業務用ソフトウェアは顧客の主活動・支援活動のそれぞれを支援するソフトウェアに分類できる。受託システム開発との違いは導入期間の短さ、コストの安さ
業務用ソフトウェアの特徴を解説する上で、業務用ソフトウェアの種類について触れておきたい。
業務用ソフトウェアは顧客企業の業務を支援するという性質上、業務ごとにソフトウェア開発が進んでいる。業種業態によりプロセスに違いはあるものの、おおむね「購買」、「開発・生産」、「在庫」、「販売」、「顧客管理(CRM/SFA)」の主活動と、財務会計、IT、経営分析、コミュニケーションなどの支援活動に分類ができる。業務用ソフトウェアはそれぞれの業務に対してソフトウェアを提供しており、購買に対して購買管理システム、開発・生産に対して生産管理システム、在庫に対して在庫管理システム、といったかたちである。1990年代後半からは、プロセスごとに分かれた管理システムを統括する全社統合ソフト(ERP:Enterprise Resource Planning)が急速に普及し、業務の情報化は急激に進んできた。
業務用パッケージソフトウェアの導入はたびたびスクラッチからのシステム開発と比較されるが、大きなメリットは導入期間の短さ、コストの安さである。スクラッチ開発の場合は顧客の業務に合わせてカスタマイズするという性質が強いが、パッケージソフトウェアについては反対にソフトウェアに業務を合わせていく。そのため業務フローの成熟していない中小企業については特にパッケージソフトウェアを利用することが多い。
また、パッケージソフトウェアの中でも顧客側が導入をおこなう「弥生会計」のようなソフトウェアに関しては、導入作業が顧客側に任せられているためユーザーサポート機能も重要となる。トラブルや疑問点が生じた際に連絡できるヘルプデスクが充実している場合が多く、こうしたサポートを有償化することで、ベンダー側も大きな収益を得ている。