医療用器具・用品は多品種少量生産が基本、法規制による厳しい基準が設けられており、高い安全性が必須
医療用器具・用品は約2万種類の分類があると言われるほど多種多様であり、基本的に多品種少量生産である。技術レベルがあまり高くない医療用ガーゼや包帯といった消耗品に関しては大量生産であるが、専門性が高くなるにつれて少量生産になる傾向がある。経済産業省の「工業統計」の分類としては”医療用機械器具製造業”は電子製品が含まれており、”医療用品製造業”は基本的に非電子製品となっている。
もう一つの特徴として法規制によって製品の基準が定められており、関係機関への届出や申請が必要となっている点が挙げられる。医療行為において人体へ直接使用されることから、高い安全性が求められるためである。医療機器の分類は、不具合が生じた際の人体へのリスクの大きさが基準となっており、欧米などの国際基準では4分類、日本の医薬品医療機器等法では3分類に分けられている。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「医療機器に係る分類と規制」を引用すると、リスクが大きい製品ほど申請過程が厳格なものになっていることが分かる。
以上の特徴から、価格だけでなく品質の面で優位性を築くことが可能な業界であるといえる。例えば、高度な技術を要するカテーテルや人工臓器などの製品では、技術革新にともなう高価格化している事例もある。またディスポーザブルな器具に関してはライフサイクルが短い傾向にあり、高品質かつ安定供給を求められる傾向がある。業界全体としては薄利多売の低価格製品から高付加価値の製品まで幅広い商品が存在するということがいえる。