少等により中東依存度が上昇傾向にあり、2024年は95%に達している。背景には、中東産の原油は硫黄分の多さから精製に手間がかかる一方で調達価格が安く、脱硫装置の整備が進んでいる日本では中東産原油を輸入して精製するメリットが大きいことが挙げられる。一方で中東産への依存度の過度な上昇は、中東情勢など地政学的リスクが高まる懸念がある。
石油の上流業界である原油の開発・採掘において日本企業のプレゼンスは低いが、国が出資するINPEXは原油開発を主体とするほか、総合商社や大手石油元売も海外での原油開発に参画している。日本企業が権益を持つ、原油・天然ガスの「自主開発比率」は2010年代の20%台から2024年度は42.1%へと上昇しており、安定的な調達に寄与している。