百貨店もGMSも食品・衣料中心の品揃え。ただし、百貨店は高級・低回転、GMSは安価・高回転な商品特性をベースに販売・仕入形式も揃えている
百貨店・GMSで販売される商品は食料品・衣料品が中心であり、一般的な売上構成比で合計8割程度を占める。ただし、品揃えの方向性が異なり、百貨店ではラグジュアリーブランドなども含めた高級な商品を販売している一方で、GMSでは安く日常的に使用する商品を販売する。また、GMSは食品スーパーとの垣根が低いことからも、より回転率の高い食料品中心の品ぞろえである点は特徴である。衣料品などの非食品は、粗利率が高い一方で回転率が低い。そのため食料品で集客し非食品で利益を確保するといった商品マーチャンダイズの巧拙でGMSの業績は差がついてくる。
小売業はいずれの業界にも当てはまるが、需要量やその内容は季節による変動が大きい。特に12月は需要が大きく盛り上がり、その時期での販売成功可否がその年の業績を左右する面もある。特に百貨店は定期的に物産展やバーゲンセールなどの催事をおこなっており、上層階に常設の催事会場を設けて集客し、他店舗での購買を誘発するような販促もおこなっている。
なお、当業界に関連の深い仕入方式についても再度簡単に触れておきたい。仕入方法は大きく3つであり、買取仕入、委託仕入、消化仕入(売上仕入)に分けられる。買取仕入は仕入れと同時に商品の所有権が百貨店に移る方式。基本は返品できないが、条件付き買取と言う形で売れ残り商品と新商品の納入の交換という形で実質的に返品されるケースもある。委託仕入は、一定期間百貨店が問屋から商品を預かり販売する方式で、所有権は問屋側にあるが保管責任は店舗側がもつ。最後に消化仕入れは、店頭で販売されたときに仕入れたとされ、所有権も保管責任も問屋にある。所有権と保管責任の持ち方によって仕入方式は分類できるが、リスクをとらない一方で品ぞろえもメーカー側に任せるのか、それともリスクをとって店舗側で自由に品ぞろえをするのか、という幅の中で適切な仕入契約を決めていくことになる。