精製時に複数の石油製品が得られる連産品であり、適切な需給管理が必要
石油は連産品であり、原油を精製する際は、必ず複数種類の石油製品が得られるという特徴がある。精製による各石油製品の得率は原油の種類や精製方法などによって変化するが、石油製品ごとの得率と需要に差が生まれた場合は、特定の石油製品で過剰供給状態となる。そのため、石油製品を取り扱う企業においては、各石油製品の得率のコントロールに加え、輸出入を含め得られたそれぞれの石油製品を適切に売り分けることが求められる。
ナフサは主に石油化学原料として、その他の軽質油は輸送機械向け燃料として安定的な需要が存在し、付加価値が高い
石油の精製は蒸留によりおこなわれ、液化石油ガス(LPG)・ナフサ・揮発油・灯油・軽油・残渣油が得られる。
LPG以外の石油製品のうち、ナフサ・揮発油・灯油・軽油は軽質油(白油)と呼ばれる。軽質油は取扱いの容易さから輸送機械向け燃料として広く利用されており、比較的安定した需要が存在する。中でもナフサは、燃料以外にエチレンなど石油化学製品の原料となるため、他の原料による代替が効かず、特に付加価値が高い。需要割合が最も高く、国内需要は1990年比で21%伸びている。
一方、精製中に残る重質な残渣油は、軽油と混合することでA重油、C重油などとなり、主に産業用の燃料として利用されている。しかし燃料としての取扱いが難しく、ガスや石炭など他の燃料と競合することが多いため、付加価値は低く需要の減少にみまわれている。1980年代以降は、収益力を強化するため、より付加価値の高い用途(ノーブル・ユース)に石油を利用する動きが進んだことから、流動接触分解や水素化分解といった技術によりLPGや軽質油に分解する「白油化」が一般的におこなわれている。